沖縄戦後80年・ベトナム戦争終結50年祈念「ベトナム、記憶の風景」@ 沖縄県立博物館・美術館

 

沖縄戦後80年・ベトナム戦争終結50年祈念「ベトナム、記憶の風景」
2025年11月22日(土)–2026年1月18日(日)
沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)企画ギャラリー1、企画ギャラリー2
https://okimu.jp/
開館時間:9:00–18:00(金・土は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、11/24、1/12は開館)、11/25、年末年始(12/29–1/3)、1/13
企画者:桒原ふみ(福岡アジア美術館学芸員)
展覧会担当:豊見山愛(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)
展覧会URL:https://okimu.jp/exhibition/vietnam/

 

沖縄県立博物館・美術館では、沖縄戦の終結から80年、そしてベトナム戦争終結から50年という、ふたつの歴史的節目を迎えるにあたり、芸術の力を通じて過去を見つめ、未来へと静かに問いかけるベトナム近現代美術展「ベトナム、記憶の風景」を開催する。

福岡アジア美術館からの巡回となる本展では、植民地支配から戦争、統一、そして現代へと続くベトナムの歩みを、4つの章と特別展示を通して紹介する。ベトナムにルーツを持つ、あるいはベトナムと深く関わるアーティストが近代以降に手がけた作品とともに、沖縄県立博物館・美術館の所蔵品からベトナムに関連する選りすぐりの作品を出品。沖縄とベトナムというふたつの地域の歴史と文化が交差する地点に立ち、深い共感と理解を育む場となることを目指す。

 

ルオン・スアン・ニー《読書する若い娘》1940年 福岡アジア美術館所蔵
グエン・ニ・ザオ《ディエンビエンフーの勝利をもう一度》1940年 福岡アジア美術館所蔵

 

1925年、フランス統治下のハノイに設立されたインドシナ美術学校では、西洋美術教育とベトナムの伝統が融合。美術家たちは「ベトナムらしさ」を追求し、理想の祖国像を描いた。「第1章 理想―描かれた祖国のイメージ」では、そうした近代ベトナム美術の草創期を担った作品に加え、戦時中に仏印を訪れた日本人美術家の作品を展示する。続く「第2章 熱気―駆け巡る戦場のリアル」では、独立を求めて、フランスやアメリカとの長い戦争へ突入したベトナムにおいて、美術家たちが戦争に立ち向かう人々の「熱気」を表現したポスターや、戦場の現実を記録する写真を出品。併せて、現代の視点から戦争を見つめ直す作品も紹介する。

 

チャン・ルォン《水の中》1993年 福岡アジア美術館所蔵
チュオン・タン《平和の母》2009年 福岡アジア美術館所蔵

 

戦争終結後のベトナム社会は、南北統一と経済開放によって急速に変化。都市化が進む一方で、農村は人々の心の故郷として描かれ続けた。「第3章 発展と郷愁―変わりゆく故郷のすがた」では、発展への希望と、変わりゆく故郷への郷愁が交錯する作品を紹介する。「第4章 追憶―歴史を携えて生きること」では、戦争を直接経験していない若い世代のアーティストたちが、自らのアイデンティティや記憶を通して歴史を語り直した作品を展示。痛みやトラウマを乗り越え、現代のベトナム美術が紡ぐ「追憶」の表現を展開する。そして、特設コーナーでは、ベトナム近代美術の絹絵の巨匠グエン・ファン・チャン(1892–1984)の貴重な作品を未来に繋げ、日越の架け橋を目指す三谷文化芸術保護情報発信事業財団による「グエン・ファン・チャン絵画保存修復プロジェクト」を紹介。ベトナム農村の暮らしを描き続けたグエンの作品16点を、15年かけて修復したその歩みと成果を展示する。また、沖縄会場特別展示として「沖縄戦後美術―記憶と抵抗の表現」と題し、米軍基地問題やベトナム戦争との関わりを背景に、與那覇朝大のベルベット・ペインティング、城間喜宏の《亜熱帯の島から》、石川文洋の報道写真とともに、沖縄とベトナムの痛みをつなぐ表現を紹介する。

 

グエン・ファン・チャン《籾篩(もみふるい)》1960年 作家遺族所蔵(同財団寄託)
城間喜宏《亜熱帯の島から》1968年 沖縄県立博物館・美術館所蔵

 

関連催事
オープニング・ギャラリートーク
2025年11月22日(土)10:00–11:00
解説:桒原ふみ(福岡アジア美術館学芸員)、豊見山愛(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)
会場:沖縄県立博物館・美術館 美術館企画ギャラリー
参加方法:当日先着順

シンポジウム「50年と80年-ベトナムと沖縄が語る芸術と平和」
2025年11月23日(日)14:00–17:00(開場:13:30)
登壇者:石川文洋(報道写真家)※リモートで参加、桒原ふみ(福岡アジア美術館学芸員)、豊見山愛(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)
ファシリテーター:若林千代(沖縄大学教授)
会場:沖縄県立博物館・美術館 博物館講座室
定員:80人
参加費:無料
参加方法:当日先着

学芸員によるキュレータートーク
2026年1月10日(土)14:00–15:30(開場:13:30)
解説:豊見山愛(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)
会場:沖縄県立博物館・美術館 美術館企画ギャラリー
定員:30人
参加費:無料(要当日有効の企画展チケット)
参加方法:当日先着

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