Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる @ 東京都美術館


増山たづ子 1982年 増山たづ子の遺志を継ぐ館蔵

 

Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる
2021年7月22日(木・祝)- 10月9日(土)
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
https://www.tobikan.jp/
開室時間:9:30-17:30 入室は閉室の30分前まで
休室日:月(ただし、7/26、8/2、8/9、8/30、9/20は開室)、9/21
特設ウェブサイト:https://www.tobikan.jp/wallsbridges/
企画担当:中原淳行(東京都美術館学芸員)

 

東京都美術館では、表現への飽くなき情熱によって、自らを取り巻く障壁を、展望を可能にする橋へと変え得た5人のつくり手、東勝吉、増山たづ子、ジョナス・メカス、シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田、ズビニェク・セカルの作品を紹介する企画展『Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる』を開催する。その生涯に共通するところはほとんどない5人だが、「記憶」という言葉から導かれる不思議な親和性を手がかりに、「生きるよすが」としてのアートの深みに迫る展覧会を目指す。

東勝吉(1908-2007)は大分県日田市に生まれ、10代から木こりとしてはたらき、その後、由布院で雑貨店を営む。1991年に83歳で本格的に絵筆を握り由布院の風景画の制作に没頭、97年には由布院駅アートホールで初個展『東勝吉素朴画展』を開催。99歳で亡くなるまで100点以上もの作品を残した。86年に入所し「アトリエ」にもなっていた特別擁護老人ホーム「温水園 」には、現在「東勝吉 常設館」が設立されている。

増山たづ子(1917-2006)は岐阜県徳山村(現・揖斐川町)生まれ。農業の傍ら民宿を営んでいた徳山村のダム建設計画の決定を受け、徳山村と村民の記録をはじめた。以来、約10万カットの写真、600冊のアルバムを29年で残し、2006年3月に88歳で死去。増山の残した記録は岐阜県の「増山たづ子の遺志を継ぐ館」に保管されている。2013年にはIZU PHOTO MUSEUMで『増山たづ子 すべて写真になる日まで』が開催された。

 


東勝吉《川西から見た由布山》1990年代? 由布院アートストック蔵


ジョナス・メカス《猫のサンシャインに見守られヴァイオリンの練習をするウーナ、
ソーホー、ニューヨーク、1977年(「いまだ失われざる楽園」より)》1977年 個人蔵

 

ジョナス・メカス(1922-2019)はリトアニアのセメニシュケイに生まれる。反ナチ活動に身を投じ、弟とともにエルムスホルンの強制労働キャンプに収容される。1945年3月にキャンプを脱出するがその後も終戦まで難民キャンプを転々とする。49年にニューヨークに渡り、翌年からボレックス(16ミリ映画カメラ)で身の回りの撮影をはじめる。その後、日記映画という独自のスタイルを確立し、2019年に亡くなってからも実験映画、個人映画の枠を超えて、幅広い人々に影響を与えている。

シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田(1934-2000)はイタリアのサレルノに生まれる。1957年に彫刻家として研鑽するなかで同じく彫刻家の保田春彦と知り合い、60年に結婚。来日後は家事や育児に追われる日常の中で時間が許す限り、彫刻や絵画の制作をつづけた。2000年に死去。2001年には『シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田 1934-2000 遺作・遺稿』(世代工房)が出版され、2004年には神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で遺作展『空の明るさ』が開催された。

ズビニェク・セカル(1923-1998)はプラハに生まれる。反ナチ活動によりゲシュタポに逮捕され、オーストリアのマウトハウゼンの強制収容所に収監される。戦後、美術大学に入り、制作活動をはじめるが、68年にプラハを逃れ、ドイツ各地を転々としたのちにウィーンに拠点を構える。彫刻を中心としつつも、陶芸、アッサンブラージュ、ドローイング、コラージュ、写真、ブックデザインなど多岐にわたる表現活動を展開した。

 


シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田《シエナの聖カタリナ像とその生涯の浮彫り》
(部分)1980-84年 愛媛県松山市・聖カタリナ大学蔵 Photo:齋藤さだむ


ズビニェク・セカル《仮面をつけた仮面》1990年 個人蔵 Photo: Oto Palán

 

関連プログラム
詳細が決まり次第、公式ウェブサイトで発表

 

 


 

同時開催
イサム・ノグチ 発見の道
2021年4月24日(土)- 8月29日(日)
東京都美術館 企画展示室
https://isamunoguchi.exhibit.jp/

ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
2021年9月18日(土)- 12月12日(日)
東京都美術館 企画展示室
https://gogh-2021.jp/

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