椿昇ら「VITAL FOOT PROJECT」発表、被災地の復興に向けて (4/23更新)

(2011/04/23 更新)

3月26日、京都造形芸術大学ウルトラファクトリーに集まったアーティストやデザイナーらが、東北地方太平洋沖地震と津波の被害に遭った地域の復興に向けて「VITAL FOOT PROJECT」を立ち上げたことを発表した。

プロジェクトリーダーの椿昇(現代美術家)は、阪神淡路大震災を経験した実体験に基づき、や灯油を始めとする生活物資を搬送する小型トレーラー付き自転車を製作して現地へ寄贈する。このプロトタイプ1台をベースに、広くマイクロドネーションを呼びかけ、カスタム自転車を1台ずつ被災地に届けていく。

また放置自転車のリビルドやリデュースなど、持続可能型社会の生成に向けた取り組みを行う。単なる復旧ではなく、職人によって丁寧に作られた製品を末永く使うことでの日本の新生、そしてクリーンエネルギー世界を目指す第一歩を人力100%の自転車プロジェクトからスタートさせることを目指している。

VITAL FOOTについて、椿は「[自転車もトレーラーも]AK-47と同じ哲学で設計しましたので、世界中どこでも部品を入手できますし、壊れてもほぼ永久に修理が可能です」とコメントする。

プロトタイプは3月中の完成、同プロジェクト専用のマルチリンガルウェブサイトは4月中の公開を予定している。


シンボルロゴマーク(デザイン:原田ゆうま)は日本をイメージしているが、外周は多角形で山岳地帯をものともせずに自力で再建するという意志を表す。All: 画像提供・キャプション:椿昇

メンバー:椿昇、ヤノベケンジ、名和晃平、国府理(アーティスト)、原田ゆうま(ロゴマークデザイン)、表恒匡(フォトグラファー)、末瀬嘉廣(サイクルデザイナー)、日下周一(自転車職人)、木村利行(ウェブデザイナー)、後藤繁雄(編集者)

主催:京都造形芸術大学
製作:ウルトラファクトリー(プロトタイプトレーラー製作)、RE:PRODUCTS PROJECT
VIVALO(カスタムバイク製作)、大田産業(量産トレーラー製作)
協力:ART iT、森美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、スパイラル、ワタリウム美術館、ロフトワーク、電通5CR(ポスターデザイン)ほか


3月24日:頑強なクロムモリブデン素材のVITALFOOT初号機の設計図面。

具体的なワークフローは下記のとおり(文:椿昇)。

A プロダクトリリースプラン
A1 椿昇のコンセプトに基づき物資輸送自転車を1台ずつ製作(2011年4月21日完成)。
 ・ 阪神淡路大震災を罹災した神戸VIVALOが製作担当。日下周一氏のハンドメイド。
A2 同時に国府理氏設計製作の牽引トレーラー製作(ULTRAファクトリー、同日完成)。
 ・ 汎用モデルとしてどんな自転車にも装着可能。
 ・ 量産時はクリエイティブ・コモンズに基づき図面を提供。
 ・ 量産製作委託先検討中。
A3 大船渡の山浦医院に1号機をお届けしたあと次第順次被災地のにVITAL FOOT号を届ける。
 ・ 寄贈先は購入者の希望に添うが、小学校や図書館など教育や文化芸術関係にお願いしたい。

B プライマリードネーションシステム
B1 個人購入寄付(寄付加算3万円)
 ・ Type A(男性用)142,000円、Type B(女性用)128,000円(+消費税)のいずれかを購入。
 ・ 個人購入の場合は購入時3万円の寄付を別途お願いします。
 ・ 寄付の積み立てによって新生地域へVITAL FOOT号を寄贈してゆきます。
  ・ 4名購入いただくと1台寄贈できます。
 ・ 全車アーティストモデルで、下記アーティストから自由に選択可能です。
  ・ 当初(椿昇モデル、ヤノベケンジモデル、名和晃平モデル)でスタートし、随時協力アーティストやデザイナーが参入します。
 ・ 塗装色もオリジナルでサインと刻印が入りますが、納車まで少し時間を頂きます。
 ・ 小学校や図書館など教育機関などへVITAL FOOT OFFICEを通じて寄贈します。
B2 グループ寄付(寄付加算なし)
 ・ 会社や仲間で集まって購入していただき、ご希望の送り先に寄贈します。
 ・ 希望の届け先へダイレクトに発送されます。
 ・ 基本はスタンダードモデルですが、アーティストモデルも選択可能です。
B3 企業寄付(寄付加算なし)
 ・ 寄贈先を自主決定できます。VFOにのコーディネート委託も可能。
 ・ 寄贈者のロゴやマークを車体に記載可能です。
 ・ 基本的にVITAL FOOTのスタンダードモデルです。
B4 小口寄付(寄付加算なし)
 ・ ウェブサイトやイベントでの募金箱設置など、個人の小口寄付を集めて寄贈します。

オプション セカンダリードネーションシステム
知名度の高い世界のアーティストに塗装前の車体を送り、オリジナルペインティング車を製作依頼、シグネチャーモデルとしてオークションを行い追加基金を集めます。
*詳細別途


上段左: 3月22日:ウルトラファクトリーでトレーラー製作開始(担当:国府理)。プロトタイプBIKEはカナダのKONAを購入して牽引車として改造。 上段右: 3月25日:VIVALO の末瀬嘉廣さんと本番車両は純国産(神戸)に決定! 下段: 3月28日:制作中のトレーラー。

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