【展覧会予告】 「驚くべきリアル」展

このたび、2014年2月15日(土)から東京都現代美術館では、「驚くべきリアル」展  スペイン、ラテンアメリカの現代アート‐MUSACコレクション‐を
開催いたします。

慶長遣欧使節団派遣400周年を記念し、2013年および2014年には、「日本スペイン交流400周年事業」として、様々な催しが行われています。その一環として当館では、スペインの90年代以降の作品にフォーカスしたカスティーリャ・イ・レオン現代美術館(MUSAC)のコレクションから「驚くべきリアル」をテーマに27作家の作品を紹介します。
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スペインにおいては17世紀以降、ベラスケスやゴヤなど、リアリズムの系譜があり、80年代以降のアントニオ・ロペス・ガルシアに代表されるマドリード・リアリズムに継承されています。スペイン芸術のリアルは対象が精密に再現されているという描画上の特質を意味するのではなく、スペインの作家のリアルに対する執着の仕方から来ています。そのリアルは超自然なもの、幻想的なものまでを、日々の身の回りのものが手で触れられるのと同様に、地上に引き下ろして対話しようとする欲望から来ています。しばしばその表現は日常的な光景やモノの「誇張」(esperpento)という形でみることができます。その「誇張」は生と死との独特の緊張関係から生まれてくるといえるでしょう。「スペインでは、他のどの国よりも死者が生き生きとしている」という、詩人ガルシア・ロルカの言葉のように、死は生よりも活気をもっています。本展の出品作品には、アクティヴェイト(活性化)された死に裏付けられた重い生が、リアリズムとして表現されています。展覧会にはラテンアメリカの作家の作品も含まれており、それ自体が驚くべき特異性をもった中南米のトロピカルな風土の中で、スペイン的なリアルの感覚がどのように変容し、発酵していったかを見せていきます。
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フェルナンド・サンチェス・カスティーリョ《馬に捧げる建築》2002年 MUSAC蔵 ©Fernando Sánchez Castillo Courtesy: MUSAC

■本展の見どころ■ 
1.人間の生と死を深く掘り下げてきたスペイン絵画のリアリズムを受け継いだ現代の絵画
絵画だけが描く事のできる現代人の「リアル」がここにある。孤独、疎外、アイデンティティの追求、愛と憎しみ、生きる事の喜びと葛藤、暴力、深思。社会、政治問題もふくんだ現在に生きる事のドラマのすべて。

2.驚くべきイマジネーションの飛翔
ダリを生んだこの国が放つ魔術的な世界の変容や信じられないイマジネーションの世界を紹介する。家の中の家具がすべて真っ二つに切断された部屋、馬に乗り大学の建物内を闊歩するビジネススーツの紳士、天の星座が地上にそのまま転写されたかのような光景―。ラテンアメリカの魔術的感覚とスペインの想像力の幸福な結婚の成果。

3.表現の多様性
ヴィデオ、空間インスタレーション、絵画、彫刻と眼を見張るほどの表現の多様性。寡黙な絵画の上に流れるゆったりとした時間からドキュメントと見まごう映像の過激なスピード感まで、緩急豊かなメディアによって産み出されるとても刺激的な鑑賞体験。
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■出品作家■(アルファベット順)
ピラール・アルバラシン | Pilar Albarracín
ララ・アルマルセーギ | Lara Almarcegui
セルヒオ・ベリンチョン | Sergio Belinchón
ビセンテ・ブランコ | Vicente Blanco
ライモン・チャべス | Raimond Chaves
エレナ・フェルナンデス・プラダ | Elena Fernández Prada
ジョアン・フォンクベルタ | Joan Fontcuberta
サンドラ・ガマーラ | Sandra Gamarra
カルロス・ガライコア | Carlos Garaicoa
カルメラ・ガルシア | Carmela García
アンソニー・ゴイコレア | Anthony Goicolea
ディアンゴ・エルナンデス | Diango Hernández
片山薫 | Kaoru Katayama
レオニルソン | Leonilson
クリスティーナ・ルカス | Cristina Lucas
ホルヘ・マキ | Jorge Macchi
ヒルダ・マンティージャ | Gilda Mantilla
エンリケ・マルティ | Enrique Marty
フリア・モンティージャ&フアンデ・ハリージョ | Julia Montilla & Juande Jarillo
MP&MP ロサード | MP & MP Rosado
マリナ・ヌニェス | Marina Núñez
タティアナ・パルセロ | Tatiana Parcero
ホルヘ・ピネダ | Jorge Pineda
ミゲル・アンヘル・ロハス | Miguel Ángel Rojas
フェルナンド・サンチェス・カスティーリョ | Fernando Sánchez Castillo
マルティン・サストレ | Martín Sastre
ハビエル・テジェス | Javier Téllez
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■展覧会基本情報■
展覧会名| 「驚くべきリアル」展
スペイン、ラテンアメリカの現代アート‐MUSACコレクション‐
会期| 2014年2月15日(土)―5月11日(日)
開館時間| 10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日|  月曜日(5/5は開館)、5/7
会場| 東京都現代美術館 企画展示室1F、ホワイエ
主催|  東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、カスティーリャ・イ・レオン現代美術館、Acción Cultural Española (AC/E, スペイン文化活動公社)
後援| 在日スペイン大使館
助成 |  公益財団法人 野村財団
協力 | NECディスプレイソリューションズ株式会社
観覧料|  一般 1100円(880円)/ 大学生・65歳以上 800円(640円)/ 中高生 600円(480円)/小学生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)は無料です。 *本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
同時開催| 「MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」 / 「MOTコレクション」
展覧会図録| 「驚くべきリアル」展 ミニ図録 2月中旬発売予定

関連イベント| 「スペインアートの現在(いま)」トークイベント
登壇者:マヌエル・オルベイラ(MUSAC館長)
長谷川祐子、クリスティン・グスマン(本展キュレーター)
エンリケ・マルティ、カルロス・ガライコア、マリナ・ヌニェス、片山薫(出品作家)
日時 |2014年2月15日(土)14:00-
場所 |東京都現代美術館 B2F講堂
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東京都現代美術館
http://new.mot-art-museum.jp/index.html

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