藤本壮介の建築:原初・未来・森 @ 森美術館

《ハンガリー音楽の家》(外観)2021年 ブダペスト 撮影:イワン・バーン

 

藤本壮介の建築:原初・未来・森
2025年7月2日(水)-11月9日(日)
森美術館
https://www.mori.art.museum/
開館時間:10:00–22:00(ただし、9/23を除く火曜と8/27は10:00-17:00)入館は閉館30分前まで
会期中無休
企画:近藤健一(森美術館シニア・キュレーター)、椿玲子(森美術館キュレーター)
展覧会URL:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/soufujimoto/

 

森美術館では、建築家・藤本壮介の四半世紀にわたる主要プロジェクトを紹介する初の大規模個展「藤本壮介の建築:原初・未来・森」を開催する。

藤本壮介(1971年北海道生まれ)は、東京とパリ、深圳に設計事務所を構え、個人住宅から大学、商業施設、ホテル、複合施設まで、世界各地でさまざまなプロジェクトを展開している。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年に《青森県立美術館設計競技案》で2位に選出され注目を集め、同年に藤本壮介建築設計事務所を設立。2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞を受賞した集合住宅《ラルブル・ブラン(白い樹)》(フランス、モンペリエ、2019)に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞し、プロジェクトを次々と完成させ高い評価を得てきた。2024年には《国際センター駅北地区複合施設(仮称、仙台)》(宮城、2031年度竣工予定)の基本設計者に選定され、「2025年大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーを務める。主なプロジェクトに、《House N》(大分、2008)、《武蔵野美術大学美術館・図書館》(東京、2010)、《House NA》(東京、2011)、《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》(ロンドン)、《白井屋ホテル》(群馬、2020)、《石巻市複合文化施設》(宮城、2021)、音楽複合施設《ハンガリー音楽の家》(ブダペスト、2021)など。

 

《ハンガリー音楽の家》2021年 ブダペスト 撮影:イワン・バーン
《ラルブル・ブラン(白い樹)》2019年 フランス、モンペリエ 撮影:イワン・バーン
《武蔵野美術大学美術館・図書館》2010年 東京 撮影:DAICI ANO

 

本展では、藤本の活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで網羅的に紹介し、四半世紀にわたる歩みや建築的特徴、思想を概観する。さらに、藤本による未来の都市像の提案を通し、建築の存在意義や可能性についての考察も試みる。これまでの建築展で中心となっていた模型や設計図面、竣工写真だけでなく、藤本が設計した空間を体感できる大型模型、思考の過程を実験的に表現するプロトタイプや、藤本の創作の源でもある「森」をコンセプトにした新作の大型インスタレーション、映像を投影することで人の動きを可視化する模型、藤本の建築作品が演劇のように対話を行なう設定の作品などを展開。藤本の世界観をより視覚的・聴覚的に体感できる、現代美術館ならではの建築展のあり方を探求する。また、藤本が会場デザインプロデューサーを務める「2025年大阪・関西万博」の象徴ともいえる、「大屋根リング」のプロジェクトを、展示室内の各所で紹介する。さらに、これまでさまざまなクリエーターと協働を行なってきた藤本は、本展でも、倉方俊輔(建築史家、大阪公立大学教授)、幅允孝(ブックディレクター、有限会社バッハ代表)、宮田裕章(データサイエンティスト、慶應義塾大学教授)などとコラボレーションを行なう。

 

《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》2013年 ロンドン 撮影:イワン・バーン
《白井屋ホテル》2020年 群馬 撮影:田中克昌

 

本展は、「模型の森」「年表」「ブックラウンジ」「人が動く模型」「「2025年大阪・関西万博」大屋根リング」「建築同士の対話」「国際センター駅北地区複合施設(仮称、仙台)」により構成される。「模型の森」では、300㎡を超える巨大空間に、活動初期から現在計画中のものまで、藤本の全てのプロジェクトを紹介する大型インスタレーション《模型の森》を展開。模型や素材、アイデアの断片であるオブジェなどが無数に、年代順に配置され、ひとつのプロジェクトが別のプロジェクトに繋がり発展する流れも提示する。「年表」では、建築史家・倉方俊輔とのコラボレーションにより、藤本の活動の軌跡を総覧する年表を掲示。プロジェクトだけでなく、藤本の言葉や思想を、建築や社会の事象と並置して見せることで、藤本建築の歴史的文脈も読み解くことができるものとなる。また、主要作品の写真もあわせて展示する。「ブックラウンジ」では、窓から外の景色が見える開放感のある展示室に、間(あわい)をコンセプトとするブックラウンジを併設。藤本自身の著作だけでなく、本展コラボレーターの幅允孝が選書した関連書籍も並べる。

