クリスティーズ、オークション結果速報:「睡蓮」不落札

 2010年6月22日、ロンドンで行なわれたクリスティーズの印象派および近代美術のオークションの落札結果は、過去最高の1億5300万ポンド(約200億円)を記録した。

 ロダンの『青銅時代』の落札結果は、予想価格の100万-150万ポンド(約1億3000万円-2億円)を2倍以上も上回る340万ポンド(約4億5千万円)の落札価格となったのをはじめ、ヘンリー・ムーアの『王と王女のための模型』も、予想価格の50万-70万ポンド(約6700万円-9400万円)を大幅に上回る170万ポンド(約2億2千万円)で落札された。現在テート・ブリテンで行われているムーアの回顧展の影響も少なからずあったと思われる。

 一方、ピカソの「青の時代」の作品『アンヘル・フェルナンデス・デソト氏の肖像』は、3480万ポンド(およそ47億円)とほぼ予想価格で落札されたものの、モネの「睡蓮(Nymphéas)」は予想価格の3000万-4000万ポンド(およそ41億-54億円)に反し、2900万ポンド(およそ30億円)に止まり不落札となった。

 今回の総落札金額に関してはポジティブな結果だったが、経済危機から完全に脱却したと楽観的には言い切れない現況を示すものでもあった。

 不落札となった注目作品には、オットー・ディックスの『妊婦の妻』:予想価格400-600万ポンド(約5-8億円)をはじめ、ピカソの『人物』:予想落札価格300-500万ポンド(約4億円-6億7千万円)、アルベルト・ジャコメッティの『ディエゴ(タートルネックを着た頭像)』:予想価格70万ポンド-100万ポンド(約1億円-1億3千万円)など。

 ジャコメッティ作品は今年2月に行われたサザビーズのオークションで、『歩く男』が6500万ポンド(約94億円)で落札され、総売上1億4700万ポンド(約210億円/当時レート換算)に貢献したばかり。クリスティーズの期待も高かったが、残念な結果となった。今回のオークションは過去最高額を上回ったものの、本誌6月7日付けでお知らせしていた予想総売上金額1億6400万-2億3100万ポンド(約221億-314億円)には届かなかった。

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