ボイス+パレルモ @ 国立国際美術館


右:ヨーゼフ・ボイス《直接民主制の為のバラ》1973年 
左:ブリンキー・パレルモ《無題》1974年 gigei10蔵

 

ボイス+パレルモ
2021年10月12日(火)- 2022年1月16日(日)
(※展示替えあり|前期:10/12 – 11/28|後期:11/30 – 1/16)
国立国際美術館 地下3階展示室
https://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜、土曜は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/10は開館)、12/27–1/3、1/11
展覧会担当:福元崇志(国立国際美術館 主任研究員)

 

「拡張された芸術概念」や「社会彫塑」、「人は誰もが芸術家である」といった言葉を残し、狭義の美術の枠組みを超えた活動を展開したヨーゼフ・ボイスと、そのボイスが自分に最も近い表現者であると認めながら、描くことをとおして、色や形や空間に対する認識それ自体を問い直しつづけたブリンキー・パレルモ。国立国際美術館では、この一見対照的なふたりの作品を通して、芸術の営為とはなにかを見つめなおす展覧会『ボイス+パレルモ』を開催する。豊田市美術館、埼玉県立近代美術館と各会場ごとに少しずつ形を変えながら巡回してきた本企画は、国立国際美術館が最後の展示会場となる。

日本国内における約10年ぶりのボイス展であるとともに、国立美術館としては初のパレルモ展となる本展は、「フェルトと布」「循環と再生」といったキーワードで両者を併置することで、両者の交わりや重なりにその実践の潜勢力を探る日本の美術館による独自企画。ボイスにおいては、いまなお影響力の強いその思想ではなく、あらためてその「作品」や造形行為に着目すべく、日独の複数の美術機関の協力のもと、1960年代のボイスの最重要作品のひとつ《ユーラシアの杖》(1968/69)をはじめ、日本国内でこれまで十分に紹介されてこなかった50、60年代の初期のドローイング、国立国際美術館が新収蔵することとなった《小さな発電所》(1984)など、代表作を含む約80点を紹介する。また、ボイスの芸術実践の核となるアクションと呼ばれるパフォーマンスにも注目。1984年の来日時のナム・ジュン・パイクとの共演「コヨーテIII」を含めた7本のアクションの映像を上映する。一方、日本国内ではこれまでまとまった形で紹介されることのなかったパレルモにおいては、1960年代半ばの初期作品から現存しない壁画作品のドキュメンテーション、そして、1970年代の代表作である金属絵画に至るまで、その短い活動期間に手がけられた貴重な作品群を紹介。没後、とりわけ2000年以降、欧米を中心に展覧会が続くパレルモの活動を概観する機会となる。

 


ヨーゼフ・ボイス《ユーラシアの杖》1968-69年 クンストパラスト美術館、
デュッセルドルフ ©Kunstpalast – Manos Meisen – ARTOTHEK


ヨーゼフ・ボイス《小さな発電所》1984年 国立国際美術館 Photo: Tom Carter

 

ヨーゼフ・ボイス(1921-1986/クレーフェルト生まれ)は、「ほんとうの資本とは人の持つ創造性である」と語り、ひろく社会を彫刻ととらえ社会全体の変革を公衆に語りかけた。その存在は、戦争の加害者でありかつ被害者でもある自身の体験に基づく作品制作と、芸術を社会のあらゆる領域へと拡張しようとした姿勢において、第二次世界大戦以降、現在に至るまで最も影響力のあるアーティストのひとりとして知られている。最晩年の1984年に来日した際も、展覧会だけでなく、アクションの実践、学生との討論会などを実行している。

ブリンキー・パレルモ(1943-1977/ライプツィヒ生まれ)は、双子の弟ミヒャエルとともに生後すぐに養子に出され、ペーター・ハイスターカンプの名で暮らし、1949年の東西ドイツ分裂に際に家族とともに西側のミュンスターに移る。62年にデュッセルドルフ芸術アカデミーに入り、64年にボイスのクラスに移る。アカデミー在籍初期はシュルレアリスムの影響の強い絵画を描いていたが、その後は20世紀初頭のカジミール・マレーヴィチやピート・モンドリアンらの抽象絵画や、同時代のミニマリズムの動向に影響を受けながら、絵画の構成要素自体を問い直す作品を制作。既製品の布を縫い合わせた〈布絵画〉、建築空間にささやかに介入する壁画、小さなパネルを組み合わせた〈金属絵画〉など独自の制作を展開したが、77年にモルディブで客死。実質的な活動期間は15年にも満たないために残された作品は限られているが、その制作は近年徐々に評価が高まり、ドイツ本国のみならずヨーロッパやアメリカ合衆国で回顧的な展覧会が続いた。

 

関連イベント
講演会、ギャラリートークなどを開催予定。詳細は決まり次第、公式ウェブサイトに掲載、SNSで告知。

 


ブリンキー・パレルモ《無題》1977年 個人蔵

 

 


 

巡回情報
2021年4月3日(土)- 6月20日(日)(※既に終了)
豊田市美術館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/

2021年7月10日(土)- 9月5日(日)(※既に終了)
埼玉県立近代美術館
https://pref.spec.ed.jp/momas/

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