加藤翼縄張りと島 @ 東京オペラシティアートギャラリー

加藤翼《The Lighthouses – 11.3 PROJECT》2011年 photo: Kei Miyajima © Tsubasa Kato / courtesy of MUJIN-TO Production

加藤翼　縄張りと島
2021年7月17日（土）- 9月20日（月）
東京オペラシティアートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/
開館時間：11:00-19:00 入場は閉館30分前まで
休館日：月（祝日の場合は翌火曜日）、8/1（日）
展覧会担当：堀元彰（東京オペラシティアートギャラリーチーフキュレーター）

東京オペラシティアートギャラリーでは、ロープで巨大な構造体を動かす行為をはじめ、共同実践を特徴とするプロジェクトを世界各地で実現してきたアーティスト、加藤翼のこれまでの制作活動の歩みと全貌を紹介する個展『縄張りと島』を開催する。

加藤翼（1984年埼玉県生まれ）は、その実践を通じて、分断や対立を超えた協働作業や連帯による可能性を探っている。パフォーマンス、構造体、ビデオといった複層的なメディア・プロジェクトは、自然災害、都市開発、環境破壊などで地域のコミュニティが解体の危機に瀕するなか、人々が自発的に参画し、一体となってなにかを実践することの意義を提示してきた。加藤は2007年に武蔵野美術大学を卒業し、2010年に東京藝術大学で修士号を取得。2011年より無人島プロダクションで個展を重ねるほか、『六本木クロッシング2010展：芸術は可能か？』（森美術館）、『3.11とアーティスト：進行形の記録』（水戸芸術館現代美術ギャラリー、2012）、『他人の時間』（東京都現代美術館、国立国際美術館、2015）、『Uprisings』（ジュ・ド・ポーム国立美術館、2016／カタルーニャ美術館、2017）、『あいちトリエンナーレ2019 情の時代』（愛知芸術文化センター）、『ECOMING A COLLECTIVE BODY』（イタリア国立21世紀美術館、ローマ、2020）、『They Do Not Understand Each Other』（大館當代美術館、香港、2020）、『Scratching the Surface』（ハンブルガー・バーンホフ現代美術館、2021）などで作品を発表している。

加藤翼《Underground Orchestra》2017年 © Tsubasa Kato / courtesy of MUJIN-TO Production

公共空間にパフォーマティブなプロジェクトを持ち込む加藤の代表作のひとつとして知られているのは、そこに集まった人々が知恵を出し合い、ロープと人力だけで巨大な構造体を引き倒したり、引き起こす〈Pull and Raise〉シリーズ。本展出品作の《The Lighthouses – 11.3 PROJECT》（2011）は、同シリーズのなかでも加藤の制作に大きな転機となった作品。加藤は東日本大震災後に福島県いわき市で避難所への生活物資の支給や炊き出し、瓦礫の撤去作業にボランティアとして参加し、その際に家を失った家主たちから大量の木材の提供を受けた。その後、3.11を逆にした11月3日に加藤の呼びかけで集まった500人もの人々が、津波で壊された家々の瓦礫で作った灯台を模した巨大な構造物を、力を合わせて引き起こした。これが契機となり、このプロジェクトは復興を目指す地域の祭事へと発展した。

加藤自身初の美術館での個展となる本展には、石油パイプラインの建設計画に揺れるアメリカ合衆国ノースダコダ州にあるスー族のスタンディングロック居留地で撮影した《Underground Orchestra》（2017）、お互いを縛られた３人の演奏者（三味線、琴、太鼓）が、君が代を演奏する《2679》（2019）、香港滞在時に新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で帰国もままならない状況下ではじめた、人々のさまざまな秘密を集め、「結び、つなぎ合わせ、たばね、編み上げ」た１本のロープとして提示する《Superstring Secrets: Tokyo》（2020）を含む2007年以降の映像作品26点および写真、模型などが一堂に会し、代表作をほぼ網羅した構成となる。

同時開催
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