「人が動く模型」では、《安中環境アートフォーラム》(群馬、2004年計画案)、《エコール・ポリテクニーク・ラーニングセンター》(フランス、サクレー、2024)などの建築模型に、プロジェクターで人の動きを投影。設計時にシミュレーションされた利用者の動きから、藤本の空間に対する思想を読み解く。「「2025年大阪・関西万博」大屋根リング」では、万博会場のシンボルであり、世界最大級の木造建築物となる「大屋根リング」の5分の1部分模型(高さ約5メートル)を展示。また、本作の構想段階から完成に至るまでの資料も展示し、その歩みと議論も振り返る。「建築同士の対話」は、《石巻市複合文化施設》や《ハンガリー音楽の家》など、藤本が手掛けた複数の建築作品が擬人化され、それらが会話を交わすという設定の作品。会話を通じ、各作品の特徴や設計された背景、思想を浮かび上がらせる。「国際センター駅北地区複合施設(仮称、仙台)」では、仙台市に建設される、音楽ホールと震災メモリアルの拠点となる複合施設(2031年度竣工・開館予定)の大型模型を展示。設計や提案に至るプロセスがわかる資料も公開し、プロジェクトの全貌を紹介する。

 

《国際センター駅北地区複合施設(仮称、仙台)》2031年度竣工予定 宮城 © Sou Fujimoto Architects
《明治公園整備・管理運営事業》2026年竣工予定 福岡

 

関連プログラム
「藤本壮介の建築」展 トークセッション「建築の次代をひらく」
2025年8月8日(金)18:30–20:30(開場:18:15)
出演:秋吉浩気(VUILD株式会社代表取締役CEO、建築家、メタアーキテクト)、金野千恵(建築家)、中川エリカ(建築家)、萬代基介(建築家)、藤本壮介
モデレーター:椿玲子(森美術館キュレーター)
会場:森美術館オーディトリアム
定員:70名(要予約、先着順)※募集は既に終了
https://www.mori.art.museum/jp/learning/8016/

「藤本壮介の建築」展 トークセッション「未来の都市像とは?」
2025年10月19日(日)14:00–16:00(開場:13:45)
出演:倉方俊輔(建築史家、大阪公立大学教授)、宮田裕章(データサイエンティスト、慶應義塾大学教授)、藤本壮介
会場:森美術館オーディトリアム
定員:70名(要予約、先着順)
申込期間:2025年8月20日(水)-10月16日(木)
https://www.mori.art.museum/jp/learning/8018/

シンポジウム「建築の可能性をめぐって―藤本壮介の建築を起点に」
2025年7月6日(日)14:00–17:00(開場:13:30)
セッション1
出演:妹島和世(建築家)、塚本由晴(建築家)、藤本壮介
モデレーター:近藤健一(森美術館シニア・キュレーター)
セッション2
出演:田中仁(株式会社ジンズホールディングス代表取締役CEO)、宮田裕章(データサイエンティスト、慶應義塾大学教授)、藤本壮介
会場:TOKYO NODE HALL(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー46階)※受付場所:ARRIVAL HALL(45階)
定員:300名
料金:1,000円
申込期間:2025年6月2日(月)-7月3日(木)
https://www.mori.art.museum/jp/learning/8014/

 

 


同時開催
MAMコレクション020:世界は小さな物語のなかに―下道基行、ヴァンディー・ラッタナ、ジャン・オー[张鸥]、ツァオ・フェイ[曹斐]
2025年7月2日(水)-11月9日(日)
企画:趙純恵(森美術館アソシエイト・キュレーター)
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamcollection020/index.html

MAMプロジェクト033:クリスティーン・サン・キム
2025年7月2日(水)-11月9日(日)
企画:德山拓一(森美術館キュレーター)
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamproject033/index.html

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