スタート!「寿ぎのかたち」展@觀海庵

群馬 ハラ ミュージアム アークより

不老長寿、子孫繁栄、富貴など、吉祥の意味合いが重ねられたモチーフは、鶴、亀、松竹梅、牡丹、宝珠と実にさまざまで、幸せを願う人々の想いの「かたち」として見ることができます。本展は、新年を迎えるにあたり、おめでたい画題や意匠が描かれた作品を展示し、古くからの信仰と風習の「かたち」をお楽しみいただこうというものです。


森徹山「百鶴図屏風」(左隻部分) 江戸時代
岩場に根をはる大きな松から右へとゆるやかに海岸線がのび、その上空から波打ち際に丹頂鶴や真鶴がさまざまな姿で描かれています。鶴は姿の美しさやその鳴き声から、中国では古くから霊鳥とされて尊ばれました。日本でも「鶴は千年、亀は万年」と言われ、不老長寿のシンボルとして定着しています。また、常緑樹の松も不老長寿の象徴であり、寿ぎの意味が込められたおめでたい絵としてみることができます。


「ぶりぶり蒔絵徳利提」 江戸時代
色絵薩摩焼の徳利一対をおさめる徳利提。左右の枠は、子どもがお正月の遊びに楽しんだ「ぶりぶり(振振)」をかたどっています。「ぶりぶり」は、八角の紡錘形に削られた木に車輪と紐が付いた遊び道具ですが、江戸時代なかば以降は、魔よけとして年始の室内の飾り物とされたり、子どもの成長を願うために贈られたりと、祝儀物や贈答用の鑑賞品として作られるようになりました。側面にも松竹梅、鶴に亀などが描かれていて、人々が願う幸せのかたちが表れています。

お正月には、吉祥の絵画や工芸品を床の間に飾り、新しい年の無病息災や多福多寿を祈って、言祝(ことほ)ぐ風習があります。言祝ぐとは、喜びや祝いの言葉を述べること、言葉で祝福することで、寿(ことほ)ぐとも書きます。特別展示室 「觀海庵」がお正月を寿ぎ、福を招く場となればと思います。現代美術作品と取り合わせた「かたち」の競演とともにご堪能ください。

【出品作品】
◇古美術
狩野派「雪景山水図」(三井寺旧日光院客殿障屏画) 四幅 桃山~江戸時代/森徹山「百鶴図屏風」 六曲一双 江戸時代/横山大観「海辺曙色図」 一幅 明治時代/「ぶりぶり蒔絵徳利提」 江戸時代/「松竹梅蒔絵十種香箱」 江戸時代/「吉祥文堆朱如意」 清時代 ほか
◇現代美術
荒川修作「それを見よNo.3」 1968/クレス オルデンバーグ「ソフトスクリュー」 1976/ナム ジュン パイク「キャンドルテレビ」 1980/アニッシュ カプーア「虚空」 1992/中山ダイスケ「grape rain」 2003 ほか

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ハラ ミュージアム アーク 冬の展覧会

◆觀海庵
寿ぎのかたち
◆現代美術ギャラリー
Cheer up! 元気になる美術(アート)―原美術館コレクションより

会期 2010年12月18日(土)-2011年1月4日(火)
*休館日 2011年1月1日(土)
 荒天時は都合により臨時休館する場合がございます

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