装いの翼 いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子 @ ちひろ美術館・東京

いわさきちひろ《バラと少女》1966年

 

装いの翼 いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子
2025年10月31日(金)–2026年2月1日(日)
ちひろ美術館・東京
https://chihiro.jp/
開館時間:10:00–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、11/3、11/24、1/12は開館)、11/4、11/25、年末年始(12/28–1/2)、1/13
展覧会URL:https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/89274/

 

ちひろ美術館・東京では、行司千絵の著作『装いの翼 おしゃれと表現と——いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子』(岩波書店)を起点に、第二次世界大戦後、絵本画家、詩人、美術作家としてそれぞれ活動したいわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子の作品とことば、愛用の品や写真などを展示し、三者三様の美意識や生き方と、自由と平和を求める共通の思いを浮き彫りにする展覧会「装いの翼 いわさきちひろ、茨木のり子、岡上淑子」を開催する。

いわさきちひろ(1918–1974/福井生まれ)は、大正デモクラシーの機運が高まる東京で、進取の気風に富んだ家庭に育ち、恵まれた幼少期に美意識を育む。藤原行成流の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事。第二次世界大戦後、1950年に松本善明と結婚し翌年に長男・猛を出産。画家となり、子どもを生涯のテーマとして描き始める。趣向を凝らした子どもたちの装いには、子どもを慈しむちひろのまなざしが映し出されている。主な絵本に『おふろでちゃぷちゃぷ』(童心社)、『あめのひのおるすばん』『ことりのくるひ』(至光社)『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)などがある。本展では、ちひろの絵とともに、彼女が手づくりした可憐なワンピースや、懇意にしていたブティックであつらえたコートなども展示する。

 

茨木のり子「泉」自筆原稿 個人蔵 撮影:小畑雄嗣 『茨木のり子の家』(平凡社 2010年)より

 

茨木のり子(1926–2006/大阪生まれ)は、戦後の混乱期を生きた女性の心情を代弁する詩から、「現代詩の長女」とも称され、気骨のある詩人として知られる。6歳のときに医師である父の転勤により愛知県西尾町(現・西尾市)へ移住。帝国女子医学薬学専門学校(現・東邦大学薬学部)を卒業。24歳で詩作活動を開始し、川崎洋と同人「櫂」を結成。谷川俊太郎・岸田衿子・大岡信らとともに詩壇を牽引する。家庭では、プロ顔負けの料理をつくり、住まいを心地よく整え、洋服を自作し、幼少期から培われた審美眼で買い物を楽しんだ。主な詩集に『対話』(不知火社)、『見えない配達夫』(飯塚書店)、『自分の感受性くらい』(花神社)、『倚りかからず』(筑摩書房)など。本展では、のり子の詩と愛用の品から、そのしなやかな感性の源泉を探る。没後に発見、発表された夫への想いをつづった詩を収めた「Yの箱」も展示する。

岡上淑子(1928年高知生まれ)は、文化学院デザイン科を卒業し、1950年頃から独自にコラージュ作品の制作を始める。美術家・美術評論家で詩人の瀧口修造に見出され、1953年にタケミヤ画廊で初の個展を開催。同年、東京国立近代美術館で開かれた「抽象と幻想」にも出品。7年ほど美術家として活動をした後、長らく美術の世界とは距離を置く。2000年に44年ぶりの個展「岡上淑子フォト・コラージュ―夢のしずく―」(第一生命ギャラリー、東京)を開くと、再び注目が集まり、国内外での再評価に至る。2018年には高知県立美術館で初回顧展「岡上淑子コラージュ展―はるかな旅」を開催した。本展では、1950年代のモードを色濃く映した淑子のコラージュ作品とともに、ことばや書簡を展示し、彼女の美の源泉に迫る。

 

岡上淑子《終曲の午後》1952年 東京国立近代美術館蔵

 

関連イベント
行司千絵 特別ギャラリートーク
2025年10月31日(金)14:00–14:30
講師:行司千絵(新聞記者、『装いの翼』著者)
会場:ちひろ美術館学芸員
参加費:無料(入館料別)※申込不要
https://chihiro.jp/tokyo/events/88891/

トークイベント
甥夫婦が語る素顔の茨木のり子
2025年11月22日(土)14:00–15:30
講師:宮崎治(茨木のり子甥)、薫(甥の妻)
聞き手:行司千絵(新聞記者、『装いの翼』著者)
会場:ちひろ美術館・東京
定員:40名
参加費:1200円(別途、入館料)
会場:オンライン
定員:100名
参加費:900円
詳細および申込方法は下記URLを参照
https://chihiro.jp/tokyo/events/14710/

松本猛ギャラリートーク
2025年12月21日(日)14:00–14:40
講師:松本猛(いわさきちひろ長男・ちひろ美術館常任顧問)
会場:ちひろ美術館・東京
参加費:無料(入館料別)※申込不要
https://chihiro.jp/tokyo/events/97397/

そのほか、会期中のイベントは公式ウェブサイトを参照

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