MOTコレクション

MOTコレクション
布に何が起こったか?|1950-60年代の絵画を中心に
木の時間、石の時間
特別展示|淺井裕介

東京都現代美術館では、およそ4000点におよぶコレクションを核として毎回テーマを設定し、戦後・現代美術の魅力を多角的にご紹介しています。今期は、当館の絵画コレクションをご紹介する「布に何が起こったか?|1950-60年代の絵画を中心に」と、彫刻・絵画・版画等の多彩な表現によるテーマ展「木の時間、石の時間」、そして、作家による公開制作を含む「特別展示|淺井裕介」で構成します。

【展覧会概要】
1Fでは、1950年代~60年代に描かれた絵画作品をご紹介します。この時期は、20世紀の一大潮流であった抽象芸術の影響の下、とりわけ大戦による情勢や価値観の変動を受ける中で、世界的に多くのすぐれた絵画が生まれた時代です。布に何が起こったか?」は、絵画の支持体であるカンヴァスに作家たちがどのように挑んだのか、素材とのやり取りに注目をして頂きたく付したタイトルですが、それはまた同時に、彼らの試みによって絵画というものにもたらされた様々な変容をも意味しています。本展は、当館の絵画コレクションの中から、日本における具体美術協会、ルーチョ・フォンタナやクロード・ヴィアラらのヨーロッパの活動の一端、そして、マーク・ロスコやモーリス・ルイス、ケネス・ノーランドらによるアメリカ抽象絵画の一動向を取り上げ、歴史的にも参照されることの多い作品群をじっくりご覧いただくとともに、絵画の可能性を様々に問うた作家たちの実践の意味と魅力にあらためて触れる機会となれば幸いです。

3Fでは、「木の時間、石の時間」と題して、樹木の成長や記憶、その誕生と死の連鎖にまつわる収蔵作品をご紹介します。“木”は、古来より多くの作家たちにとって、制作の原点でもあり、また象徴的な物語や成長への希望、あるいは作家自身の姿が重ねられるような、身近で重要な素材・題材であったといえるでしょう。また特に近年では、木々をとりまく作用の循環を環境/関係の全体として構想する作品によって、個と全体の動的なプロセスからなる私たちの社会や生が照らし出されているようにも思われます。木そのものと関わる彫刻や絵画から、植物的な部分と全体の関係性を感じさせる絵画、さらには土や石にまつわる立体作品など多様な作品をゆるやかに辿り、これら作品を通して、木や石の持つ多声や時間に触れて頂ければ幸いです。

3F展示室の一室においては、淺井裕介(1981年-)の公開制作による特別展示を行います。2011年当館でワークショップ「根っこの森」を行った淺井は、ペンとテープを自在に使って描く植物画「マスキングプラント」や、現地で採取した泥や土を用いた「泥絵」シリーズなどにより注目を集めている作家です。ペンや土、植物の葉、ホコリなども交えて描き出される、バロック的ともいえる有機的な世界にご期待ください。
あるいは作家自身の姿が重ねられるような、身近で重要な素材・題材であったといえるでしょう。また特に近年では、木々をとりまく作用の循環を環境/関係の全体として構想する作品によって、個と全体の動的なプロセスからなる私たちの社会や生が照らし出されているようにも思われます。木そのものと関わる彫刻や絵画から、植物的な部分と全体の関係性を感じさせる絵画、さらには土や石にまつわる立体作品など多様な作品をゆるやかに辿り、これら作品を通して、木や石の持つ多声や時間に触れて頂ければ幸いです。

淺井裕介 ≪泥絵・大きい山 (母山)≫2009年 現地で採取した土と水 「まいにち,アート!!」、群馬県立近代美術館 撮影:柳場大 courtesy of the Artist and ARATANIURANO

*公開制作は不定期に行われる予定です。日時などの詳細は追ってHPなどをご覧ください。
*なお、展示室では、モナ・ハトゥーム、ピピロッティ・リストの作品も引き続きご覧頂けます。

【展覧会情報】
会期:2011年10月29日(土)― 2012年1月15日(日)
休館日:月曜日、※ただし1/2, 1/9は開館
開館時間:10:00 - 18:00(入場は閉館の30分前まで)
場所:東京都現代美術館 常設展示室1階、3階   
観覧料金:一般 500円|大学・専門学校生 400円|
65歳以上・高校生 250円|中学生以下 無料
※企画展のチケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。

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