しりあがり寿の勝手にプロポーザル 6

第6回『マンガのてんらんかい』

今回は、美術館まるごと使うような、ハデな展示企画案だぞ。マンガやアニメって、最近「クール」とか持ち上げられて、動員のためもあるのか大々的な展覧会とか開かれてるけど、アートとのビミョーな距離感てのは、やっぱりある気もするのね。で、そこらへん確認するためにも、あえていまさら、マンガ、アニメをイジリ倒す企画があってもいいかなー、なんて 思ったのでした。

最初の部屋は、ガンダムっぽいのとか、アニメ風のロボットたちが大理石に彫られて、ミケランジェロのダビデ像みたく立ってるの。カッコいいでしょ。で、次の部屋は、これまた、どこかで見たようなキャラのぬいぐるみや着ぐるみが、惨殺現場みたいに血まみれで散乱してる。キモチ悪いでしょ。それから、パンツ一丁のオヤジがものすごい重量感の鉄人形でできてて、怒って頭からシューって蒸気出したり、動かないアニメがあったり、壁一面の原 稿にみんなでベタ塗ってもらったり、クダラナイ4コママンガがやたらカッコイイ映像になってたり……まぁ、とにかく、もりだくさん。

だいたいマンガをキレイに飾って「アートになりました」って変だよね。マンガの精神を美術館でやったらどうなるか? が大切でしょ。アートらしくないことを恐れず、「アートテインメント」みたいなジャンルを作っちゃうくらいの覚悟で、「あっしらアートなんておこがましい」みたいな姿勢で、「だけどワケのわからないオモシロさはあるぞ」みたいな自負がある展覧会。そんなのやりたいなー。このプロポーザルどっかで受けてくんないかしら?

展覧会企画書

■展覧会タイトル
マンガの展覧会

■企画趣旨 
・ マンガをカッコよく持ち上げないで、テッテー的にイジってみる
・ なんでもアートにしないでアートとエンタテインメントの関係を考えてみる

■出品内容(作品のサイズや材質など)
彫刻、大きな紙、アニメーション、ビデオ、動く鉄のロボット(蒸気ふく)

■展覧会予算
1億円(よくわからないのでテキトー。なんちて)

■会期・会場
でっきるだけエラソーな美術館

初出:『ART iT』 No.23 (Spring/Summer 2009)

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