中村桂子氏講演会レポート

東京・原美術館より

「崔在銀 展―アショカの森―」の関連イベント第2弾として、去る10月31日、JT生命誌研究館館長 中村桂子氏による講演会が開催されました。

「樹が教えてくれること―時間と関係」と題した本講演では、生きものを38億年という長い時間の中で考える知である “生命誌”の基本的な考え方を紹介。人間とは生きものであり、樹や草や虫など多様な生きものたちと同じ祖先をもつ自然の一部である。そしてそれらと長い時間をかけて結ぶ関係が“心”であり、心を忘れないでいることが共に生き、共に進化するために大切なことであると語ってくださいました。生きているとはどういうことかを見つめ、生きるとはどういうことかをひたすら考えてきた中村氏の言葉のひとつひとつが、深く心に響きます。

作品制作を通じて生命を考察してきた崔在銀は、以前から中村氏の考え方に深く共感しています。逆に中村氏も崔の自然との向き合い方や表現の見事さに圧倒されていると言います。そんな二人の対談は『ゲノムの見る夢』(青土社)に収録されています。原美術館ザ・ミュージアムショップ(Tel:03-3445-2069)でお買い求めいただけます。


「生命誌絵巻」(協力:団まりな 画:橋本律子)

また、本講演を聴き逃してしまった方は、崔在銀展のカタログに、氏のエッセイを収録していますので、ぜひそちらもショップでお買い求めください。崔在銀の作品に生命誌の考え方を重ねることで、より広く深く作品の世界に触れることができると思います。


講演中の中村桂子氏


講演会の様子

なお、「崔在銀 展―アショカの森―」は12月26日(日)まで続きます。「樹と森のもつ時間と空間とを、私たちの中に存在する生きものとしての時間と空間に重ね合わせ、流れを感じとり、見えないものを見ることで生きていることの意味を感じとる場」(中村桂子、「樹の中にある時間と空間を感じとる」、崔在銀展カタログより引用)と中村氏が評する本展にぜひお越しください。

生命誌についてより深く知りたい方は、JT生命誌研究館のウェブサイトへ。
http://www.brh.co.jp/

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「崔在銀 展 ―アショカの森―」
9月11日(土)~12月26日(日)
※日・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを行ないます(2:30pmより30分程度)

「VIVA Festival」
11月13日(土)、14(日)
16カ国のアーティストのヴィデオアート作品34本を2日間連続上映

品川駅と原美術館を結ぶ無料ミニシャトルバス「ブルンバッ!」毎週日曜運行中。
[協賛:ブルームバーグL.P./アーティスト:鈴木康広]
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