「秋のいろどり」展@觀海庵

群馬 ハラ ミュージアム アークより


伝小栗宗湛「月に猿猴図」 室町時代

この秋の觀海庵では、時季をいろどる景物がお楽しみいただける展覧会を開催中です。
秋といえば、まず月があげられます。澄みわたった空に観る月は特に美しく、日本では古くから旧暦8月15日の月を「中秋の名月」として観賞してきました。そこで前期は、伝小栗宗湛(おぐりそうたん)「月に猿猴(えんこう)図」、「武蔵野図屏風」など、月をモチーフにした作品を中心に構成しています。また、月とあわせて語られたり描かれたりしてきたことにちなみ、美人図も展示しました。狩野宗徳「楊貴妃双陸(ようきひすごろく)図」など、狩野派が描いた桃山時代から江戸時代の絵画です。

美術に表現された季節の風物や文学などを通して、身近に残されている自然に改めて目を向けていただける機会となれば幸いです。


「武蔵野図屏風」(部分) 江戸時代
武蔵野は荒涼としてさえぎるものがなく、古くからその野趣に様々な想いを託した和歌が多く詠まれました。『万葉集』『新古今和歌集』をはじめ、『伊勢物語』にもその地名が見えます。本図も「武蔵野は月の入るべき嶺もなし尾花が末にかかる白雲」(『続古今和歌集』)など、歌に詠まれた武蔵野のイメージを描いたと考えられる屏風です。
左上部に厚みのある銀で三日月が表わされています。そして、萩、桔梗などの秋草が数ヶ所に生い茂るように描かれ、細く緩やかな曲線を重ねた薄の葉の繊細な描写が、画面の枠を超えて野原の広がりを感じさせ、秋の風情をいっぱいに写し出しています。

【前期出品作品】
伝小栗宗湛「月に猿猴図」一幅 室町時代/狩野宗徳「楊貴妃双陸図」一幅 (『狩野派寄合書』のうち) 桃山~江戸時代/狩野四郎二郎・貞信「王昭君図」一幅 (『狩野派寄合書』のうち) 江戸時代/「武蔵野図屏風」八曲一隻 江戸時代/伝森狙仙「猿猴図」一幅 江戸時代/菅井汲「月」 1957 ほか
【前・後期出品作品】
伝聖武天皇ほか 手鑑「麗藻台」一帖 奈良~室町時代/「葡萄栗鼠蒔絵提重」 一基 江戸~明治時代/崔在銀「モーツァルトへのオマージュ」 1988/篠田桃紅「通」 2003/青木野枝「立山」 2007/佐伯洋江「無題」 2009 ほか

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ハラ ミュージアム アーク 秋の展覧会
◆觀海庵
秋のいろどり
会期 前期 2010年9月11日(土)-10月11日(月・祝) / 後期 2010年10月16日(土)-11月14日(日)
◆現代美術ギャラリー
Cheer up! 元気になる美術(アート)―原美術館コレクションより
会期 2010年9月11日(土)-12月5日(日)

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