アートウィーク東京 特別展 AWT FOCUS 「リアルとは?」 @ 大倉集古館

Courtesy Art Week Tokyo.

 

アートウィーク東京 特別展 
AWT FOCUS 「リアルとは?」
2025年11月5日(水)-11月9日(日)
⼤倉集古館(東京都港区⻁ノ⾨2-10-3)
https://www.artweektokyo.com/
開館時間:10:00–18:00(最終⼊場17:30)
展覧会URL:https://www.artweektokyo.com/focus/
チケット購入:PeatixまたはArtsticker

 

2025年11月5日から9日の5日間にわたり、アートイベント「アートウィーク東京(AWT)」の特別展として、美術館での作品鑑賞とギャラリーでの作品購入というふたつの体験を掛け合わせた「AWT FOCUS」が開催される。第3回となる今年は、ドクメンタ14(2017)でアーティスティックディレクターを務めたアダム・シムジックが監修を務め、芥川(間所)紗織風間サチコヤン・ヴォーなど60組の作家が出展する。

AWTは、東京都内の数多くの美術館やギャラリーが参加、文化庁の協力の下、世界有数のアートフェア、アートバーゼルと提携し、東京における現代美術の創造性と多様性を国内外に発信するアートイベントとして、コロナ禍のプレ開催を経て2022年より年に一度開催している。本年度は52の美術館・ギャラリーが参加し、各会場をつなぐ恒例の無料のシャトルバス「AWT BUS」など、多彩なプログラムを通じて東京のアートのエコシステムの活性化を目指す。

 

風間サチコ《黒い花電車-僕の代》2008年 Courtesy Mujin-to Production AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品
バス・ヤン・アデル《僕は悲しすぎて言えない》1970年 Courtesy Meliksetian | Briggs AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品
ジャイスリー・チャクラヴァルティ《皮膚へと近づく呼吸 1》2023年 Courtesy Akar Prakar AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品

 

第1回、第2回に続き大倉集古館を会場とする「AWT FOCUS」は、美術館での作品鑑賞とギャラリーでの作品購入を兼ね備えたAWTの独自プログラム。今年のプログラムタイトルを「リアルとは?」とし、ポスト真実の幻想が流布し、ソーシャルメディアが非現実を生成・拡散する今日に、現実や写実はいかなる意味を持つのかを、社会的・政治的課題に応答してきた多様な表現を通じて検討する。

シムジックは、絵画・彫刻・写真・映画におけるリアリズムを「社会的・政治的課題を批判的に捉えるための表象」と位置づける一方、リアリズムがしばしば権力に回収され、「権力者にとって都合のいい幻想を大衆に見せるための手段」として利用されてきた事実を指摘。こうした幻想はポスト真実と呼ばれ、いまも続いているとする。あらゆることが非現実的で、手ごたえなくその存在を感じられない現代において、本展は、「リアルとは?」という素朴ながらも今日にふさわしい問いを掲げ、過去から現代までのさまざまな作品を通してリアルの多様なかたちを探る。

 

エリザベス・ヴィルト《無題》2000年 Courtesy Karma International AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品
瑛九《花》1946年 Courtesy Shibunkaku AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品
ヤン・ヴォー《2.2.1861》2009年– Courtesy Take Ninagawa AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品

 

主な出展作家に、「現在」の現象の根源を「過去」に探り、「未来」への暗雲を予兆する黒い木版画を中核に制作する風間サチコ。重力を主題とする作品を多く手がけ、三部作《In Search of the Miraculous》の一環として小型ボートで出帆後に消息を絶ったバス・ヤン・アデル。有機素材や多様な紙による独自技法を編み出し、紙の巻物形式のインスタレーションで知られるジャイスリー・チャクラヴァルティ。亡命と移住の記憶を背景に、絵画・彫刻・テキスタイルから小品コラージュへ展開し、調和と建築的感覚で抽象世界を紡ぐエリザベス・ヴィルト。油彩にとどまらず写真や版画にも取り組み、印象派やシュルレアリスム、キュビスムに触発されつつ作風を更新し続けた瑛九。幼少期の亡命と越境の経験を起点に、世界的覇権と文化の真正性の解体と修復をめぐる作品を発表してきたヤン・ヴォー。〈女〉シリーズや神話連作の明快な具象から、ニューヨーク留学を経て要素を研ぎ澄ませた抽象へ展開した芥川(間所)紗織。ドイツの都市社会におけるトルコ系の文化的アイデンティティと、ダンスや音楽などのサブカルの影響をめぐる表現を展開するネヴィン・アラダグなど。

