第16回「shiseido art egg」@ 資生堂ギャラリー


 

第16回「shiseido art egg」
岡ともみ展|2023年1月24日(火)- 2月26日(日)
YU SORA展|2023年3月7日(火)- 4月9日(日)
佐藤壮馬展|2023年4月18日(火)- 5月21日(日)
資生堂ギャラリー
https://gallery.shiseido.com/
開館時間:11:00–19:00(日・祝は18:00まで)
休館日:月(祝祭日にあたる場合も休館)

 

資生堂ギャラリーは、「新しい美の発見と創造」の活動理念に基づき、次代を切り拓く先進性をもった新進アーティストの活動の応援を目的とする公募展『shiseido art egg』の入選者3名の個展を来年1月24日より順次開催する。16回目の開催となる本年度は、260件の応募から選ばれた岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬がそれぞれ約1ヶ月間の個展を実現する。

資生堂が1919年に「新しい美の発見と創造」という活動理念の下に開廊した資生堂ギャラリーが、その活動の一環として2006年に設立した「shiseido art egg」は、これまでに数多くの新進アーティストにギャラリーの門戸をひらき、その表現を幅広い観客に届けている。本年度の審査も、資生堂ギャラリーアドバイザーの伊藤俊治(美術史家/東京藝術大学名誉教授)と光田由里(美術評論家/多摩美術大学教授)、資生堂ギャラリー学芸スタッフ・社員審査員(社員参画プログラムの参加者)が担当し、制作テーマや作品のクオリティ、そして、「資生堂ギャラリーの空間でなにをどのように表現しようとしているのか」の3点をポイントに行なわれた。審査員所感として、伊藤は本年度に応募されたプロポーザルに、ドクメンタ15でアーティスティックディレクターを務めたルアンルパが掲げていた「ルンブン(lumbung)」の示すヴィジョンがさまざまな形で潜在しているように感じたと語り、光田は同賞が美術作家の登竜門として定着し、「デビュー後のさらなる次のステップのための場になっていく可能性」を感じるとともに、「まだ固まりきらないプランをもった応募者がこの場にそれをぶつけて、まだ見ぬ自信作を実現する場でもあってほしい」とコメントを残した。また、昨年度より審査に加わった資生堂社員審査員の存在について、「真剣に審査に取り組んでいただき、自らの見方で応募作を語る言葉にも力がこもっていた。審査の場は常に、全員一致というわけにはいかないが、そこで交わされる意見交換そのものを貴重だと思う」と語っている。

岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬の3名の展覧会のなかから、資生堂ギャラリーの空間に果敢に挑み新しい価値の創造を最も感じさせた作品に贈られるshiseido art egg賞の本年度の審査員は、美術家の磯谷博史、小説家の温又柔、アーティストでfood creation主宰の諏訪綾子が務める。

 


岡ともみ《サカサゴト》2022年 古時計、映像 インスタレーション

岡ともみ展|2023年1月24日(火)- 2月26日(日)

岡ともみ(1992年東京都生まれ)は、個人の大切な思い出や消えかかっている風習など、見過ごされがちな小さな物語を封入した装置を作り、記憶を空間に立ち上げることを試みている。2022年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻の修士課程を修了し、現在は同科博士後期課程在学。主な活動に、インターコミュニケーションセンター[ICC]の『オープン・スペース』(2018、2019)、個展『どこにもいけないドア』(ギャラリーASK?P、東京、2019)がある。『shiseido art egg』展では、自身の祖父の葬儀での経験から、死者が出た際に日常の様々な動作を逆に行う「サカサゴト」という風習に着目し、インスタレーションを通じて、日本各地に残る風習を紐解き、形骸化しつつある葬送の形や死との向き合い方について再考する。

 


YU SORA《帰るところ》2020年 ミクストメディア インスタレーション 撮影:加藤甫

YU SORA展|2023年3月7日(火)- 4月9日(日)

YU SORA(1987年韓国京畿道生まれ)は、白い布と黒い糸を使った刺繍の平面作品や、家具やカーテンなど実物大の立体作品を組み合わせたインスタレーションで些細な日常に向き合う作品を展開している。2011年に韓国の弘益大学の彫塑科を卒業、2020年に東京藝術大学大学院美術研究科の彫刻専攻修士課程を修了。主な活動に、『普通の日』(あまらぶアートラボ A-lab、兵庫、2021/Namdong Sorae Art Hall、仁川、2021)、『BankART Under35展』(BankART KAIKO、神奈川、2022)がある。『shiseido art egg』展では、パンデミックや戦争、災害が続き、何気なく暮らす日常は儚く簡単に崩れてしまいかねない現在において、鑑賞者が自身の日常を重ね、その尊さを感じながら日常に思いを巡らすことのできる「部屋」を資生堂ギャラリーに創出する。

 


佐藤壮馬《Of Flowers》2022年 ミクストメディア インスタレーション サイズ可変 Kyoto Steam 2022、京都市京セラ美術館 撮影:麥生田兵吾

佐藤壮馬展|2023年4月18日(火)- 5月21日(日)

佐藤壮馬(1985年北海道生まれ)は、時空間における身体と心の問題を主題に、表象の背景にある記憶や慣習について考察している。複製技術を用いてアーカイブされたものを制作に取り入れるなど、モノや空間が持つ時間の流れや、それらとの関係性を表現することを試みてきた。写真家としてスタジオ勤務を経て2010年に渡英し、ロンドン大学で建築を学ぶ。2014年から2020年にかけて、主に3Dスキャンを用いた作品制作を行なうScanLAB Projectsに参加。主な活動に、『第23回文化庁メディア芸術祭』(※アート部門審査委員会推薦作品、2020)、『KYOTO STEAM 2022』(京都市京セラ美術館、2022)がある。『shiseido art egg』展では、2020年に大雨により倒れた岐阜県の神明神社の大杉を3Dスキャンで複製し構成する新作を中心に、科学と信仰の時空のズレや交わるところと私たちの心の在り方を探る。

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