イケムラレイコ個展「限りなく透明な」@ シュウゴアーツ


イケムラレイコ, Trees out of Head (2021) copyright the artist, courtesy of ShugoArts

 

イケムラレイコ個展「限りなく透明な」
2022年4月14日(木)- 5月28日(土)
シュウゴアーツ
https://shugoarts.com/
開廊時間:12:00-18:00
休廊日:日、月、祝、4/29、5/1-5/5

 

シュウゴアーツでは、国立新美術館で2000平米の展示室と野外展示場に展開した大規模個展も記憶に新しいイケムラレイコの個展『限りなく透明な』を開催する。

イケムラレイコ(三重県生まれ)は、動物、人間、地平線をモチーフに、絵画をはじめ、彫塑や写真、映像、詩など多岐にわたる表現方法を通じて、世界の成り立ちを探究している。大阪外国語大学に在籍後、1972年にスペインに渡り、セビリア美術大学で学ぶ。その後もチューリッヒ、ニュルンベルク、ケルンへと移り住み、現在はベルリンとケルンを拠点に活動している。1979年のルツェルンでの初個展以来、ボン・クンストフェライン(1983)、バーゼル現代美術館(1987-88)、豊田市美術館(2000)、聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館(2005)など、各地で個展を開催。近年の主な個展に『うつりゆくもの』(東京国⽴近代美術館/三重県⽴美術館、2011)、『i-migration』(カールスルーエ州⽴美術館、2013)、『PIOON』(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡、2014)、『All About Girls and Tigers』(ケルン市⽴東洋美術館、2015)、『Poetics of Form』(ネバダ美術館、2016)、『⼟と星 Our Planet』(国立新美術館、2019)、『Toward New Seas イケムラレイコ 新しい海へ』(バーゼル市立美術館、2019)などがある。

 


イケムラレイコ, Cat (2020) copyright the artist, courtesy of ShugoArts

 

シュウゴアーツでは5年ぶりの個展となる本展では、アトリエに設置していた窯で制作に取り組んでいるガラス彫刻、新たな展開を遂げている絵画作品を発表する。常に新しい素材や手法との出会いを経験してきたイケムラは、現代美術の世界でそれがまだ彫刻の素材として積極的に認められていなかった1990年代初頭より、セラミックを手がけ、いまや4mをゆうに超えるモニュメンタルなブロンズの彫刻から、モザイク、ステンドグラスまで、さまざまな素材の彫刻作品を発表してきた。本展で発表するのは、イケムラが「形が⾊を呼び、⾊に陰影を与え、形と⾊の透明感が⼀体化する」ことを⽬指して制作した完成度の⾼いガラス彫刻群。自ら光を内包しているガラス彫刻に対し、本展で発表される絵画作品では「暗闇の中に⾒出された光」を画⾯にとどめることが志向される。

そして、イケムラが20年以上にわたった扱ってきた「素材」、10年以上前から展示を成立させる大事な要素として存在する詩作品もまた本展にも寄せられている。当初よりその詩的才能に注目していた詩人・田野倉康一の推薦によって、昨年6月まで一年余にわたり『現代詩手帖』で断続的に発表された一連の詩は、イケムラの言葉による芸術的成果として、「個や国を超えて宇宙的な視座から」ものごとを捉えつつ形にしようとする芸術的営みの一端を示すものである。

 

限りなく透明な

最も暗いところから見るヒカリ

最も暗いところに現れる光

限りなく暗いところにヒカリ

イケムラレイコ

 


イケムラレイコ, Lightscape (2022) copyright the artist, courtesy of ShugoArts

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