デザイン:本庄浩剛
アーティスト・イン・レジデンス プログラム2025 「CAMP」
2025年11月14日(金)–11月29日(土)
協同組合タッケン美術展示館 (青森市柳川1-1-5 JR青森駅東口ビル4F)
開館時間:10:00–18:00
休館日:11/17(月)
展覧会URL:https://acac-aomori.jp/program/2025-10-17/
国際芸術センター青森(ACAC)は、アーティスト・イン・レジデンス(AIR)の成果発表展を開催する。2026年3月までの施設改修工事に伴い、JR青森駅東口ビル内の協同組合タッケン美術展示館で展示を行なう。
本年度は、AIRのゲスト審査員にインディペンデント・キュレーターの池田佳穂を迎え、800件超の応募から前谷開、丹治りえ、アディ・スンドロ、アティッタヤポーン・センポーの4名を採択。さらに、スコットランドに位置するオークニー諸島・メインランド島のアートギャラリー/美術館 Pier Arts Centreの推薦によりサマンサ・クラークが加わり、計5名がACACで滞在制作を行なっている。
本年度のプログラム名称「CAMP」とは、一時的な居住や技能訓練の場、特定の感性や信念を共有する集団、さらには歴史的にマイノリティ間で共有されてきた反体制的な美学感覚を指す語でもある。本展は、表現者が集い滞在する場の条件として、都市的な快適さから距離を置き自作と向き合う環境を可視化し、非常時や例外状況を生き延びる術としての「CAMP」の可能性を検証する。
前谷開《Burns on the Retina (Dear Cells)》2020年
丹治りえ《みおぼえのある風景》2023年 Photo:大屋玲奈
前谷開(1988年愛媛県生まれ)は、主に写真を用い、自身の行為を変換・確認する方法として、訪れる場所や、そこで起こる状況、関係性のなかに自分がどのように立つことができるのかを考え、実践し、その過程を記録して作品化する。セルフポートレイトを発展させつつ、自身の立ち方とそれを風景として見つめるもうひとつの視点を往還し、自らの位置を思索する装置としてカメラを扱う。共同スタジオ「山中suplex」や、アーティストグループ「木曽路」、「ARCHIVES PAY」に所属し、共同制作や記録撮影などを行なう。2013年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院芸術研究科表現専攻修士課程を修了し、現在は神奈川県に在住。主な展覧会に、「À l’intérieur de Portrait de famille」(パリ日本文化会館、パリ、2024)、「地下の」(TALION GALLERY、東京、2024)、「転覆する体 アート、ジェンダーとメディア」(The 5th Floor、東京、2023)「類比の鏡/The Analogical Mirrors」(山中suplex、滋賀、2020)、「六本木クロッシング2019 展:つないでみる」(森美術館、東京、2019)などがある。
丹治りえ(1983年福島県生まれ)は、建造物の中の日常空間をモチーフに、建築資材や日用品など身近にある素材をアッサンブラージュし、仮設的な構造物を制作して、人間とモノまたは人間と環境の関係性を探っている。同時に社会的な力学によって生まれる構造とともにその影で見過ごされてしまう個人的な出来事に関心を寄せ、モノや場に対する人間の感覚を揺さぶる作品を展開することを試みている。2009年に沖縄県立芸術大学大学院造形芸術研究科環境造形専攻彫刻修士課程を修了し、現在は沖縄県に在住。主な展示と活動に、Katsurao AIR(福島、2025)、ARCUS Projectいばらき アーティスト・イン・レジデンスプログラム(茨城、2024)、「パピリオン構想展」(今帰仁村中央公民館、沖縄、2024)、個展「みおぼえのある風景」(RENEMIA / Luft shop、沖縄、2023)、「和田ながら×新垣七奈 ジャンコクトー『声』」の舞台美術(那覇文化芸術劇場なはーと、沖縄、2023)、「REDRAW TRAGEDY」(Künstlerforum Bonn、ドイツ、2022)、「SICF22」(スパイラルホール、東京、2021)など。
アディ・スンドロ《GORENGAN Bureau》 Installation view of Museum MACAN Children’s Art Space 2025年 Photo:Liandro Siringoringo
アティッタヤポーン・センポー《Grassy Diary》 Photo from Video
サマンサ・クラーク《The Wave》 Image: detail
