ゲルハルト・リヒター展 @ 東京国立近代美術館


ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ(CR: 937-2)》2014年 
ゲルハルト・リヒター財団蔵 油彩、キャンバス 各260×200cm 
© Gerhard Richter 2022 (07062022)

 

ゲルハルト・リヒター展
2022年6月7日(火)- 10月2日(日)
東京国立近代美術館
https://www.momat.go.jp
開館時間:10:00–17:00(金曜・土曜は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7/18、9/19は開館)、7/19、9/20
公式ウェブサイト:https://richter.exhibit.jp/
※招待チケットプレゼントあり

 

東京国立近代美術館では、現代美術における最も重要な画家のひとりと評されるゲルハルト・リヒターが、60年におよぶ制作活動の中で手放さずに手元に置いてきた財団コレクションおよび本人所蔵作品を中心に約110点を紹介する個展を開催する。日本国内の美術館でのリヒターの大規模な個展は、2005-2006年に金沢21世紀美術館と川村記念美術館(現・DIC川村記念美術館)で開かれた展覧会以来16年ぶりとなる。なお、東京国立近代美術館では本展に併せて、MOMATコレクションの11室で、同館所蔵のリヒター作品、《9つのオブジェ》(1969)、《抽象絵画(赤)》(1994)、《シルス・マリア》(2003)、《STRIP (923-33)》(2012)を展示している。

ゲルハルト・リヒター(1932年ドレスデン生まれ)は、当時旧東ドイツに属したドレスデン美術大学で美術教育を受けるが、1959年にドクメンタ2でポロックやフォンタナらの絵画に衝撃を受け、1961年、ベルリンの壁が建設される直前に西ドイツに移住し、デュッセルドルフ芸術アカデミーに進み、制作活動を継続する。コンラート・フィッシャーやジグマー・ポルケらと「資本主義リアリズム」と呼ばれる運動を展開するなかで、独自の表現を発表していく。1964年にミュンヘンのハイナー・フリードリッヒ・ギャラリー、デュッセルドルフのアルフレート・シュメーラ・ギャラリーで初の個展を開催。1972年にはドクメンタ5や第36回ヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館で個展を開催する。その後も1997年に第47回ヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞、複数回におよぶドクメンタへの参加をはじめ、数々の展覧会に参加。近年の主な個展に、ロンドン、ベルリン、パリを巡回した大規模回顧展『Panorama』(2011-2012)、ミュンヘンのレンバッハハウスでの個展『Atlas』(2013)、自ら展示構成を手がけたバーゼルのバイエラー財団美術館での個展(2014)、メトロポリタン美術館での大規模個展『Painting After All』(2020)などがある。日本国内では1997年に高松宮殿下記念世界文化賞を絵画部門で受賞し、ワコウ・ワークス・オブ・アートでの個展や上述した2005-2006の大規模個展などで作品を発表してきた。2015年には瀬戸内海の愛媛県にある豊島(とよしま)にパーマネントスペースを開設。2018年にはドレスデン美術館の「ゲルハルト・リヒター・アーカイブ」ディレクターのディートマー・エルガーによる『評伝 ゲルハルト・リヒター』(清水穣訳、原書は2002年)が美術出版社から刊行。2022年5月に出版された青土社の『ユリイカ2022年6月号』では特集が組まれている。

 


ゲルハルト・リヒター《8人の女性見習看護師 (写真ヴァージョン)(CR: 130a)》1966/1971年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 
8枚の写真 各 95×70cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)


ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング(CR: 952-2)》2017年 ゲルハルト・リヒター財団蔵 油彩、キャンバス 200×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

 

本展では、ホロコーストを主題とした近年の最重要作品と称される《ビルケナウ》をはじめ、フォト・ペインティングからカラーチャート、グレイ・ペインティング、アブストラクト・ペインティング、オイル・オン・フォト、最新作のドローイングなど、リヒターがその長いキャリアを通じて、さまざまなかたちで試みてきた絵画の本質をめぐる実践を紹介する。

《ビルケナウ》は、幅2メートル、高さ2.6メートルの作品4点で構成される4点組の抽象画。絵具の下層には、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で特殊任務を負った囚人(ゾンダーコマンド)が隠し撮りした写真を描き写したイメージが隠されている。本作は、1960年代から何度も試みては適切な表現方法が見つけられずに断念してきたホロコーストという主題の下に、2014年にようやく完成したリヒターにとっての達成点であると同時に転換点とも言える作品。本展では、この日本初公開となる4点の絵画をまったく同寸の4点の複製写真と横長の鏡の作品《グレイの鏡》とともに展示する。

そのほか、写真を忠実に描くことで、絵画を制作する上での約束事や主観性を回避し、代わりに写真の客観性やありふれたモチーフを獲得した「フォト・ペインティング」、正方形のカラーチップを空間に合わせて異なる組み合わせで展示する「カラーチャート」、リヒター自身が「なんの感情も、連想も生み出さない」「「無」を明示するに最適な」色と称するグレイの色彩で画面を覆う「グレイペインティング」、スキージ(へら)で絵画を塗り、そして削るという技法で40年以上も描き続ける「アブストラクト・ペインティング」、写真に油絵を塗りつけた「オイル・オン・フォト」、そして、断片的な線や面を画面全体に配した、抽象的な「ドローイング」などを紹介する。

 


ゲルハルト・リヒター《花(CR: 764-2)》1992年 作家蔵 油彩、キャンバス 41×51cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)


ゲルハルト・リヒター《エラ(CR: 903-1)》2007年 作家蔵 油彩、キャンバス 40×31cm 
© Gerhard Richter 2022 (07062022)


ゲルハルト・リヒター《2021年6月1日》2021年 作家蔵 グラファイト、紙 21×29.7cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

 

 


巡回情報
2022年10月15日(土)- 2023年1月29日(日)
豊田市美術館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/

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