カラーフィールド 色の海を泳ぐ @ DIC川村記念美術館


フリーデル・ズーバス《捕らわれたフェニックス》1982年 マグナ(アクリル)、カンヴァス 183 × 183cm
オードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ蔵 © 2022 Friedel Dzubas / ARS, New York / JASPAR, Tokyo G2749

 

カラーフィールド 色の海を泳ぐ
2022年3月19日(土)- 9月4日(日)
DIC川村記念美術館
https://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(3/21、7/18は開館)、3/22、7/19

 

DIC川村記念美術館では、1950年代後半から60年代にかけてアメリカ合衆国を中心に発展した抽象絵画の傾向「カラーフィールド」の代表作を紹介する企画展『カラーフィールド 色の海を泳ぐ』を開催する。

国立美術館への寄贈や数々の美術機関への出品など、世界有数のカラーフィールド作品のコレクションを誇るカナダのオードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ・コレクションを中心に構成する本展は、大きなカンヴァス一面に色彩を用いて場(=フィールド)を創出させることで、広がりある豊かな画面をつくりだした潮流に関わった9名に焦点をあて、それぞれに展開された色彩についての思考を、章ごとに微妙に明度が異なる展示空間で、ゆらめく色の海を回遊するように体感するものとなる。

 


フランク・ステラ《モールトンヴィル II》1966年 蛍光アルキド樹脂、エポキシ塗料、カンヴァス 315 × 218.4cm
オードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ蔵 © 2022 Frank Stella / ARS, New York / JASPAR, Tokyo G2749


ケネス・ノーランド《あれ》1958-59年 アクリル、カンヴァス 213 × 213cm オードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ蔵
© Kenneth Noland / VAGA at ARS, NY / JASPAR, Tokyo 2022 G2749

 

出品作家は以下の9名。シェイプト・カンヴァスを用いた〈ダートマス・ペインティング〉や鮮やかな色彩を導入した〈不整多角形〉シリーズなど、次々に新しいスタイルを展開し、絵画の可能性を追求したフランク・ステラ(1936-)。同心円による絵画や〈シェヴロン〉(V字を重ねた形)による絵画などを通じて、色彩と形体を探究したケネス・ノーランド(1924-2010)。赤・青・黄といった鮮やかな色彩を施した床置き彫刻など、従来の彫刻にはない軽やかな形体の彫刻作品を展開したアンソニー・カロ(1924-2013)。50年代にニューヨーク・スクールの影響を受け、カナダの抽象画家グループ「ペインターズ・イレヴン」に参加し、批評家クレメント・グリーンバーグとの交流を通じて自らのスタイルを確立していったジャック・ブッシュ(1909-1977)。

 


モーリス・ルイス《無題(イタリアン・ヴェール)》1960年 マグナ(アクリル)、カンヴァス 190.5 × 254cm
オードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ蔵

 

フランケンサーラーの影響を受け、ステイニング技法を用いた作品制作を展開し、〈ヴェール〉〈アンファールド〉〈ストライプ〉のシリーズで知られるモーリス・ルイス(1912-1962)。薄く溶いた絵具をカンヴァスに流して染み込ませるステイニング技法を生み出し、「カラーフィールド」を代表する《山と海》(1952)などで知られるヘレン・フランケンサーラー(1928-2011)。1969年の『ニューヨークの絵画と彫刻 1940-70』(メトロポリタン美術館)に最年少で参加し、以降、初期からのスタイルを大幅に変え、床に広げたカンヴァスにバケツでアクリル絵の具を何層も重ねるエレファントスキン・ペインティングや、カンヴァスに向けて絵具を投げつけるスロー・ペインティングに取り組んでいるラリー・プーンズ(1937-)。下塗りをしたカンヴァスに薄く溶いた絵具を広げ、その上に様々な色を抽象的な形に何層も重ね塗りする特徴的な作品、そして、アメリカ最大の抽象絵画のひとつとして知られる壁画《黙示録/交差》(1975)を描いたフリーデル・ズーバス(1915-1994)。ステイニング技法による制作で注目を集めたのち、工業用のスプレーガンを使用した霞が漂うような繊細な表現を創出、独自の画風へと昇華させた絵画などで知られるジュールズ・オリツキー(1922-2008)。

 


ジュールズ・オリツキー《高み》1966年 アクリル、カンヴァス 264.8 × 504.2cm オードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ蔵 © Jules Olitski / VAGA at ARS, NY / JASPAR, Tokyo 2022 G2749

 

関連イベント ※詳細は公式ウェブサイトにて随時更新
学芸員によるギャラリートーク
毎月第2土曜日 11:30-
要予約、要入館料

ガイドスタッフによる定時ツアー
毎日 14:00–15:00
定員:15名(要予約、先着順)、要入館料
※館内受付にて当日9:30より随時受付

講演会
講師:加治屋健司(現代美術史、東京大学大学院総合文化研究科教授)
2022年6月12日(日)13:30-15:00
要予約

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