吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる @ 東京都現代美術館


吉阪隆正《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》1956年(撮影:北田英治、1997年)

 

吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる
2022年3月19日(土)– 6月19日(日)
東京都現代美術館 企画展示室1F
https://www.mot-art-museum.jp/
開館日時:10:00-18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/21は開館)、3/22

 

東京都現代美術館では、今和次郎やル・コルビュジエに師事し、《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》や《アテネ・フランセ》などのコンクリートによる彫塑的な造形を持った独特の建築で知られる建築家、吉阪隆正の活動の全体像を紹介する展覧会『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』を開催する。

吉阪隆正(1917–1980/東京生まれ)は、父・俊蔵の仕事の都合により家族でスイスに移り、1933年にジュネーヴ・エコール・アンテルナショナルを卒業する。帰国後に入学した早稲田大学建築学科で「考現学」の創始者として知られる今和次郎に出会い、農村や民家の調査に参加。「生活学」や「住居学」の研究を行なう。1942年に応召を受け、光州(現・韓国)で敗戦を迎える。1950年に戦後第1回フランス政府給付留学生として渡仏し、ル・コルビュジエのアトリエに2年間勤務。設計実務に携わり、ドミノシステムの実践やモデュロールの理論など、モダニズム建築の流儀を現場で学ぶ。1954年に設計アトリエである吉阪研究室(後にU研究室に改称)を設立し、本格的な建築設計を開始。「不連続統一体(DISCONTINUOUS UNITY)」の考え方に集まった所員や、教鞭を 執った大学院の学生らとともにディスカッションをしながら集団で建築を作り上げていく。代表作に、《吉阪自邸》(1955)、《浦邸》(1956)、《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》(1956)、《江津市庁舎》(1962)、《アテネ・フランセ》(1962)、《大学セミナー・ハウス》(1965-)など。山岳建築や地域計画を手がけ、「人間―環境」の往還を強く意識し、環境や地形、気候に抗わない設計を行なうなど、ポストモダニズムを超越した建築思想に回帰した。冒険家・アルピニストとしては1957年早稲田大学赤道アフリカ横断遠征隊を指揮し、キリマンジャロ登頂では女性隊員の登坂の歴史を開き、1960年早大アラスカ・マッキンレー遠征隊では隊長を務め、ヒマラヤK2遠征隊も組織した。

 


吉阪隆正《吉阪自邸》1955年(撮影:北田英治、1982年)


吉阪隆正《江津市庁舎》1962年(撮影:北田英治、1994年)

 

本展では、建築家・教育者・登山家・冒険家・文明批評家など、多彩な顔を持つ吉阪隆正という人物に迫るべく、その生涯と建築を中心とした領域横断的な活動を「生活論(人間と住居)」「造形論(環境と造形)」「集住論(集住とすがた)」「游行論(行動と思索)」の4群による連環として捉え、時代やテーマによって7章に構成して紹介する。本展では30の建築とプロジェクトを紹介し、建築によって吉阪が目指したものとは何か、社会へのメッセージを紐解く。なかでも地域計画のプロジェクト展示は本展が初めて。また、吉阪の思想や思考、創造の秘密を解読するさまざまな形態の資料は、2015年に「吉阪隆正+U研究室建築設計資料」が文化庁国立近現代建築資料館に、2017年に吉阪の日記や原稿、ノート、書類、写真といった個人資料が早稲田大学に収蔵されたことによって、現在、資料のアーカイブ化や修復作業が進んでおり、本展では、それらの資料をまとまったかたちで展示することで、現代における吉阪隆正の仕事の再評価を試みる。

 

関連イベント
※関連トークやギャラリーツアーを開催予定。詳細は公式ウェブサイトで順次公開。

 


吉阪隆正《サイコロ世界地図》1942年 ⓒ吉阪隆正


吉阪隆正《乾燥なめくじ》1966年 ⓒ吉阪隆正

 


同時開催

生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展
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2022年3月19日(土)– 6月19日(日)
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