そのほか、選りすぐりの映像作品を無料上映する「AWT VIDEO」、初心者からアート通まで、幅広い層に向けたシンポジウムやトークセッションを開催する「AWT TALKS」、アーティストとのコラボレーションカクテルや限定フード、サウンドプログラムが楽しめるポップアップバー「AWT BAR」など、さまざまなプログラムが予定されている。詳細はAWT公式ウェブサイトを参照。

 

芥川(間所)紗織《民話より》1955年 Courtesy Kotaro Nukaga AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品
ネヴィン・アラダグ《音楽室:椅子、糸、ベル(ダルムシュタット音楽室より)》2025年 Courtesy Galerie Krinzinger AWT FOCUS「リアルとは?」(監修:アダム・シムジック)出展作品
2024年度のAWT FOCUS「大地と風と火と:アジアから想像する未来」展示風景(大倉集古館、東京) Courtesy Art Week Tokyo

 

出展作家
青柳菜摘|Natsumi Aoyagi
青山悟|Satoru Aoyama
赤瀬川原平|Genpei Akasegawa
赤松俊子(丸木俊)|Toshiko Akamatsu (Toshi Maruki)
芥川(間所)紗織|Saori Akutagawa (Madokoro)
足立智美|Tomomi Adachi
バス・ヤン・アデル|Bas Jan Ader
ネヴィン・アラダグ|Nevin Aladağ
飯山由貴|Yuki Iiyama
石内都|Ishiuchi Miyako
今井俊介|Shunsuke Imai
岩崎努|Tsutomu Iwasaki
アピチャッポン・ウィーラセタクン|Apichatpong Weerasethakul
エリザベス・ヴィルト|Elisabeth Wild
ヤン・ヴォー|Danh Vo
瑛九|Ei-Q
大束元|Gen Otsuka
岡上淑子|Toshiko Okanoue
奥村雄樹|Yuki Okumura
風間サチコ|Sachiko Kazama
桂ゆき|Yuki Katsura
金川晋吾|Shingo Kanagawa
鴨治晃次|Koji Kamoji
川田喜久治|Kikuji Kawada
エドヴァルト・クラシンスキ|Edward Krasiński
ヴィルヘルム・サスナル|Wilhelm Sasnal
椎原治|Osamu Shiihara
ジャン・ウェイ|Zhang Wei
デイヴィッド・シュッター|David Schutter
ヴィヴィアン・ズーター|Vivian Suter
高梨豊|Yutaka Takanashi
鷹野隆大|Ryudai Takano
高松次郎|Jiro Takamatsu
田中秀介|Shusuke Tanaka
チウ・シーホァ|Qiu Shihua
ジャイスリー・チャクラヴァルティ|Jayashree Chakravarty
鶴田五郎|Goro Tsuruta
毒山凡太朗|Bontaro Dokuyama
中平卓馬|Takuma Nakahira
中村研一|Kenichi Nakamura
名坂有子|Yuko Nasaka
ナシャシビ/スケア|Nashashibi/Skaer
ロザリンド・ナシャシビ|Rosalind Nashashibi
那須佐和子|Sawako Nasu
ダニエル・ノール|Daniel Knorr
ガネーシュ・ハロイ|Ganesh Haloi
平田実|Minoru Hirata
ロス・ビレル|Ross Birrell
藤井光|Hikaru Fujii
堀川紀夫|Michio Horikawa
宮本三郎|Saburo Miyamoto
望月桂|Katsura Mochizuki
ナイーム・モハイエメン|Naeem Mohaiemen
山口長男|Takeo Yamaguchi
山中信夫|Nobuo Yamanaka
山本篤|Atsushi Yamamoto
吉増剛造|Gozo Yoshimasu
リー・キット|Lee Kit
ボリス・レベテス|Boris Rebetez
ワン・ビン|Wang Bing

 

アートウィーク東京
2025年11月5日(水)-11月9日(日)10:00–18:00
https://www.artweektokyo.com/
会場:都内の参加美術館・ギャラリー、AWT FOCUS、AWT BARほか各プログラム会場
主催:一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル
特別協力:文化庁
※会場やプログラムにより時間が異なる場合あり

アートウィーク東京モビールプロジェクト
2025年11月7日(金)-11月9日(日)10:00–18:00
主催:東京都、アートウィーク東京モビールプロジェクト実行委員会

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