合田佐和子展 帰る途もつもりもない @ 三鷹市美術ギャラリー


合田佐和子《もの思うベロニカ》1972年、森田陽司氏蔵

 

合田佐和子展 帰る途もつもりもない
2023年1月28日(土)– 3月26日(日)
三鷹市美術ギャラリー
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/
開館時間:10:00–20:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月
企画担当:富田智子(三鷹市美術ギャラリー学芸主査)
展覧会URL:https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/event/20230128/

 

三鷹市美術ギャラリーでは、1960年代より同時代の現代美術やサブカルチャーの文脈に依拠せず、オブジェや絵画、写真などのメディアを横断しながら幅広い制作活動を展開した美術家・合田佐和子の回顧展『帰る途もつもりもない』を開催する。本展は、昨年から年明けにかけて、合田の出身地・高知にある高知県立美術館で開かれた没後初・過去最大規模の回顧展の巡回展となる。

合田佐和子(1940-2016/高知生まれ)は、幼少からの収集癖と手芸を融合させた「オブジェ⼈形」により作家活動を開始、次第に奇怪でエロティックな立体作品へと自らの作風を変化させていく。1969年以降は唐十郎や寺山修司によるアングラ演劇の舞台美術やポスター原画を手がけ、70年代には往年の銀幕俳優たちを独自のグレーがかった色調で描き出した肖像画も発表していく。80年代のエジプト滞在を機に、90年代以降は作風を一転し、内省に基づく独自の制作論の実践へと移行し、色彩もパステル調へと変化していった。当時の社会通念や因習にとらわれない暮らしのなかで花開いた合田の表現は、ファッションや映画、音楽などの領域と高い親和性を示し、さまざまな分野の表現者から熱く支持された。一方、同時代の美術動向や批評の言説からは距離をとり、ひとつのスタイルに留まらずに繰り広げられた仕事は、美術の「正史」からは外れた特異な存在として、あくまで個人的・趣味的なものと見なされる側面があった。生前の主な展覧会には、『現代のアーティストシリーズVOL.4 合田佐和子展』(富山市民プラザアートギャラリー、1994)、高知県立美術館で開かれた森村泰昌との二人展『森村泰昌と合田佐和子展』(2001)、約40年の制作活動を総合した初の回顧展『合田佐和子 影像 ―絵画・オブジェ・写真―』(渋谷区立松濤美術館、2003)が挙げられる。

没後初の大規模な回顧展となる本展では、初期のオブジェから初公開となる晩年の鉛筆画シリーズまで300点を超える作品や資料を通してその創作活動を検証し、途なき途を駆け抜けたひとりの美術家・合田佐和子の全貌に迫る。(会期中、一部展示変えあり。)

 


合田佐和子《夜光虫》1963年、宮城県美術館蔵


合田佐和子《極彩色のタマゴ(3点)》1967–1968年、個人蔵


合田佐和子《ばらの天地創造》1997年、高知県立美術館蔵

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