見るは触れる 日本の新進作家 vol.19 @ 東京都写真美術館


多和田有希〈I am in You〉2018年 Courtesy of rin art association

 

見るは触れる 日本の新進作家 vol.19
2022年9月2日(金)– 12月11日(日)
東京都写真美術館
https://topmuseum.jp/
開館時間:10:00–18:00(木・金は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月(月曜日が祝休日の場合は開館、翌平日休館)
企画担当:遠藤みゆき(東京都写真美術館学芸員)
展覧会URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4282.html
出品作家:水木塁、澤田華、多和田有希、永田康祐、岩井優

 

東京都写真美術館では、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するため、新しい創造活動の展開の場として、2002年より継続するシリーズの19回目の展覧会『見るは触れる 日本の新進作家 vol.19』を開催する。

本展では写真・映像ならではの「物質性をともない、見る者の身体と密接な関係の中で存在するメディア」という特性に着目し、水木塁、澤田華、多和田有希、永田康祐、岩井優の5名を紹介する。足の裏に感じた路上の質感から支持体に都市の記録を重ねる水木塁、認知のプロセスに問いを立て、想像と迂回を繰り返す澤田華、消す、燃やす、削る— 写真行為をとおして現実に対峙する多和田有希、見ることの裏腹にある、零れ落ちてしまうものをあぶり出す永田康佑、クレンジング(浄化・清浄)をテーマに社会をシニカルに洗い出す岩井 優。出品作家の5名はそれぞれのアプローチで、写真・映像の物質としての手触りを想起させるとともに、目の前にあるイメージがどのような物質から構成されているのか、イメージの生成プロセスのみならず、写真・映像メディアの本質へと目を向けさせる。各出品作家のプロフィールは以下を参照。

 


水木塁《雑草のポートレートおよび都市の地質学(dubbed version 3)》2022年


澤田華《漂うビデオ(水槽、リュミエール兄弟、映像の角)》2022 年

 

水木塁(1983年生まれ)は、都市文化と美術史上の問題を接続することで、現代都市におけるリアリズムを基にした風景と情景の関係性をテーマに制作を行なう。とりわけ近年は「自然」の定義を「人間のアクティビティーの彼岸」として捉え、 さまざまなメディアを用いて作品を展開している。主な展覧会に、『ON―ものと身体、接点から』(清須市はるひ美術館、2022)、『constellation #02』(rin art association、2021)、個展『東下り』(WAITINGROOM、2019)、個展『鏡と穴-彫刻と写真の界面 vol.3 水木塁』(gallery αM、2017年)など。

澤田華(1990年生まれ)は、物事を認識する際に生じた些細な引っ掛かりを起点として、図像と想像の相互関係を検証するプロセスを写真・映像をはじめとしたさまざまな表現形式で作品化している。主な展覧会に、『第3回PATinKyoto京都版画トリエンナーレ2022』(京都市京セラ美術館、2022)、個展『夏のオープンラボ:澤田華360°の迂回』(広島市現代美術館、2020)、『あいちトリエンナーレ2019 情の時代』(愛知県美術館、2019)など。

多和田有希(1978年生まれ)は、自らの撮影した写真表面を消す(削る、燃やすなど)という行為を通し、都市や群衆の集合的無意識や個の意識変容をイメージとして浮き上がらせる作品を発表してきた。近年は写真療法のリサーチをベースに、人間の精神的治癒のシステムをテーマに制作をしている。主な展覧会に、『第12回恵比寿映像祭 時間を想像する』(東京都写真美術館、2020)、『写真都市展 ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち』(21_21 DESIGN SIGHT、2018)、個展『悪魔祓い、系統樹、神経の森』(G/P gallery、2018)など。

 


永田康祐〈Function Composition〉2019年[参考図版]Courtesy of ANOMALY


岩井優《経験的空模様 #1》(Control diariesより)2020年 Photo: Shu Nakagawa ©Masaru Iwai, Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

 

永田康祐(1990年生まれ)は、社会制度やメディア技術、知覚システムといった人間が物事を認識する基礎となっている要素に着目し、あるものをほかのものから区別するプロセスに伴う曖昧さについて扱った作品を制作している。主な展覧会に、個展『約束の凝集 vol.2 永田康祐|イート』(gallery αM、2020)、『FALSE SPACES 虚現空間』(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2019)、『あいちトリエンナーレ2019 情の時代』(愛知県美術館、2019)、『オープン・スペース2018 イン・トランジション』(NTTインターコミュニケーション・センター、2018)、『第10回恵比寿映像祭 インヴィジブル』(東京都写真美術館、2018)など。

岩井優(1975年生まれ)は、国内外の地域にて参与的な手法で活動に取り組み、クレンジング(洗浄・浄化)を主題に、映像、インスタレーション、パフォーマンスを展開している。主な展覧会に、個展『公開制作 83 岩井優 ハウツー・クリーンアップ・ザ・ミュージアム』(府中市美術館、2021)、『ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW―光の破片をつかまえる』(横浜美術館、2020)、個展『コントロール・ダイアリーズ』(Takuro Someya Contemporary Art、2020)、『新・今日の作家展2018 定点なき視点』(横浜市民ギャラリー、2018)、『リボーンアート・フェスティバル2017』(宮城県石巻市街地、牡鹿半島、2017)など。

 

関連イベント
アーティストトーク、学芸員によるロビー・トーク、手話通訳付き展覧会トークなどを予定。詳細決定次第、公式ウェブサイトに掲載。

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