イメージフォーラム・フェスティバル2021


 

幅広い映像表現を紹介する国内最大規模の映像祭として知られているイメージフォーラム・フェスティバルが、本年度の全プログラムを発表。2021年9月25日から「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」をはじめとする各種プログラムがシアター・イメージフォーラムなど都内3会場で上映される。

1987年にはじまり35回目の開催となるイメージフォーラム・フェスティバル2021。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、映画製作・配給・興行の現場に近年稀に見る大きな打撃を与え、メディア環境や人々の生活の変化もかつてないほどに加速している。昨年は「映画上映」という100年以上にわたって続いてきた文化的行為に焦点を当てたイメージフォーラム・フェスティバルは、本年度は「フィルム・イン・シェルター 映画の停泊地」をテーマに掲げ、「映画」のあり方を困難な状況で問い直し、未来の映画のあり方を指し示す可能性を上映・シンポジウムなどを通して模索していく。

 


ワン・モーウェン『三位一体』2020年


リサ・スピリアールト『N・P 』2020年


栗原みえ『ウェルカム・トゥ・ナーン!』2021年

 

2018年に従来の一般公募部門(旧・ジャパン・トゥモロウ)の募集範囲を拡大した「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は、異なるジャンルや手法が一堂に会するだけでなく、東アジアの国際間における相互の交流と刺激によって、これからの芸術表現を模索し、メディア環境を含めた社会のあり方について考える場を目指す。2020年以降に制作された作品を対象とする本年度は、322作品の応募の中から一次審査、二次審査を通過した東アジアの「今」を映し出す26作品がノミネートされた。ノミネート作品には、現代美術の領域での活動も広く知られるサムソン・ヤンの『スモークのためのソナタ』や荒木悠の『密月旅行』、香港の民主化運動をそれぞれの方法で映像に残したイン・ジョンホンの『暴動の後、光復の前』やヤン・ワイインの『日 ”””’;”””’ 記』、第67回オーバーハウゼン国際短編映画祭インターナショナル・コンペティションでグランプリを受賞した村岡由梨の『透明な私』、さらに、短編中編の作品が多数を占める中で、タイを舞台にした166分のセルフ・ドキュメンタリーを出品した栗原みえの『ウェルカム・トゥ・ナーン!』など。同コンペティションでは、本年度の審査員を務める有國恵介(株式会社フロウプラトウプロジェクトディレクター)、中村佑子(映画監督)、マリー・ロジエ(映像作家)による最終審査が東京会場での映像祭会期中に行なわれ、10月3日にスパイラルホールで開かれる授賞式で大賞を含む各賞が発表される。

 


カウンミェトゥチョー『バーン・ボーイズ』2020年


キリ・ダレナ『トゥンクン・ランギット』2013年

 

「フィルム・イン・シェルター 映画の停泊地」のテーマを掲げたプログラムでは、自然災害や政治的受難、上映マテリアルの消失や破損・劣化など、さまざまな理由で困難な状況に置かれるとき、映画はどのようにして存続できるのか、その可能性をパンアジアのトランスナショナルな対話を通じて探っていく。ミャンマー、フィリピン、タイ、インドネシア、韓国、日本の各地の映像祭や映像作家、キュレーーターらがプログラムを構成し、9月25日には「災害が映画を変える時」をテーマに、9月26日には「政治的乱気流を航行する」をテーマに、パネルディスカッションも開催される。そのほか、日本未発表の優れた作品を上映する「エクスペリメンタル・パノラマ」、かわなかのぶひろを特集した「フィルムメーカーズ・イン・フォーカス」、石橋英子とジム・オルークのライブ演奏とともに『裁かるゝジャンヌ』を上映するオン・スクリーンLIVEも上映。また、本年度の会場のひとつとなるSHIBUYA SKY(渋谷スカイ)でも特別連携屋外上映プログラムとして、音楽を主題とする4作品が上映される。

 

イメージフォーラム・フェスティバル2021
http://www.imageforumfestival.com/2021/pre.html
東京会場
シアター・イメージフォーラム|2021年9月25日(土)– 10月1日(金)
スパイラルホール|2021年10月1日(金)– 10月3日(日)
SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)|2021年10月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)
京都会場
Lumen Gallery|2021年10月28日(木)– 10月31日(日)
名古屋会場
愛知芸術文化センター アートスペースA, EF|2021年11月26日(金)– 11月28日(日)

 


ラドゥ・ジューデ『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』2021年


マリアノ・ジナス『ラ・フロール 花』2016年


かわなかのぶひろ『スイッチバック』1976年

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