7_シャギニ ラトナウラン 「ホームアゲイン」展作家解説[原美術館]

「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」展出品作家メールインタビュー。2011年にこのプログラムで滞在制作をしたシャギニ ラトナウランは、インドネシアで注目を浴びるアーティストの一人です。また自身のファッションライン「FAR」を立ち上げ、精力的に活動をしています。聞き手: NPO法人アーツイニシアティヴ東京[AIT/エイト] *この文章は展示室にも掲示されております。


本展記者会見にて 撮影:木奥惠三

シャギニ ラトナウラン Syagini Ratnawulan インドネシア 1979年生
インドネシアのバンドゥン在住。ロンドンのゴールドスミス カレッジで学ぶ。「アンダー・コンストラクション アジア美術の新世代」展(東京オペラシティアートギャラリー、国際交流基金フォーラム、2002)に出品。東京滞在中(2011)には、「夢と現実」をテーマに、滞在中に見つけた古い家具やタイプライター、クッションなどを使用し、静謐だが暗示に富むインスタレーション、写真、ドローイングを制作。そのうち、写真作品「L.S.」は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐(The Last Supper)」をモチーフに、作品と同じ位置に並ぶ人物像を白いベールで包み、秘めたる歴史や時間を表現した。

問1:東京滞在中はきわめて私的なテーマによる小品とドローイングを制作しましたね。少し説明してもらえますか。

私は制作においては勉学中からずっとコンセプチュアルです。作品は精神の産物であり、いま達成しようとしているものは心の底からの作品を生み出そうということです。2010年以来、自分の心の奥を掘り下げてもっと私的なテーマを探究してきましたが、作品はまだコンセプチュアルな枠組みにはまっていると思います。ある意味もっと複雑にはなりましたが、必ずしもそういうふうな感じには見えません。私は作品から尊大さを振り払いたい、そしてもっと作品に正直でありたいと思います。


展示風景 撮影:木奥惠三

問2:ドローイングがあなたの制作の中心のように見えます。そしてとても幻想的だったりグロテスクに近い作品もありますね、たとえば毛髪とか。あなたの作品は恐怖とか欲望について何か言おうとしているのですか。ときにはそう、ホラーにも似た強い心理学的な広がりがあるようにも見えます。

恐怖とは取り除かなければいけないものですね。私は作品を通して恐怖を取り除こうとしています。

問3:レオナルド ダ ヴィンチの「最後の晩餐」やハンス ベルメールの人形など、有名な作品に言及するものがいくつもありますね。著名な図像を使うことで違う歴史や隠された物語を語ろうとしているのでしょうか。

それはただ私のマインドセットがレオナルド ダ ヴィンチの原理に影響されているからですね。ウィトルウィウス的人体図とか黄金分割、黄金比であるとか。卓越した存在は無限のスキルを持ち、受容できないものは何もありません。そうした発想のすべてが教えてくれたことは、恐怖、疑念、後悔などを取り除き、高い水準でなにごとも受け入れられるようになることです。

問4:今回の新作について少し教えてください。

雨のように降る剣を描きました。タイトルは「帰郷する剣」です。実はずっと頭の中にあった疑問です。審判の日についてのね。私たちは世界の終末を信じることができるのでしょうか?生命の結末を?

Tumbler本展特設サイト http://homeagain2012.tumblr.com/
*BLOGにて作家や展覧会の動向を随時更新します。

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「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」
8月28日[火]-11月18日[日]

「MU[無]―ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」
12月7日[金]-2013年3月10日[日]

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