志村信裕《Dress》2015年 Photo: Ken Kato
KAAT EXHIBITION 2021
『志村信裕展|游動』
2021年9月9日(木)– 10月8日(金)
KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
https://www.kaat.jp/
開場時間:11:00–18:00 入場は閉場30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌火曜)
本展キュレーター:中野仁詞(キュレーター/神奈川県民ホール、KAAT神奈川芸術劇場〈神奈川芸術文化財団〉)
特設ウェブサイト:https://kaat-seasons.com/exhibition2021/
KAAT神奈川芸術劇場では、現代美術と舞台芸術の融合による新しい表現を、劇場の独特の空間で展開する「KAAT EXHIBITION」の6回目の企画として、『志村信裕展|游動』を開催する。
志村信裕(1982年東京都生まれ)は、身近な日用品や風景を題材にした映像インスタレーション作品により注目を集め、近年は各地でのフィールドワークを元にドキュメンタリーの手法を取り入れた映像作品を制作、ローカルな視点から可視化され難い社会問題や歴史に焦点をあてるプロジェクトを手がけている。志村は2007年に武蔵野美術大学大学院映像コースを修了。以来、横浜、山口、パリ(フランス国立東洋言語文化大学客員研究員として滞在)と活動の拠点を移し、現在は千葉に拠点を置く。これまでに『パランプセスト 記憶の重ね書き vol.5 志村信裕』(gallery αM、2014)、『物の気(Mono no ke)』(ウォーナンブール美術館、ビクトリア、オーストラリア、2018)、『千葉の新進作家vol.1 志村信裕 残照』(千葉県立美術館、2019)などで個展を開催。『未見の星座〈コンステレーション〉-つながり/発見のプラクティス』(東京都現代美術館、2015)、『germination play -空き家の種まき-』(Do a Front、山口、2015)、『六本木クロッシング2016:僕の身体(からだ)、あなたの声』(森美術館)、『21st DOMANI・明日展』(国立新美術館、2019)、『生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙』(東京都庭園美術館、2020)などで作品を発表している。2021年には千葉市美術館の参加・体験型のアーティストプロジェクト「つくりかけラボ」で、「投影」の原理を直感的に体験できる場をつくりだすプロジェクト『志村信裕|影を投げる』を開催した。
志村信裕《赤い靴》2009年 Photo: Kumi Ohiwa
志村は、古書、バケツに入った水、家具やリボンなど、身近なものに映像を投影する。親しみのある日用品に宿る、音のない映像は、観る者の身体や記憶の深部に潜んでいる「もの」の共鳴による体感を生み出し、呼び覚まされた記憶が重なり合うことで懐かしい情感を引き起こす。「游動」と題した本展では、水・光・月をモチーフとして取り入れた新作で構成された展示空間に、「もの」と「もの」、「ひと」と「もの」、「ひと」と「ひと」が互いに触れ合うことによる「運動」が創出される。自然や事物のあり様を捉え続けている志村の作品が、水の中の浮遊感や風にゆらめく木々の生き生きとした漂いに見ることができる「游/遊」と「動」を生み出し、日々われわれの日常の中で游動している事物とわれわれ自身との交感の様を鮮やかに写し出す。
志村信裕《drawer garden》2012年 Photo: Tetsuro Kano
志村信裕《Goldfish》2010年 Photo: Chang-Chih Chen