京都市京セラ美術館開館1周年記念展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」@ 京都市京セラ美術館


森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」シリーズより 1984年‒ © Yasumasa Morimura

 

京都市京セラ美術館開館1周年記念展
「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」
2022年3月12日(土)- 6月5日(日)
京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
https://kyotocity-kyocera.museum/
開館時間:10:00-18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/21、5/2は開館)
学芸:国枝かつら(京都市京セラ美術館 アソシエイト・キュレーター)

 

京都市京セラ美術館では開館1周年記念展のひとつとして、日本を代表するアーティストとして国際的に活躍する森村泰昌の個展『森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』を開催する。

森村泰昌(1951年大阪府生まれ)は、1970年代に京都市立芸術大学で学び、1985年にゴッホに扮したセルフポートレート写真を発表して以来、絵画や映画の登場人物、歴史上の人物や女優に扮し、制作過程を通じて原作やその背景に独自の解釈を試み、ジェンダーや人種を含んだ個人のアイデンティティの多重性を視覚化し、個人史と歴史の交錯点を表現してきた。近年は、自ら脚本を手がけて自演した映画『「私」と「わたし」が出会うとき—自画像のシンポシオン—』やレクチャーパフォーマンス「森村泰昌:日本、チャチャチャ!」(2018)にも取り組んでいる。近年の主な個展に、『Theater of the Self』(アンディ・ウォーホル美術館、2013-2014)、『森村泰昌:自画像の美術史—「私」と「わたし」が出会うとき』(国立国際美術館、2016)、『Yasumasa Morimura. The history of the self-portrait』(国立プーシキン美術館、2017)、『Yasumasa Morimura: Ego Obscura』(ジャパン・ソサエティ、2018)、『森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020−さまよえるニッポンの私』(原美術館、2020)、『M式「海の幸」-森村泰昌 ワタシガタリの神話』(アーティゾン美術館、2021-2022)などがあり、マニフェスタ10(エミルタージュ美術館、サンクトペテルブルク、2014)、『PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭』(2015)などの国際展に出品している。また、ヨコハマトリエンナーレ2014では、アーティスティックディレクターも務めた。そのほか、2018年に大阪・北加賀屋に「モリムラ@ミュージアム」を開館。著書に『自画像のゆくえ』(光文社新書、2019)ほか多数。

 


森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」シリーズより 1984年‒ ©️Yasumasa Morimura


森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」シリーズより 1984年‒ ©️Yasumasa Morimura

 

本展は、1998年に京都国立近代美術館で開かれた『森村泰昌・空装美術館 : 絵画になった私』以来、森村にとって24年ぶりとなる京都での大規模個展。森村が1984年から撮りためてきた、これまでほとんど発表されることのなかったインスタント写真約800枚を一挙に公開し、森村作品をなす35年にわたる制作背景の全貌を浮かび上がらせる。また、森村が1994年に自作の小説を自ら朗読したCD《顔》の音源をもとに、架空の京都の寺院を舞台に展開される幻想的な世界を、展示室に特別な音響空間を設え、無人朗読劇として再制作する。インスタント写真に写る「儀式」の痕跡や、セルフポートレートとしての「声」を通じて、スマートフォンの進化やSNSの普及によって身近になった「自撮り」との共通点を持ちながらも、それとは決定的に異なる面を持つ、何者かに成り代わることで自己を解体し、一個人における複数の顔を露呈する森村の表現を紹介し、自己への透徹した眼差しと、ひとりの人間が複数の存在として生きていくことへの圧倒的な肯定を提示する。なお、新館東山キューブを迷宮劇場へと変貌させる会場構成は、京都市京セラ美術館の大規模リニューアルプロジェクトを手がけた建築家の西澤徹夫と、森村とのコラボレーション。

 


森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」シリーズより 1984年‒ ©️Yasumasa Morimura


森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」シリーズより 1984年‒ ©️Yasumasa Morimura


「会場構成イメージ案/記憶のトルネード」(森村泰昌 素描 2021)© Yasumasa Morimura

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