川久保ジョイ Left is Right―45億年の庭と茹でガエル @ 原爆の図 丸木美術館

川久保ジョイ《Dungeness I》2024年 42x52cm タイプCプリント

 

川久保ジョイ Left is Right―45億年の庭と茹でガエル
2024年10月30日(水)-2025年3月23日(日)
原爆の図 丸木美術館
https://marukigallery.jp/
開館時間:9:00–17:00(12月〜2月は9:30–16:30)入場は閉館30分前まで
休館日:月(祝日にあたる場合は翌平日)、12/29–1/3
企画担当:岡村幸宣(原爆の図 丸木美術館学芸員)
展覧会URL:https://marukigallery.jp/8213/

 

原爆の図 丸木美術館では、写真、映像、インスタレーションといった多岐に渡る実践を展開してきた川久保ジョイの個展「Left is Right―45億年の庭と茹でガエル」を開催する。

川久保は2014年頃から、原子力発電所および原子力技術の利用に関する考察を巡る、フィールドリサーチを含めた一連の作品を発表してきた。本展副題の一部である45億年とはウラン238の半減期と地球の年齢であり、ひとりの人間の生より長い美術的実践の時間、植物の時間など、展覧会を流れるさまざまな時間軸が新作を含む作品群と多層的に響き合う空間を作りだす。

川久保ジョイ(1979年スペイン、トレド生まれ)は、物語性を巧みに用いた多メディア・インスタレーションで、特異的な歴史を普遍的な問題へと媒介する作品を展開してきた。近年では、原子力の問題、金融、歴史など人間の営みに焦点を当てた作品を制作している。2003年に筑波大学人間学部心身障害学を卒業し、筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程を中退後、金融トレーダーを経て制作活動を開始。現在は東京とロンドンを拠点にしている。近年の主な個展に、「I/body/ghost」(ヤマモト・ケイコ・ロシェイクス、ロンドン、2018)、「200万年の孤独、さくらと50万光年あまり」(黄金町エリアマネジメントセンター、横浜、2017)、「Stella Maris was a name I found in a dream」(大和日英基金、ロンドン、2016)、第10回 shiseido art egg 川久保ジョイ展「Fall」(資生堂ギャラリー、東京、2016)など。主なグループ展に、「Picturing the Invisible」(王立地理院、ロンドン、2022)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、東京)、「21st DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2019)など。また、2020年と2017年のヨコハマトリエンナーレに参加。

 

川久保ジョイ《Slow Violencello》からのスチル 2024年 カラー ステレオ

 

第一展示室には、2011年の福島第一原発の事故以来当地に赴き、土の中にネガフィルムを埋め、ある一定の時間を置いたあと掘り返す実験を繰り返してきたテストの一部である10枚のポラロイドを設置。原子燃料サイクル施設の建設が進む青森県の六ヶ所村を中心に撮影された新作《Slow Violencello》が本展の軸を形成し、本作に関するさまざまな要素が展覧会の中で展開される。映像内に登場するスマートフォンに表示された市場チャートは、台座の上に平置きされたウランの株価をモチーフとした新作の絵画と呼応。その絵画は、日本の原子力施設周辺をはじめとしたさまざまな土地で摘んだ植物から抽出した香りを放つエッセンシャルオイルが混ぜられた絵具によって描かれている。また、六ヶ所村から持ち込まれた松ぼっくりが、丸木美術館の庭の一角で成長を続ける。

さらに、本展のタイトルと響き合う「LEFT IS RIGHT」という文字が左右逆に点灯するネオン管など、自己言及性を有する作品を展示。川久保は、原子力発電所の立地的な観点に見られる地政学的な問題である、中央が周辺を搾取するという構造を資本主義経済、および植民地主義のメカニズムに重ね、それらを指摘しつつ、さらにひっくり返すような象徴的なジェスチュアを本展において重ねている。

 

川久保ジョイ《Slow Violencello》からのスチル 2024年 カラー ステレオ

 

11月3日には、アーティストのガブリエラ・ハーストによるプロジェクト「How to Make a Bomb」の一環として、希少なバラの品種「アトムボム・ローズ」の繁殖方法であるバラ接ぎ木を実際に行ないながら園芸と核の歴史のつながりについて学ぶワークショップと、シンポジウムなどの関連イベントを開催予定。

 

関連イベント
ガブリエラ・ハーストによるバラ接ぎ木ワークショップ「How to Make a Bomb」
2024年11月3日(日))11:00–12:30
会場:原爆の図 丸木美術館
参加無料(要当日入館券)
事前予約制 下記フォームより要申込 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfBC3vGSdaa4eBCDLdPb6uvPIH-tuDfrTWZaDeINJbthy7Aww/viewform

レセプション
2024年11月3日(日)13:00–
会場:原爆の図 丸木美術館前庭(雨天時変更の場合あり)
参加無料(要当日入館券)

シンポジウム
2024年11月3日(日)14:00–16:00
出演者:ガブリエラ・ハースト(アーティスト)、ラブリー・ウマヤム(作家・核政策研究者・Bombshelltoe Policy x Arts Collective創設者)、小林エリカ(作家・アーティスト)、川久保ジョイ(美術家・アーティスト)、岡村幸宣(原爆の図 丸木美術館学芸員)
会場:原爆の図 丸木美術館
参加無料(要当日入館券)

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