
KAAT EXHIBITION 2025
大小島真木展|あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?
2025年9月21日(日)–10月19日(日)
KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ・アトリウム
https://www.kaat.jp/
開場時間:11:00–18:00(入場は閉場30分前まで)
休場日:火(ただし9/23は開場)
特設ウェブサイト:https://kaat-seasons.com/exhibition2025/
KAAT神奈川芸術劇場では、劇場空間と現代美術の融合による新しい表現を展開する独自の企画シリーズ「KAAT EXHIBITION」の10回目の企画として、「いびつに絡まりあう生命」をテーマに作品を制作している大小島真木による劇場初の個展「あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?」を開催する。
大小島真木は、東京を拠点に活動する大小島真木(1987年東京都生まれ)、辻陽介(1983年東京都生まれ)からなるアートユニットで、「絡まり、もつれ、ほころびながら、いびつに循環していく生命」をテーマに制作活動を行なう。大小島は、これまでにインド、ポーランド、中国、メキシコ、フランスなどで滞在制作に取り組み、2017年にはTara Ocean財団が率いる科学探査船タラ号太平洋プロジェクトにも参加している。2023年よりかねてより制作に関わっていた編集者・辻陽介との本格的な協働制作体制に入り、名称をそのままにアートユニットとして活動している。主な個展に「L’oeil de la Baleine/鯨の目」(パリ水族館、フランス、2019)、「鳥よ、僕の骨で大地の歌を鳴らして」(第一生命ギャラリー、東京、2015)、「千鹿頭 A thousand Dear Head」(調布市文化会館 たづくり、東京、2023)、「コレスポンダンス」(千葉市美術館 | つくりかけラボ09、2022)。主なグループ展に「地つづきの輪郭」(セゾン現代美術館、長野、2022)、「世界の終わりと環境世界」(GYRE、東京、2022)、「コロナ禍とアマビエ」(角川武蔵野ミュージアム、埼玉、2022)、「Re construction 再構築」(練馬区立美術館、2020)、「いのち耕す場所」(青森県立美術館、2019)、「瀬戸内国際芸術祭――粟島」(2019)など。KAAT神奈川芸術劇場では、KAATキッズ・プログラム『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』(振付・演出:北村明子、2021、2022)の舞台美術を手がけた。主な出版物に「ウオルド」(発行:作品社)、「鯨の目」(発行:museum shop T)など。2025年は国際芸術祭「あいち2025」にも参加。愛知県美術館と愛知県陶磁美術館茶室「陶翠庵」にて作品を発表する。



本展のタイトルである「あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?」は、メキシコの先住民セリ族が出身地を尋ねるときに用いる慣用句。また、日本語の古語においては、母体の胎児を包んでいる羊膜と胎盤を「胞衣(えな)」と呼んでいた。本展では、会場全体を世界各地で再生のシンボル、そして生死を超えて私たちを包みこむこの世界そのもののメタファーとして信仰されてきた「胞衣」に見立て、その内奥に「祈り」の場の創出を試みる。
本展に寄せた文章において、大小島は「祈り」とは「ある一つの世界との関わり方」であり、「生きていくなかで人はさまざま不条理や矛盾に見舞われますが、「祈り」とはそうしたなかで感じる痛みに対し、単にその解決や克服を目指していくのではなく、そうした「痛み」を所与のものとして、その痛みと共に生きていこうとする、一つの姿勢」であると記す。さらに本展では、そうした「祈り」を「出産」という営みに関係づけ、「いかなる状況においても命が生成していくというプロセスそのものを、その先に種の絶滅さえも見据えながら肯定すること、そして、そこへと捧ぐ祈りを表現すること」を目指す。
会期中には、関連企画として、舞踏カンパニー山海塾に参加し「金柑少年」「ARC」などの主要作品に出演中の舞踏手、松岡大が音楽家の佐藤公哉の音楽とともに大小島真木のインスタレーション空間の中で身体を通して生命への祈りを表現するパフォーマンス「胞衣|Ena」を発表するほか、最終日には、異界の地・遠野において、郷土芸能と現代カルチャーを織り交ぜ、音楽、芸能、食、語り部たちの声を媒介として、目に見えぬものへの想像をめぐらせるイベント「遠野巡灯篭木(トオノメグリトロゲ)」から、張山しし踊り(遠野郷早池峰しし踊り張山保存会)、サウンド・クリエイターのYosi Horikawa、Daisuke Tanabeが参加するフィナーレイベントも開催する。


関連企画
パフォーマンス
松岡大「胞衣|Ena」
2025年9月27日(土)12:30–12:50/17:00–17:20
出演:松岡大(山海塾 舞踏手)、佐藤公哉
会場:KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
参加費:展覧会チケットで観覧無料、予約不要
アーティストトーク
2025年10月4日(土)16:30–17:30
出演:大小島真木、辻陽介、長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
会場:KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ・アトリウム
定員:30名(事前予約優先・当日参加も可)
参加費:無料(展覧会観覧にはチケットが必要)
申込方法:9/10より、特別ウェブサイト内の申込フォームより
フィナーレイベント
大小島真木×遠野巡灯篭木 張山しし踊り「雌じし狂い」
2025年10月19日(日)17:30–18:30
出演:張山しし踊り(遠野郷早池峰しし踊り張山保存会)、Yosi Horikawa & Daisuke Tanabe
会場:KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
参加費:展覧会チケットで観覧無料、予約不要