小田原のどか「近代を彫刻/超克するー雪国青森編」@ 国際芸術センター青森


デザイン:関川航平

 

小田原のどか「近代を彫刻/超克するー雪国青森編」
2021年12月25日(土)- 2022年2月13日(日)
国際芸術センター青森[ACAC]展示棟ギャラリーA
https://acac-aomori.jp/
開館時間:10:00-17:00
休館日:12/29-1/3、1/14-1/16、1/28-1/30

 

青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]では、制作から執筆・出版まで、幅広い活動を通じて、彫刻のあり方を問い直し、日本の近現代史に潜む課題を浮き彫りにしてきた小田原のどかの個展『近代を彫刻/超克するー雪国青森編』を開催する。

公共空間に置かれた彫刻を歴史や社会を批評的に読み解くメディアと捉える小田原のどか(1985年宮城県生まれ)は、彫刻家としての制作活動のみならず、複数の媒体での執筆連載、出版社「書肆九十九」の運営など、多岐にわたる活動を展開している。これまでに『小田原のどか作品展《↓》』(同志社女子大学mscギャラリー、2014)、『STATUMANIA 彫像建立壁』(ARTZONE、2017)、『近代を彫刻/超克する』(トーキョーアーツアンドスペース、2019)といった個展のほか、『群馬青年ビエンナーレ2015』(群馬県立近代美術館)、『ゲンビどこでも公募2015』(旧日本銀行広島支店)、『あいちトリエンナーレ2019』、『PUBLIC DEVICE -彫刻の象徴性と恒久性-』(東京藝術大学大学美術館 陳列館、2020 ※共同キュレーターを兼任)などで作品を発表。主な著書に『近代を彫刻/超克する』(講談社、2021)、また、自身が経営する版元から『原爆後の75年:長崎の記憶と記録をたどる』(長崎原爆の戦後史をのこす会編、書肆九十九、2021年)、共同の出版プロジェクトから『彫刻の問題』(白川昌生、金井直、小田原のどか著、トポフィル、2017)、『彫刻 SCULPTURE 1──空白の時代、戦時の彫刻/この国の彫刻のはじまりへ』(小田原のどか編著、トポフィル、2018)などを出版。そのほか、東京新聞、芸術新潮、ウェブ版美術手帖で連載を担当、群像、現代思想などに寄稿多数。

 


八甲田山の大熊氏広《雪中行軍記念像(歩兵第五連隊遭難記念碑)》撮影:小田原のどか

 

2021年12月に開館20周年を迎えたACACは、2021年度から複数年度にわたって、これまでに制作・設置してきた数々の野外彫刻や、青森市街地に立つ平和や慰霊のモニュメントなど、すでに風景の一部となっている彫刻について、現在の視点から多角的にアプローチする『表層/地層としての野外彫刻 プロジェクト2021「ここにたつ」』を立ち上げた。本格的なプロジェクト開始を前に、2020年には準備講座として、郷土史家の相馬信吉、ACACの元・主任技術員として野外彫刻の設置にも立ち会ってきたアーティストの椎啓、彫刻家の小田原の3人による連続レクチャーを開催した(小田原の「近代を彫刻/超克するー雪国青森編」をはじめ、各レクチャーはACACの公式YouTubeチャンネルでアーカイブ視聴可能)。

本展では、『表層/地層としての野外彫刻 プロジェクト2021「ここにたつ」』の2021年度の試みとして、小田原が青森県内の野外彫刻を実際にリサーチし、雪深い冬季に屋外の彫刻が見られなくなってしまうという環境にも着目しながら、大熊氏廣《雪中行軍記念像(歩兵第5連隊遭難記念碑)》や高村光太郎《乙女の像》、高村のアシスタントを務めた野辺地出身の小坂圭二をはじめとする青森ゆかりの彫刻家を調査した成果を発表する。小田原は、大熊氏廣と高村光太郎のふたりを「欧化と国粋のはざまで揺れ続けた、この国の近代彫刻史のおもてと裏」と捉え、八甲田山の両側に立つふたつの彫刻の足元に、「創造的断層」、「ありえたはずの彫刻史の分岐点」を見る。そして、本展において、《乙女の像》のために高村光太郎が残した「十和田湖畔の裸像に与ふ」という詩の一節に対しても応答を試みる。

 

関連プログラム
オープニング・アーティストトーク
小田原のどか
2021年12月25日(土)14:00-15:00
会場:国際芸術センター青森[ACAC]展示棟ラウンジ
オンライン配信あり:https://www.youtube.com/watch?v=RJZXSID8Ux4
※会場参加のみ要予約(申込締切:12/23|予約フォーム:https://forms.gle/nHXE8N3tZgkkNWqe9
※無料

 


十和田湖畔の高村光太郎《乙女の像》撮影:小田原のどか

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