アディ・スンドロ(1992年ジャカルタ生まれ)は、版画制作に取り組み、多様な印刷技法を組み合わせることで、伝統の枠にとらわれない独自の表現を追求している。日々の些細な出来事から社会的・政治的な問題まで、身近な現象にまなざしを向ける表現手段として、版画の特性を活かした創作を行なっている。ジャカルタ州立大学およびバンドン工科大学で美術教育を学び、修士課程を修了。2014年より版画スタジオを拠点とするコレクティブ「グラフィス・フル・ハラ」のメンバーとして活動し、版画の探求・実験・教育に注力している。2019年にはジョグジャカルタのKKFにて初個展「Bualan Ikan: Narasi-narasi yang Terseret Arus」を開催。2025年には、ミュージアム・マチャン(MACAN)による子ども向けアートスペースのプロジェクト「GORENGAN Bureau(Good, Organized, Responsive, Engaged Neighborhood Citizen Bureau)」に起用された。主な受賞歴に、「第1回インターナショナル・キッチン・リソグラフィー・コンテスト」にてパブリック・プライズ賞(フランス、2016)、「UOB ペインティング・オブ・ザ・イヤー2022」エスタブリッシュド・アーティスト部門で銅賞受賞(2022)などがある。
アティッタヤポーン・センポー(1999年タイ・ロイエット県出身生まれ)は、イサーン地域(タイ東北部)を中心に社会構造を考察し、風刺的アプローチを通じて社会の規範を問い直し、「当たり前」とされ見過ごされがちな問題を浮き彫りにする。地域コミュニティとの関わりを通じて生活の現実と複雑さを作品に反映し、日常の視点を物語を誘発する思索へと転換しながら、マルチメディア・インスタレーション、ビデオ、パフォーマンス、ニューメディア、彫刻、写真などさまざまな形式で表現している。タイ・コンケン県のKULTX Collaborative Spaceでアーティストメンバーおよびアシスタントとしても活動。主な展覧会に、「Art On Farm 2024: Khakis in the Khampom City and Beyond」「Kenduri Seni Patani 2024: Grassy Diary」、「SOE We Trade Everything 2023: The Serendipity」、「Gold Rush Go Northeast」(KULTX Collaborative Space、2022)、「Young Artist 2021」(すべてタイで開催)など。
サマンサ・クラークは、オークニー諸島の風、空、海といったダイナミックな自然環境に呼応した作品を制作し、特に水を世界における深い共生関係とはかなさを示すものとして捉え、思索の対象としている。執筆、ドローイング、インスタレーション、映像、公共空間での恒久設置まで手がけ、現在は絵画と反復がもたらす瞑想性について取り組んでいる。これまでに数多くのレジデンシー、コミッションワーク、展覧会を行なっており、2019年にはカークウォールにあるバルフォア病院のために30メートルの壁画を制作した。エディンバラ芸術大学、ベオグラード美術アカデミー、スレード美術学校で学び、UCLANで環境哲学の修士号、セント・アンドリューズ大学でクリエイティブ・ライティングの博士号を取得。オックスフォード大学、ローマ・ブリティッシュ・スクール、タスマニア大学、バーゼルのIAAB国際交換スタジオなどでレジデンシーを経験した。著書に『The Clearing』(Little, Brown社、2020)。2023年には、初代となるRSA MacRobert Trust Art Award for Paintingを受賞した。
関連イベント
前谷開ワークショップ「写真になる」
2025年11月1日(土)、2日(日)10:00–17:00 ※1日ごとに完結するワークショップ
集合:国際芸術センター青森、展示棟ラウンジ
定員:各日5名(要申込、無料)
池田佳穂 × 参加アーティスト トーク
2025年11月15日(土)13:00–16:00
会場:旧ユースタイル(青森市新町2-6-21)
申込不要、無料
丹治りえ オフサイトでの作品公開
2025年11月16日(日)、23日(日)13:00–16:00
会場:旧ユースタイル 3F(青森市新町2-6-21)
申込不要、無料
キュレーターツアー
2025年11月18日(火)、19日(水)、20日(木)、21日(金)、25日(火)、26日(水)、27日(木)28日(金) 13:00–13:45
会場:協同組合タッケン美術展示館
申込不要、無料
アティッタヤポーンとタイナイト☆彡
2025年11月21日(金)17:00–22:00
会場:くいもんや まるふく(青森市幸畑1-21-20)
丹治りえワークショップ「きおくのきろくをさがし、きろくのきおくをたどる」
2025年11月22日(土)10:00–16:00
会場:旧ユースタイル 2F(青森市新町2-6-21)、青森駅周辺
定員:5名(事前予約制、無料、)
※詳細はホームページを参照
アディ・スンドロワークショップ「プリント&フライーキッチンリトグラフとゴレガンワークショップ」
2025年11月24日(月)9:00–15:00
会場:旧ユースタイル 2F(青森市新町2-6-21)
定員:5名(事前予約制、無料、)
※詳細はホームページを参照
アティッタヤポーン・センポー パフォーマンス
2025年11月28日(金)19:00–20:00
会場:旧ユースタイル 2F(青森市新町2-6-21)
申込不要、無料
前谷開パフォーマンス「歩く、眠る」
2025年11月29日(土)16:00–17:00
会場:旧ユースタイル 2F(青森市新町2-6-21)
申込不要、無料
