「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展 @ 銀座メゾンエルメス フォーラム


ジュリオ・ル・パルク《ロング・ウォークのエチュード》1974年 ©️Atelier Le Parc

 

「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展
2021年8月13日(金)– 11月30日(火)※ファサード展示:7月29日(木)– 10月中旬予定
銀座メゾンエルメス フォーラム
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/210813/
開館時間:11:00–19:00 入場は閉館30分前まで
休館日:不定休、8/18

 

銀座メゾンエルメス フォーラムでは、『「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展』を開催する。

ジュリオ・ル・パルク(1928年アルゼンチン、メンドーサ生まれ)は、光や動力を取り込んだキネティック・アートやオプ・アートの先駆的存在、公共の場における観客の参加を促す作品を展開した視覚芸術探究グループ(GRAV)の設立メンバー、そして、活動初期から継続する色の可能性を探求した幾何学的な抽象画で知られる。ル・パルクはブエノスアイレスの美術学校に学びながら、前衛美術運動に関心を抱き、制作活動のみならず、学校改革などの学生運動にも携わる。第4回サンパウロ・ビエンナーレ(1957)に参加した翌年の1958年にパリに移住。1960年にブエノスアイレス時代の仲間などとともに視覚芸術探究グループ(GRAV)を結成する。GRAVは、視覚的錯覚あるいは動力を用いたキネティック・アートや公共の場における観客参加を促す作品を通じて、従来の美術作品の枠組みや鑑賞方法を覆すような体験を社会に提案していった。ル・パルクは1966年に第33回ヴェネツィア・ビエンナーレで絵画部門の大賞を受賞。当時の革命的な時代の熱気の中で、政治的な運動にも身を投じながら、芸術が限られた人々のみに享受されることや鑑賞者が受動的な立場にとどまることに疑問を投げかけ、視覚的遊びやゲームの要素を用いることで、誰もが平等に芸術に参加してほしいという願望を形にしていった。

近年はライト・アートや空間没入型の動向を再考する『Suprasensorial: Experiments in Light, Color and Space』(ロサンゼルス現代美術館、2010)、『DYNAMO – Un siècle de lumière et de mouvement dans l’art 1913-2013』(グラン・パレ、パリ、2013)などにより再評価の機運が高まり、パレ・ド・トーキョー(パリ、2013)、カーサ・ダロス(リオ・デ・ジャネイロ、2013)、サーペンタイン・サックラー・ギャラリー(ロンドン、2014)、ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ(2016)、メット・ブロイヤー(ニューヨーク、2018)など、世界各地で個展が開かれている。

 


GRAV、パリの街中での1日、1966年 ©️Atelier Le Parc


ジュリオ・ル・パルク《シリーズ 14-14 置換》1970–2020年 ©️Atelier Le Parc

 

本展では、その70年を超える継続的な制作活動の中でも、常に鮮明な印象をもたらしてきた「色」を主題として取り上げる。ル・パルクは黒と白、そのグラデーションを出発点に、1959年より自ら構想した14色のみを用いた作品を展開する。その作品群は、色彩論のように色を解析するのではなく、色を幾何学的なフォルム、あるいは可変性のメタファーとしてとらえるもので、シリーズごとに色の配列を設定し、回転や反復、分割などのヴァリエーションを探究することで生まれてきた。色の諧調や変容のメカニズムを見極めながらも自在に扱うことは、ル・パルクにとって色の可能性を要約する試みであり、光や動きを取り込むモビールなどと並行して継続する重要なシリーズとなった。

日本初個展となる本展では、初期のモノクロ絵画や色彩探求のドローイングからはじまり、《La Longue Marche(ロング・ウォーク)》や《Lames réfléchissantes(反射ブレード)》といった代表作、そして、GRAVの時代から展開してきたモビールの新作までを紹介する。さらに、フォーラム内の展示に加え、ウィンドウ・ディスプレイやエレベーター、ファサードに展開した作品(7月29日から10月中旬まで公開)など、色彩を探求するル・パルクのさまざまな試みや企て、遊びの要素をメゾンエルメスのビル全体で体験する内容となる。

 


ジュリオ・ル・パルク《円の切片》1958年 ©️Atelier Le Parc


ジュリオ・ル・パルク《反射する128刃板による仕切り壁》1966–2005年 ©️Atelier Le Parc

Copyrighted Image