オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック「PROJECT MRT—Natureless Solution/太陽と土と糞から切り離したテクノロジーの再考」@ 山口情報芸術センター[YCAM]

オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック 写真:Daniel James Grant 画像提供:アーティスト

 

オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック「PROJECT MRT—Natureless Solution/太陽と土と糞から切り離したテクノロジーの再考」
2025年10月11日(土)–2026年2月23日(月)
山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ、中庭、2階ギャラリー
https://www.ycam.jp/
開催時間:10:00–19:00
休止日:火(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29-1/3)、10/27
キュレーション:レオナルド・バルトロメウス(YCAMキュレーター)
展覧会URL:https://www.ycam.jp/events/2025/project-mrt/

 

山口情報芸術センター[YCAM]では、テクノロジーと自然、倫理と実践が交差する地点を見つめ直し、食の未来を再考すべく、組織培養工学を基盤とするバイオ・アートの先駆者として知られるオロン・カッツとイオナット・ズール、そして、スティーブ・ベリックが共同で取り組む研究を、YCAMとのコラボレーションの下でより深め、その経過を新作インスタレーションとして公開する展覧会「PROJECT MRT—Natureless Solution/太陽と土と糞から切り離したテクノロジーの再考」を開催する。

オロン・カッツ(1967年ヘルシンキ生まれ)とイオナット・ズール(1970年ロンドン生まれ)は、科学と芸術の境界を横断する実験的なプロジェクトを手がけるバイオ・アーティストで、特に生体素材を用いた芸術表現に先駆的に取り組んできた。2000年に、西オーストラリア大学内部に、世界初のバイオ・アート研究所「SymbioticA (シンビオティカ)」を設立。さまざまなアーティストや科学者と共同で研究・制作を手がけ、パフォーマンスやインスタレーションのための高度にテクニカルなインタラクティブ・システムのデザインを専門とするスティーブ・ベリックと共同で取り組んだ食料生産分野での農業技術を主題としたパフォーマティブな実験的プロジェクトの様子を収めた映像作品により、アルス・エレクトロニカ賞2023の人工知能(AI)&ライフアート部門で優秀賞を受賞するなど高い評価を得ている。

 

オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック 写真:Daniel James Grant 画像提供:アーティスト
オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック 写真:Daniel James Grant 画像提供:アーティスト

 

本展のタイトルにある「MRT」は、カール・マルクスが提唱し、社会学者ジョン・ベラミー・フォスターが現代に発展させた、人間社会と自然との間に生じる構造的な断絶を表す概念「メタボリック・リフト(Metabolic Rift)」を参照し、これに「技術(Technologies)」の視点を重ね合わせた造語「メタボリック・リフト・テクノロジーズ(Metabolic Rift Technologies)」の略。YCAMとオロン・カッツら3人のアーティストによる実験的取り組み「PROJECT MRT」の経過を公開する本展では、会場を科学的な実験や研究を行なう「ラボ」にみたて、微生物が発酵する際の熱を活用したコンポストインキュベーターやハイドロポニックス(水耕栽培)装置など、自然要素を人工的な代替物に置き換える農業技術(AgTech[アグテック])を応用した循環型の食料生産装置を複数設置し、会期を通じて実験的な運用を行なっていく。また、各装置に取り付けたセンサーが計測した環境データを監視できるブースを会場内に設置し、分解効率や生態系のバランス、最適な環境条件を評価する。

会期中には、ハンズオン(体験型)形式のさまざまなワークショップや、ツアー形式のイベントなど、多彩なプログラムを実施。また、10月17日から10月19日までの3日間には、同時期に個展「Ecologies of Closeness 痛みが他者でなくなるとき」を開催しているマヤ・エリン・マスダをはじめ、科学と芸術の境界を横断するアーティストや、バイオテクノロジーや食料生産に関わる研究者や専門家を迎えたカンファレンスイベント「YCAMオープンラボ2025 自然を切り離して問題が解決できるでしょうか」も開催される。

 

オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック 写真:Daniel James Grant 画像提供:アーティスト
オロン・カッツ+イオナット・ズール+スティーブ・ベリック 写真:Daniel James Grant 画像提供:アーティスト

 

関連イベント
アーティストトーク
2025年10月11日(土)14:00–16:00
登壇者:オロン・カッツ、イオナット・ズール、スティーブ・ベリック、レオナルド・バルトロメウス
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA
定員:30人
参加費:無料
※通訳あり
https://www.ycam.jp/events/2025/artist-talk-of-project-mrt/

PROJECT MRT ガイドツアー「切り離したものを耕す」
2025年10月17日(金)10:00–12:00、11月16日(日)14:00–16:00、12月7日(日)14:00–16:00、2026年1月17日(土)14:00–16:00、2月21日(土)14:00–16:00
集合場所:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ
定員:各回20人(要申込)
対象:高校生以上
参加費:無料
https://www.ycam.jp/events/2025/project-mrt-guided-tour/

ハンズオンワークショップ
「センサーを作ってみよう」
2025年10月12日(日)14:00–16:00、12月6日(土)14:00–16:00
https://www.ycam.jp/events/2025/hands-on-workshop-of-project-mrt-vol1/
「水耕栽培装置を作ってみよう」
2025年11月15日(土)14:00–16:00
https://www.ycam.jp/events/2025/hands-on-workshop-of-project-mrt-vol2/
「パーソナル・バイオテクノロジーを考えてみよう」
2026年1月10日(土)14:00–16:00
https://www.ycam.jp/events/2026/hands-on-workshop-of-project-mrt-vol3/
「「美味しいデータ」とはなんだろう」
2026年2月22日(日)14:00–16:00
https://www.ycam.jp/events/2026/hands-on-workshop-of-project-mrt-vol4/
集合場所:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ
定員:各回10人(要申込、先着順)
対象:中学生以上
参加費:無料
https://www.ycam.jp/events/2025/hands-on-workshop-of-project-mrt/

ギャラリーツアー
2025年10月12日(日)11:00–12:00、10月18日(土)11:00–12:00、10月19日(日)11:00–12:00、11月2日(日)14:00–15:00、11月30日(日)13:00–14:00、12月21日(日)13:00–14:00、2026年1月18日(日)13:00–14:00、2月22日(日)13:00–14:00
集合場所:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ
定員:各回10人(要申込)
参加費:無料
※10月18日のみ英語で実施
https://www.ycam.jp/events/2025/gallery-tour-of-project-mrt/

 


同時期開催
scopic measure #17:マヤ・エリン・マスダ
Ecologies of Closeness 痛みが他者でなくなるとき
2025年7月5日(土)-11月2日(日)
山口情報芸術センター[YCAM]スタジオB
https://www.ycam.jp/events/2025/scopic-measure-17/

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