フィン・ユールとデンマークの椅子 @ 東京都美術館


 

フィン・ユールとデンマークの椅子
2022年7月23日(土)– 10月9日(日)
東京都美術館
https://www.tobikan.jp/
開室時間:9:30–17:30(金曜は20:00まで)入室は閉室30分前まで
休室日:月(ただし、8/22、8/29、9/12、9/19、9/26は開室)、9/20
展覧会URL:https://www.tobikan.jp/finnjuhl/

 

東京都美術館では、デンマークを代表する家具デザイナーとして知られるフィン・ユールの作品を中心に、デンマークの家具デザインの歴史と変遷をたどる展覧会『フィン・ユールとデンマークの椅子』を開催する。

フィン・ユール(1912–1989/デンマーク、フレデリクスベア生まれ)がデザインした椅子は、身体を抽象化したようなやわらかなフォルムを特徴とし、座り心地だけでなく、彫刻作品にも似た静謐な存在感を放つ。それらは建築や美術、あるいは日用品と濃密に響き合いながら、空間の調和を生み出す役割を果たすものでもある。ユールは当初、美術史家を志していたが、父親の反対からコペンハーゲン王立美術学校に進学する。在学中の1934年にはヴィルヘルム・ラウリッツェンの建築事務所ではたらきはじめ、デンマーク放送局やコペンハーゲン空港といった重要なプロジェクトに携わる。1937年に自身がデザインした作品を家具職人組合の展示会に初出品する。以来、家具職人のニールス・ヴォッダーとの協力関係のもと、1938年には《グラスホッパーチェア》を発表し、40年代には《イージーチェア No.45》(1945)、《チーフテンチェア》(1949)など、代表作となる椅子をデザインした。また、1942年にはコペンハーゲン北部のオードロップゴーに自邸を建設し、自らデザインした家具や日用品に囲まれた生活を送る。1950年代には活動の場が国外に広がり、国連本部ビルの信託統治理事会議場のインテリアと家具デザインを手がけるなど、国際的な評価を手にする。その後もスカンジナヴィア航空のオフィスや旅客機のインテリアデザイン、世界各地で開催されたデンマーク・デザインを紹介する展覧会場デザインなど、建築家、インテリアデザイナーとしても幅広く活躍した。

 


フィン・ユール《イージーチェア No.45》1945年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲


フィン・ユール《チーフテンチェア》1949年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲

 

本展は、デンマークの家具デザインの歴史をたどる第1章、フィン・ユールに焦点を当てた第2章、そして、実際にフィン・ユールをはじめ、デンマークの優れたデザイナーたちが手がけた椅子に座ることのできる第3章の3章構成となる。展覧会を構成するのは、国際的に知られる織田コレクションの数々。北海道東川町が所蔵する織田コレクションは、椅子研究者の織田憲嗣が研究資料として長年にわたり収集してきた20世紀の家具、日用品から成り、本展は、試作として作られた貴重な一脚から名作と言われる椅子まで、バラエティに富む織田コレクションを東京でまとめて見ることのできる初めての機会となる。

 


フィン・ユール《ペリカンチェア》1940年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲


フィン・ユール《ジャパンチェア》1957年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲

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