都美セレクション グループ展 2025 @ 東京都美術館


 

都美セレクション グループ展 2025
2025年6月10日(火)-7月2日(水)
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
https://www.tobikan.jp/
開室時間:9:30–17:30 入室は閉室30分前まで
休室日:6/16
展覧会URL:https://www.tobikan.jp/exhibition/2025_groupshow.html

 

東京都美術館では、新しい発想によるアートの作り手の支援を目的として、東京都美術館の場所性やギャラリーの特性を活かした公募展「都美セレクション グループ展」に採用された3つの企画展「褻(ケ)に触れていく」、「感性が自然に擬態する」、「パブリック・ファミリー」を開催する。

ギャラリーAの「褻(ケ)に触れていく」は、アートの東洋的もしくは日本的方法論を模索するプロジェクトとして、4人のアーティストによる対話から始まった「ケカラハ」による企画展。不浄なものに触れるさまを表す古語「汚・穢(ケガ)らう」や日常を表す褻(ケ)にちなんで名付けられた「ケカラハ」のメンバー、小瀬村真美は近代の受容過程で西洋画黎明期の画家が取り上げたモチーフをもとに、現在にも通底する崇高性と不浄性を露わにし、宇多村英恵は死との対峙が文化生産や微細な所作に織り込まれる現場へとアプローチすることで、古代からつづく感性的な影響を探る。また、松尾孝之は高度成長期の建築物に生じた経年の歪みを測ることによって、空間が記憶する時間的変位を可視化し、岩井優は日々会場の清掃によって集めた塵を観察することで規範の境界を問いかける。本展では、展示のみならず、議論や制作、トークを通じて、日本人の土着的な感覚への再考を促し、出来事が生起消滅する展覧会において、これまでアートの保存やアーカイヴを研究してきた平諭一郎を軸に、記録からこぼれおちるものを記録する可能性についても創造的に考察・実践していく。

ギャラリーBでは、三者三様の感覚や姿勢を通じて「自然(nature)」に向き合い、制作に取り組む佐藤健太郎、土田翔、安田萌音と、自身もアーティストでありながら本企画にはコーディネーターとして活動する柏倉風馬からなるグループ「ビッグ・ネイチャー・ペインティング」による「感性が自然に擬態する」を開催。「自然を描くとは何か」という問いに対する自分たちの答えを展覧会タイトルに掲げ、擬態の意味を生物学的な枠組みを超えて、人間の感性が自然に限りなく近づこうとする行為として捉え、制作行為を「擬態」として読み解く。本展では、水や風の流動性を用いて、自然のもつ流れや循環のイメージを画面に定着させる佐藤健太郎、直写という表現手法を用い、自然との関係性を強めようと試みる土田翔、土が乾いていくなかで生まれるひび割れを、自然が描く線として作品に取り込む安田萌音の作品を通じて、「自然を描くこと」の意味を再考していく。

ギャラリーCでは、キュレーターの西田祥子とアーティストの工藤春香の企画・キュレーションによる「Public Family パブリック・ファミリー」を開催。近代家族制度における母親の役割について考察してきた工藤春香、家族という制度に収まらない共生の形を探りつつ写真に残す金川晋吾、ケアする身体・物質・時間・行為が、公共空間の中でどのように「共にある」ことができるかを問う坂本夏海、地域社会の営みのなかにあるジェンダーロールを運動会の一場面から伝えるさめしまことえ、立ち退きが進む集合住宅とその痕跡を丹念にリサーチしながら、「家族」が住まう地盤としての住まいについて探る佐々瞬の5名のアーティストが、今ある「家族」にまつわる小さなリアリティを見つめながらその表象を試みる。

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