李禹煥 @ 兵庫県立美術館


李禹煥《線より》1977年 岩絵具、膠/カンヴァス 182×227 cm 東京国立近代美術館

 

兵庫県立美術館開館20周年記念
李禹煥
2022年12月13日(火)– 2023年2月12日(日)
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
開館時間:10:00–18:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/9は開館)、年末年始(12/31-1/2)、1/10
企画担当:小林公(兵庫県立美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2212/

 

兵庫県立美術館では開館20周年を記念して、日本美術史における重要動向「もの派」を牽引し、1960年代から現在に至るまで国際的にも高い評価を得ている李禹煥の大規模個展を開催する。

李禹煥(1936年韓国慶尚南道生まれ)は、半世紀以上にわたり、芸術をイメージや主題、意味の世界から解放し、ものともの、ものと人との関係を問う作品を中心に発表してきた。李はソウル大学校美術大学入学直後の1956年に来日し、その後、日本大学文学部で哲学を学び、東洋と西洋のさまざまな思想や文学を吸収しながら、60年代に入ると現代美術への関心も深めていった。60年代後半より本格的に作品制作を開始し、視覚の不確かさを乗り越えようとした李は、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引していく。69年には論考「事物から存在へ」が美術出版社芸術評論に入選、1971年に刊行した『出会いを求めて』は「もの派」の理論を支える重要文献となった。以来、国内外の美術館での個展やドクメンタ(1977)やヴェネツィア・ビエンナーレ(2007、2011、2015)をはじめとする国際展など、数々の展覧会で作品を発表している。2010年には香川県直島町に安藤忠雄設計の「李禹煥美術館」を開館。近年はニューヨークのグッゲンハイム美術館(2011)、ヴェルサイユ宮殿(2014)、サーペンタイン・ギャラリー(2018)、ポンピドゥー・センター・メス(2019)などでも個展を開催。2000年に出版した『余白の芸術』も英語、フランス語、韓国語などに翻訳されている。

 


李禹煥《関係項》1968/2019年 石、鉄、ガラス 石:高さ約 80cm、鉄板:1.6×240×200cm ガラス板:1.5×240×200cm 森美術館、東京 Photo by Kei Miyajima


李禹煥《関係項―棲処(B)》2017年 石 作家蔵 展示風景:「ル・コルビュジエの中の李禹煥 記憶の彼方に」展、ラ・トゥーレット修道院、エヴー、フランス、 2017年9月20日-12月20日 ©Foundation Le Corbusier, Photo by Jean-Philippe Simard

 

本展は、国内では2005年の横浜美術館での『李禹煥 余白の芸術展』以来の大規模個展として、国立新美術館からの巡回となる。李自身が展示構成を考案し、「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた〈関係項〉シリーズ、そして、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に会す。また、直島の李禹煥美術館と同じ安藤忠雄設計の兵庫県立美術館に合わせた新作も屋外に設置される。

なお、『李禹煥』展の関連プログラムとして、各界で活躍するアーティスト、キュレーター、評論家、建築家らと、李禹煥との連続対談シリーズを実施。兵庫県立美術館の公式YouTubeチャンネルでは、既に収録された詩人で情報科学芸術大学院大学准教授の松井茂との対談、アーティストの王舒野との対談を公開している。本展会期中にも、批評家で京都芸術大学教授の浅田彰との対談を予定している。

 

関連イベント
連続対談シリーズ「対話より」浅田彰と李禹煥
出演:浅田彰(批評家・京都芸術大学教授)、李禹煥
2022年12月17日(土)14:00-15:00
会場:兵庫県立美術館 ミュージアムホール
無料(要展覧会チケットまたはチケット半券)※事前申込制 ※既に申込受付終了

 


李禹煥《関係項―無限の糸》2022年 ステンレス、糸 サイズ可変 作家蔵 展示風景:「李禹煥 レクイエム」アリスカン、アルル、 フランス、2021年10月30日-2022年9月30日 ©Studio Lee Ufan / Photo by Claire Dorn

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