シム・チーイン「隠れた山」@ 脱衣所


Sim Chi Yin, The Mountain That Hid (2022)

 

シム・チーイン「隠れた山」
2024年1月6日(土)-1月24日(水)
脱衣所 – (a) place to be naked(所在地は予約者のみに通知。日暮里駅から徒歩約8分)
https://www.instagram.com/datsuijo/
開館時間:12:00–18:00
休館日:日、月、火
キュレーション:マシュー・ローソン・ギャレット
展覧会URL:https://www.instagram.com/p/C01J11YSxOU/?utm_source=ig_web_copy_link&igshid=MzRlODBiNWFlZA==
予約URL:https://themountainthathid.peatix.com/

 

東京・日暮里にあるプロジェクトスペース「脱衣所- (a) place to be naked」では、シンガポール出身のアーティスト、シム・チーインの個展「隠れた山」を開催する。

シム・チーイン(1978年シンガポール生まれ)は、写真や映像、アーカイブへの介入、書籍制作、パフォーマンスなど、幅広い表現を通じて、歴史や記憶、紛争、採取をテーマとするリサーチに基づいた作品を発表している。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンスの大学院で国際関係史を学び、現在はニューヨークのインディペンデント・スタディ・プログラム(ISP)のフェローを務めながら、キングス・カレッジ・ロンドンの博士課程で戦争学の研究に取り組む。近年の主な展覧会に、「Indigo Waves and Other Stories: Re-Navigating the Afrasian Sea and Notions of Diaspora」(グロピウス・バウ、ベルリン、2023)、「RE/SISTERS A Lens on Gender and Ecology」(バービカン、ロンドン、2023-2024)、「Devour the Land」(ハーバード美術館、ボストン、2021)、個展「One Day We’ll Understand, Interventions」(モンマジュール修道院、アルル国際フォトフェスティバル、2021)、個展「Fallout」(ノーベル平和センター、オスロ、2017)、「The Rat Tribe」(アルコ・アートセンター、ソウル、2016)など。また、イスタンブール・ビエンナーレ(2022、2017)、広州トリエンナーレ(2021)といった国際展やVideoEx(チューリッヒ、2023)などの映像祭に出品している。

 


Sim Chi Yin, She Never Rode That Trishaw Again (2021) Photo: Johannes Kremer

 

本展では、第二次世界大戦時に日本軍に占領されたマレー半島で組織されたマラヤ人民抗日軍を元にするマラヤ民族解放軍が、終戦後の1948年から1960年にかけて、英領マラヤ(現在のマレーシアとシンガポール)で英国植民地軍と闘ったゲリラ戦の歴史を多面的なリサーチを通じて探求するシム・チーインの映像作品とアーティスト・ブックを紹介する。

《The Mountain That Hid》は、共産主義や反植民地主義の活動への関与の疑われ、英国植民地軍により中国へ強制送還された彼女の祖父の足跡をたどった映像作品。シムは、祖父の強制送還を象徴する道として、シンガポールにあるトンネルを撮影場所に選び、「タイムトンネル」と呼ばれるその場所で観光客がセルフィーを撮る様子などを収めた映像と、追放先の広東省梅県区で中国国民党の兵士に処刑される前に祖父が暮らしていた先祖代々の家を映したほとんど静止画のような映像を並置することで、そこに歴史の残像を浮かび上がらせようと試みる。

一方、アーティスト・ブック『She Never Rode That Trishaw Again』は、国外追放、そして夫が殺された後の祖母の物語を家族のアーカイブによって紡いだ作品。その物語は、パスポートや古い写真アルバム、絵葉書などを通して、植民地主義の暴力が個々人の人生に与えた局所的な影響や、そうした暴力による沈黙効果の下で生きるために欠かせない困難を跳ね返す力(レジリエンス)をたどる。本展では同作品の閲覧室を設けるほか、会期初日には、オープニングイベントとして、リーディングイベントを行なう。

 

関連イベント
オープニングイベント「脱衣所リーディンググループ(読書会)」
2024年1月6日(土)16:00–17:30
※シム・チーインのアーティスト・ブック『She Never Rode That Trishaw Again』を読む

 


Sim Chi Yin, She Never Rode That Trishaw Again (2021) Photo: Johannes Kremer

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