アンソニー・カロ死去(1924-2013)

2013年10年23日、彩色した鉄を用いた抽象彫刻や建築的要素を取り込んだモニュメンタルな彫刻で国際的に知られるアンソニー・カロが心臓発作のために死去した。89歳。

アンソニー・カロは1924年サリー州モルデン(イギリス)生まれ。1940年代から50年代前半にかけて、ロイヤル・アカデミーなどの教育機関で学び、ヘンリー・ムーアのアシスタントを務める。1959年のアメリカ滞在を機に、鉄に着色することで質感を消去した抽象彫刻の制作をはじめ、66年にはロンドンのホワイト・チャペルギャラリーにて個展を開催し、注目を浴びる。66年には第回ヴェネツィアビエンナーレに参加し、デイヴィッド・ブライト財団賞を受賞する。その後も各地で個展を開催するなか、鉄の赤錆の質感と垂直な線が特徴的な彫刻、作品の内部に入る体験を備えた建築彫刻など、さまざまな素材、様式を探求し、彫刻の可能性を拡張していった。

日本国内では79年にカサハラ画廊で個展を開催、82年には東京都美術館など全国を巡回した『今日のイギリス彫刻』に出品し、90年代には福井県小浜市に滞在し、和紙による作品制作に取り組んでいる。92年に第4回高松宮殿下記念世界文化賞・彫刻部門を受賞、95年には東京都現代美術館で回顧展を開催した。

これまでにニューヨーク近代美術館(1975年)やテート・ブリテン(2005年)など世界各地で個展を開催しており、今年6月にもガゴシアン・ギャラリー(ロンドン)で個展を開催、現在もヴェネツィアのコッレール美術館にて個展が行われている。また、53年から81年までセントラル・セントマーティンズ・スクール・オブ・アートにて教鞭を執り、フィリップ・キング、トニー・クラッグ、バリー・フラナガン、リチャード・ロング、ギルバート&ジョージなど後続世代にも影響を与えている。

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