マヤ・ワタナベ「Suspended States|滞留」@ 京都芸術センター


マヤ・ワタナベ《Earthquakes》2017年

 

マヤ・ワタナベ「Suspended States|滞留」
2021年11月20日(土)- 2022年1月10日(月・祝)
京都芸術センター ギャラリー北・南
https://www.kac.or.jp/
開館時間:10:00–20:00
休館日:12/26–1/4
展覧会URL:https://www.kac.or.jp/events/31211/

 

京都芸術センターでは、経験や実績を積み重ねてきた中堅キャリアにあるアーティストを個展形式でとりあげる「FOCUS」の3回目として、ペルー出身でアムステルダム在住の映像作家マヤ・ワタナベの個展『Suspended States|滞留』を開催する。

マヤ・ワタナベ(1983年リマ生まれ)は、人間や人間以外の生物における生と死を微視的視点と巨視的視点を交差させながら見つめる作品を発表してきた。また、近年は出身国であるペルーの紛争から暴力の歴史と痕跡をあらわにする作品を手掛け、東京都現代美術館の『MOT アニュアル 2021 海、リビングルーム、頭蓋骨』でも、過去と現在の間で宙づりになった風景を捉えた《Sceneries》(2016)、身体に刻まれた抑圧の痕跡を照らし出す《Liminal》(2019)、そして、頭蓋骨に残された銃弾の穴からその内部を映した《Bullet》 (2021)を発表した(崔敬華との対談が東京都現代美術館のYouTubeに掲載されている)。現在、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの博士課程に在籍し、舞台公演の美術や音響の分野でも活動している。近年の主な展示、スクリーニングに、個展『Liminal』(デ・ポン美術館、ディルブルフ、オランダ、2021)、『Video SUR』(パレ・ド・トーキョー、パリ、2018)、個展『Liminal』(リマ、2019)、スクリーニング『Liminal』(国立21世紀美術館、ローマ、2019)、第13回ハバナ・ビエンナーレ(2019)、アジアン・アート・ビエンナーレ(国立台湾美術館、台中、2019)などがあり、2018年にはハン・ネフケンス財団のARCOマドリッド・ビデオアート・プロダクション・アワードを受賞している。

 


マヤ・ワタナベ《Earthquakes》2017年


マヤ・ワタナベ《Earthquakes》2017年

 

本展では、東京都現代美術館では出品されなかった《Earthquakes》(2017)と《Stasis》(2018)のふたつの映像作品を発表する。《Earthquakes》は、ワタナベが2017年に京都芸術センターとサンパウロの映像芸術祭Videobrasilの連携プログラムの下で来日し、約2ヶ月間のリサーチとプロダクションに取り組み、完成した映像作品。自然物を用いつつも人工的な舞台セットとして仕組まれた空間における、不穏な秩序とやがて訪れる崩壊は、映像のもたらす徹底した客観性によってより大きな連続性へとわたしたちの意識を促す。《Stasis》は、厳冬期は代謝を下げ冬眠状態になることで知られるフナをモチーフに、身体を極限まで環境に適応させる、「仮死」という生命の生存戦略を探る。鱗に覆われたフナの表皮が変化する様をゆっくりとクローズアップで映し出す映像は、身体で起こる包摂と抵抗の絶え間ない拮抗、生存と非生存のあわいを捉えている。

 


マヤ・ワタナベ《Stasis》2018年


マヤ・ワタナベ《Stasis》2018年

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