しりあがり寿の勝手にプロポーザル3

第3回 「あなたのプロポーザル」 選考結果発表!(その1)

みなさんからのプロポーザルを募集したところ、届きました! まだ2つですけどね(笑)。でもって今回ご紹介するのは大阪府の大﨑さんのプロポーザル。ふむふむ。つまり、展覧会を美術館やギャラリーでやるのはもう古い、『ARTi T』誌上でやらせろ、とまぁ、こういうご提案ですな。

「美術の新しい場所(観念)を提供するものです」。確かにそうだ、固定観念を打破していくのがアートの使命の一つであるなら、場という観念も打破していかなきゃね。オモシロイ。でもアレだな、ボクが思うにちょっと出来上がりのビジョンが弱いかな? この提案だと、雑誌の特集でイラストが載ったり、そういう今すでにあるようなものもみんな解釈の仕方でアートになっちゃう気がするなー。

見た人がわざわざ解説を見なくても、「これって新しいね」「なんかひっくりかえされるね」「美しいね!」みたいに、もっと何か感じられるカタチになればいいのになー。例えば「印刷して配る」という「場」にこだわれば美術誌よりもっとインパクトの強い媒体、新聞とか、 街のティッシュ配りとか。不特定多数に届ける ということであれば宅配便とか、メールとか。さらに純粋に「場」にこだわるのなら、「場」だけ展示するとかね。でも、「場」を展示するってどういうことだろう? 観客を前にして日本地図にダーツを投げて、当たった場所が「今回の展示です」とか言うのかなー? まぁ、いろいろあるけど同じ発想からでも、もっともっとインパクトがあるものや、美しいものができるような気がするぞ。ガンバレ! また懲りずにプロポーザルしてくれ!

展覧会企画書

■応募者
大﨑土夢 (美術作家)

■展覧会タイトル
無題

■企画趣旨 
展覧会はもはや、場所や会期等を選ばなくなってきた昨今。そこで提案するのは、『ART iT』誌面上をホワイトキューブとして行う展覧会。美術の新しい場所(観念)を提供するものです。

■出品内容
大﨑土夢によるドローイングならびにインスタレーション。『ART iT』誌上の展覧会、すなわち展覧会自体が作品ともとれる。 『ART iT』購入により、キリトリ線で作品部分を切り取ることで作品購入可能(作品エディションは発行部数)。次回展覧会は大﨑土夢の別名義による展覧会、または他の作家の展覧会を予定。

■展覧会予算
『ART iT』発刊による印刷費、人件費および雑費

■会期・会場
『ART iT』が書店に並んでいる間

■観覧料
『ART iT』定価:1,400円。もしくは書店での立ち読みで無料

■参考資料
大﨑土夢によるドローイングインスタレーション

初出:『ART iT』 No.20 (Summer/Fall 2008)

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