3_フロレンシア ロドリゲス ヒレス 「ホームアゲイン」展作家解説[原美術館]

「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」展出品作家メールインタビュー。2009年に滞在制作をしたフロレンシア ロドリゲス ヒレスは、演劇や舞台における演出や衣装をモチーフに、幻想的な絵画を描いています。展覧会初日にはバレエダンサー二人を招き、パフォーマンスも行ないました。
聞き手: NPO法人アーツイニシアティヴ東京[AIT/エイト] *この文章は展示室にも掲示されております。


本展記者会見にて 撮影:木奥惠三

フロレンシア ロドリゲス ヒレス Florencia Rodriguez Giles アルゼンチン 1978年生
アルゼンチンのブエノスアイレス在住。ブエノスアイレス美術大学で学ぶ。演劇の一場面のような舞台や小道具、衣装等を描き、あるいはインスタレーションし、日本の能からギリシャ劇まで、さまざまな神話的表象、物語世界の断片が混ぜ合わされた幻想的な世界観を投影する。東京滞在中(2009)には、そのような神話的イメージに日本の印象を織り交ぜたドローイングを制作。

問1:これまで演劇的なものやフィクションに興味を示してきましたが、2009年の東京滞在で最も印象に残ったことは何でしたか?作品づくりに影響を与えるような特別な経験はあったのでしょうか。

レジデンスの経験は、私が帰国後に制作した多くの作品を決定づけたといえます。東京で制作した「フィクショナル アイランズ」が元となり、2年後に新たな作品を制作しました。作品に多くの影響を与えた日本での発見の一つは、やはり能の舞台でした。長い間、宗教とフィクションの合流点を考えてきましたが、能の舞台はそれを完全な方法で見せてくれたといえます。また、滞在中に参加した舞踏のワークショップも、大きな収穫となりました。そこでは、能にも共通すると思われる教練を経験することができたのです。

問2:新作についても教えてください。これは、静粛な儀式や祈祷のようなものを表しているのでしょうか。

作品「堕落しない名前」では、神秘主義を脱し、宗教を持たない祈祷者のあり方を探っています。作品の一部は、スーフィズム(イスラム教の思想の一つ)の考えを引用しており、スーフィズムでは、祈祷の時間の中で言葉としての教えの創造と悟りに違いはありません。ただ、私は、特定の歴史や伝統とは関わりの無い信仰のあり方に関心があるので、作品では特定の文献も無く、その不在こそが祈祷者を導くことを表しています。


フロレンシア ロドリゲス ヒレス 「堕落しない名前」
布、合板、セメント、その他 2012年 290 x 465 x 270 cm
(2012/8/27 オープニングレセプションでのパフォーマンスの様子) 
撮影:木奥惠三

Tumbler本展特設サイト http://homeagain2012.tumblr.com/
*BLOGにて作家や展覧会の動向を随時更新します。

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「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」
8月28日[火]-11月18日[日]

「MU[無]―ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」
12月7日[金]-2013年3月10日[日]

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