都美セレクション グループ展 2024 @ 東京都美術館

「都美セレクション グループ展 2024」(ギャラリーA、C)会場風景

 

都美セレクション グループ展 2024
2024年6月10日(月)-6月30日(日)
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
https://www.tobikan.jp/index.html
開室時間:9:30–17:30(金は20:00まで)入室は閉室30分前まで
休館日:6/17
展覧会URL:https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_groupshow.html

 

東京都美術館 ギャラリーA・B・Cでは、新しい発想によるアートの作り手の支援を目的として、東京都美術館の場所性やギャラリーの特性を活かしたグループ展を募り、その企画を実施する「都美セレクション グループ展 2024」を開催。応募の中から審査を経て選ばれた3グループが展覧会「スティル・エコー:境界の風景」、「ずれはからずもぶれ」、「回遊する風景」をそれぞれ実施し、絵画、写真、映像等によるさまざまな作品を展示する。

ギャラリーAでは、稲宮康人、笹岡啓子、新田樹、小原真史による「スティル・エコー:境界の風景」を開催。明治期に近代国民国家として船出した日本が、隣国との国境を画定し、その後東アジアに帝国主義的な侵出を行なう過程で出現した境界(ボーダーランド)の風景をテーマにした企画展。東アジアや南洋に広がった国家神道の痕跡を丹念に追う稲宮康人、大日本帝国の版図の縮小にともない異国となったサハリン(旧樺太)に生きる人々に焦点を当てる新田樹、日本列島を複雑に取り囲む海岸線と山々の有り様、そして東日本大震災以後の被災地の風景を注視してきた笹岡啓子の3名の写真家による作品と、本展のキュレーターを務める小原真史の博覧会コレクションを展示。1877年の第一回内国勧業博覧会以降、幾度となく博覧会が開催されてきた「エキシビション・パーク」であり、かつて植民地への理解や移住、投資を促すパビリオンがいくつも建ち並んでいた上野公園という場で、より深い視座で近現代の歴史や社会について再考をうながす展示を試みる。

ギャラリーBでは、ユミソン、イシャイ・ガルバッシュ、ハ・ジョンナム、イレン・トク、アリサ・ベルゲル、近藤愛助、吉川浩満による移動や移行をテーマにした企画展「ずれはからずもぶれ」を開催。第二次世界大戦中に米国の日系人収容所に収容されていた曽祖父と自分を重ねる近藤愛助、ナチスドイツに連行されドイツ各地の収容所を巡ったユダヤ人の母の足跡を辿るイシャイ・ガルバッシュ、日帝時代に朝鮮を逃れた母とロシア帝国からウクライナへ逃れたユダヤ系の父のファミリーツリーを追うアリサ・ベルゲル、父は北と南で揺れ動く韓国のアイデンティティの確立の中で大虐殺の現場に遭遇したユミソン、嫁入りのため日本から韓国へと渡ったハ・ジョンナム、知識の集積である本の中を物理的に旅をする人々を描くイレン・トク、膨大な書物の中の知識を横断しながら言葉をつむぐ吉川浩満の7人の作品により構成。戦争や時代の要請により移民またはその子として生まれたアーティストたちからなる展覧会を通して、移動とは果たして自由を意味するのかを問いかける。

 

「都美セレクション グループ展 2024 ずれはからずもぶれ」(ギャラリーB)会場風景

 

ギャラリーCでは、橋本トモコ、吉田さとし、向井三郎、和田みつひと、バックランド美紀の風景作品を通して、現在の「風景」の在り方を問う「回遊する風景」を開催。植物や川など自然の形態で構成した絵画を制作する橋本トモコ、幼少時代の落書き帳や掘り起こされた土器の破片など、人類の記憶の欠片を丁寧に再生し積み上げることで新しい風景を生み出そうとする吉田さとし、身近な場所に通いイーゼルを立て、眼前の事物や現象をできる限り見えてくるままに捉えようと写生を続ける向井三郎、色と光のインスタレーションで知られ、実在する場所でありながらも匿名性を持つ風景に虚と実が常に同時に存在することを示す和田みつひと、遠く離れた場所から思いを馳せるかのように故郷に似た景色を繰り返し撮影するバックランド美紀の5人による、それぞれの手法で制作された風景作品で構成。大量の画像に囲まれて生活する今、 私たちにとっての本当の「風景」とは一体何かを作品を通じて問う。

 

橋本トモコ 《川を歩く:ビルスリバー》 2022年(ギャラリーC「回遊する風景」出品作品)

 

関連イベント
「スティル・エコー:境界の風景」関連イベント
出展者によるギャラリートーク
2024年6月23日(日)14:00–
会場:東京都美術館 ギャラリーA
参加費無料、事前申込不要

 

「ずれはからずもぶれ」関連イベント
ハ・ジョンナムの観客とつくるパフォーマンス
2024年6月15日(土)15:00–16:30 ※既に終了
会場:東京都美術館 スタジオ
定員:40名
参加費無料、事前申込不要、当日先着受付順

吉川浩満の哲学対話
2024年6月15日(土)10:00–12:00 ※既に終了 6月29日(土)10:00–12:00
ファシリテーター:永井玲衣(哲学者/哲学研究者)
会場:東京都美術館 スタジオ
参加費無料
事前申込URL:https://forms.gle/Ky8XhmZ2Lj1hUvtDA

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