台北ビエンナーレ2018、キュレーター発表


2018 Taipei Biennial Co-Curators, Mali Wu (L) and Francesco Manacorda (R) © Taipei Fine Arts Museum

台北市立美術館は、今年11月に開幕する台北ビエンナーレ2018のキュレーターに、台湾におけるソーシャリー・エンゲージド・アートの先駆的存在として知られるアーティストのウー・マーリー[呉瑪悧]と、ヴェネツィアのV-A-C財団でアーティスティックディレクターを務めるフランチェスコ・マナコルダのふたりが就任すると発表した。

2018年展は過去3度続けてきた単独キュレーター制ではなく、台湾を拠点とするキュレーターと国外を拠点とするキュレーターによる共同キュレーター制を採用。昨今の世界の国際展の傾向を調査した上で、台北市立美術館は台北ビエンナーレ実行委員会とともに展覧会のテーマを「life-support, living, survival system」に決定し、同テーマの適任者として、アーティストでキュレーター、国立高雄師範大学の総合芸術大学院の講師を務めるウー・マーリーをキュレーターのひとりに抜擢。ウーの推薦により、フランチェスコ・マナコルダを共同キュレーターに任命した。長年にわたり参加型アートや地域プロジェクトを実践してきたウーと、協働制作やプロセス重視のプロジェクトを企画してきたマナコルダが掲げる2018年展のコンセプトは「生態系(ecosystem)」。自然や生物環境といった文脈のみならず、文化的、経済的、社会学的要因を含む包括的な文脈のなかで、人間と自然とのあいだに形成される生態系の複数の構造が持つ相互接続性に着目し、持続可能、コミュニティ主導、ボトムアップ型といった要素の相乗効果を生み出すような新たな可能性を探求していく。


Mali Wu © Taipei Fine Arts Museum

ウー・マーリー[呉瑪悧](1957年台北生まれ)は、1990年代から現在に至るまで、公共圏におけるアートの可能性の追求や、社会的、政治的事象に対するフェミニズム的視点からの批評を展開している。ウーは台湾の淡江大学でドイツ語文学を学んだのちに渡欧し、同地でアートへの関心を高め、デュッセルドルフ国立美術大学のギュンター・ユッカーの下で彫刻を学ぶ。80年代中頃、戒厳令下の台湾に帰国。97年に縫製工場で働く女性労働者へのインタビューを基に制作した作品「Stories of Women from Hsin-Chuang」を発表。2000年から2004年にかけて、台北市婦女新知協会とともに布を媒介とした参加型のアートプロジェクト「Awake in Your Skin」を実施。その活動の記録は映画監督のチェン・ウェイスーがドキュメンタリー作品「玩布姐妹(布-結びあう女たち)」にまとめている。2011年から2013年には、台北のバンブー・カーテン・スタジオと協働し、アートプロジェクト「Art as Environment—A Cultural Action at the Plum Tree Creek(環境としてのアート:樹海坑渓における文化活動)」を展開。都市部のコミュニティや生態系に介入するアートプロジェクトによって、地域住民、地方自治体や専門家を巻き込んだ対話を生み出した。同プロジェクトは、第11回台新アートアワード(2013)や第19回ナショナル・アワード・オブ・アート(2016)を受賞、現在も続いている。また、これまでに『Mapping the Terrain: New Genre Public Art』(スザンヌ・レイシー編・著)や『Conversation Pieces: Community and Communication in Modern Art』(グラント・ケスター)といったSEAの基本書の中国語翻訳や、台湾と香港のSEAのプロジェクトを紹介した展覧会『Art as Social Interaction』(2014)のキュレーションを手がけ、その幅広い活動で後続世代に強い影響をもたらしている。


Francesco Manacorda © Taipei Fine Arts Museum

フランチェスコ・マナコルダ(1974年トリノ生まれ)は、昨年、テート・リバプールのアーティスティックディレクターを辞し、V-A-C財団のアーティスティックディレクターに就任。リバプール・スクール・オブ・アート・アンド・デザインの客員教授も務める。マナコルダは2000年にトリノ大学で学士、2003年にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートのキュレーティングコースで修士号を取得。美術雑誌への寄稿や美術書の編集を行なう。2007年にロンドンのバービカン・アートギャラリーのキュレーターに就任し、『Martian Museum of Terrestrial Art』や『Radical Nature – Art and Architecture for a Changing Planet 1969-2009』を企画。また、2007年に第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ・スロベニア館、2009年に第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ・ニュージーランド館の展覧会を企画(2013年の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレでは、国際審査員を担当)。2010年からトリノのアートフェア、Artissimaのディレクターを務め、2012年にテート・リバプールのアーティスティックディレクターに就任。グレン・ライゴン、レオノーラ・キャリントン、キャシー・ウィルクスの個展や『Mondrian and His Studios』、『Encounter and Collisions』、『An Imagined Museum』、『Transgressing Discipline』などを企画。2016年のリバプール・ビエンナーレの共同キュレーターも務めた。2006年から2011年まで、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの客員講師も務めている。

台北ビエンナーレhttps://www.taipeibiennial.org/

台北ビエンナーレ2018
2018年11月17日(土)-2019年3月10日(日)
台北市立美術館
https://www.tfam.museum/


過去のゲストキュレーターとテーマ

2016「Gestures and Archives of the Present, Genealogies of the Future」
コリーヌ・ディゼレンス

2014「The Great Acceleration」
ニコラ・ブリオー

2012「Modern Monsters / Death and Life of Fiction」
アンセルム・フランケ

2010(※タイトルなし)
ティルダード・ゾルガダー、リン・ホンジョン[林宏璋]

2008「A World Where Many Worlds Fit」
ワシフ・コルトゥン、マンレイ・シュー[徐文瑞]

2006「Dirty Yoga」
ダン・キャメロン、ワン・ジュンジェ[王俊傑]

2004「Do You Believe in Reality?」
バーバラ・ファンダーリンデン、エイミー・チェン[鄭慧華]

2002「Great Theatre of the World」
バルトメウ・マリ、ジェイソン・ワン[王嘉驥]

2000「The Sky is the Limit」
ジェローム・サンス、マンレイ・シュー[徐文瑞]

1998「Site of Desire」
南條史生

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