越後妻有MonET 連続企画展Vol.8 大野綾子「あなたたちとのむ、かごの中」@ 越後妻有里山現代美術館 MonET

大野綾子《Family (mother/me)》2025年 深岩石、作家蔵 Photo: Hayato Wakabayashi

 

越後妻有MonET 連続企画展Vol.8
大野綾子「あなたたちとのむ、かごの中」
2025年9月27日(土)–11月30日(日)
越後妻有里山現代美術館 MonET
https://www.echigo-tsumari.jp/
開館時間:10:00–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:火、水
展覧会担当:塚本麻莉(高知県立美術館主任学芸員)
展覧会URL:https://www.echigo-tsumari.jp/event/20250927-1130/

 

越後妻有里山現代美術館 MonETでは、2023年から取り組むゲストキュレーターによる連続企画展の第8弾として、高知県立美術館主任学芸員の塚本麻莉のキュレーションによる大野綾子の個展「あなたたちとのむ、かごの中」を開催する。

大野綾子(1983年埼玉県生まれ)は、キャリアの初期から一貫して石彫に取り組み、思い描くイメージの自由さの中で、石という物質の不自由さを手がかりにし、「わからなさ」が持つ言語を超えたひとつ先を「かたち」として留めている。大野のモチーフの中心を占めるのは、植物、昆虫、魚など、記号化された「重くない」もの。石をあえて軽やかで解放的な造形へと仕立てることは、重い/軽い、硬い/柔らかい、男性的/女性的といった二項対立をほどき、素材にまとわりついた固定観念に抗うための試みと捉えることができる。2008年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。近年の主な個展に「みどりは草の色カマキリの色」(CADAN 有楽町 by KAYOKOYUKI、東京、2022)、グループ展に「ところざわアートのミライ」(西武鉄道 所沢駅、埼玉、2023)、「タイムライン―時間に触れるためのいくつかの方法」(京都大学総合博物館、京都、2019)、「第7回大黒屋現代アート公募展」(板室温泉大黒屋、栃木、2012 ※大賞受賞)など。

 

展示風景「あなたたちとのむ、かごの中」越後妻有里山現代美術館 MonET、新潟、2025年

 

ひさしぶりの個展となる本展では、家族をテーマとした新作を発表。展覧会タイトルに含まれる「かご」という言葉は、外部と隔てられた小さな空間、すなわち作家自身の家庭の営みをほのめかす。自分のほか、夫や子どもといった具体的な「あなたたち」をイメージしてノミを振るった結果、簡潔なフォルムを保ちつつ、作品には以前にない奥行きと重量感が備わることとなった。この新たな展開において、悲喜こもごもの日常を共に過ごす家族という存在を取り上げたことによる個人的な実感に加えて、大野のこの社会で生きるわたし/妻/親としての多層的な心理が作品に反映されることになった。

本展キュレーターの塚本麻莉は、2016年より高知県立美術館で学芸員を務め、保存修復の知識を背景に、「残すべきものは何か」を問いつつ、会場ごとの地域性や特性をいかしたキュレーションに取り組む。同美術館では、2020年に高知ゆかりの作家を紹介する個展シリーズ「ARTIST FOCUS」を立ち上げたほか、2022年に同県出身の美術家・合田佐和子の回顧展を企画。美術館外の企画にも積極的に取り組み、若手・中堅作家の自主企画展を多数手がける。現在、2025年4月に国立アートリサーチセンター(NCAR)主催の育成プログラム「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」の育成対象者に選出され、MESとともにロサンゼルス現代美術館と協働し、展覧会制作に取り組んでいる。また、高知県立美術館では、企画を担当した特別展示・調査報告「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」が開催されている。

 

関連イベント
アーティストトーク
2025年9月27日(土)14:00–
講師:大野綾子
会場:越後妻有里山現代美術館 MonET 企画展示室
参加費:無料(別途入館料が必要)
申込方法:https://peatix.com/event/4532506/view

ワークショップ「石を使ってモビール(動く彫刻)を作ろう」
2025年11月1日(土)13:00–(約2時間)
講師:大野綾子
会場:越後妻有里山現代美術館 MonETエントランスホール
対象:小学生以上(小学校3年生以下は保護者の同伴が必要)
参加費:500円(別途入館料が必要)※支払いは現地にて。
申込方法:https://20251101.peatix.com/view

 


連続企画展
Vol.1|2023年7月1日(土)-8月27日(日)
「マテリアルショップカタルシスの岸辺 十日町店 &『死蔵データグランプリ2022-2023』記録展」
作家:カタルシスの岸辺
ゲストキュレーター:椹木野衣(美術評論家)
Vol.2|2023年9月9日(土)-11月5日(日)
「版画報、道が動く」
作家:松元悠
ゲストキュレーター:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
Vol.3|2023年11月18日(土)-12月24日(日)
「続・並行小舟唄 翠のうつわ」
作家:竹﨑和征+西村有
ゲストキュレーター:塚本麻莉(高知県立美術館主任学芸員)
Vol.4|2024年1月13日(土)-3月10日(日)
作家:田中藍衣
ゲストキュレーター:檜山真有(キュレーター/リクルートアートセンター)
Vol.5|2024年4月13日(土)-6月9日(日)
作家:出津京子
ゲストキュレーター:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
Vol.5|2024年11月23日(土)-2025年1月13日(月祝)
作家:光岡幸一
ゲストキュレーター:檜山真有(キュレーター/リクルートアートセンター)
Vol.7|2025年1月25日(土)-6月22日(日)
作家:三宅感
ゲストキュレーター:椹木野衣(美術評論家)

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