デルタ @ KAYOKOYUKI、駒込 Komagome SOKO


 

デルタ
2021年6月30日(水)- 7月18日(日)
KAYOKOYUKI
http://www.kayokoyuki.com
駒込 Komagome SOKO
https://www.komagomesoko.com
開廊時間:12:00-18:00(日曜は17:00まで)
休館日:月、火
企画コーディネート:吉田有里
主催:名古屋芸術大学、KAYOKOYUKI
出品作家:青田真也、秋吉風人、有賀まなみ、宇留野圭、大田黒衣美、大野未来、小笠原盛久、金里珉、小池匡徳、髙橋凜、田村友一郎、三宅砂織、本山ゆかり、山本将吾、渡辺英司

 

KAYOKOYUKIでは、名古屋芸術大学美術領域現代アートコースとの共同企画として、15人のアーティストによるグループ展『デルタ』を開催する。会場は、KAYOKOYUKIと隣接の駒込 Komagome SOKOの2会場。

コース設立準備期間の3年間を経て、2021年度より新設された現代アートコースは、アーティストのみならず、キュレーター、コーディネーター、インストーラーなど、さまざまな立場から美術の現場に携わる講師陣が、学びの場に関わることで、より実践的、多角的な視点から物事を捉えることを目指している。コース開設に先立ち、昨年末には同大学で美術教育に関わるアーティストの作品、活動を紹介する展覧会『TASK』を開催している。

本展開催に際し、「制作、発表、マーケット」のつながりを意識するために、KAYOKOYUKIの結城加代子と現代アートコース講師陣の大田黒衣美、田村友一郎、秋吉風人、吉田有里が共同でプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトへの参加を希望した学生が1年間かけて作品制作に取り組み、展覧会参加へのプレゼンテーションに挑んだ。実際の展覧会では、講師や学生という立場を越えて、参加アーティストがそれぞれに自身の作品を発表する。

 


有賀まなみ《(tele)communications》2020年


大野未来《アーモンド、鏡を見る》2021年

 

デルタはギリシア文字であり、アルファベットのDの起源に相当する。文字が三角形を想起することから、三角州をデルタとも称する。名古屋芸術大学、KAYOKOYUKI、駒込倉庫の3者が関わる展覧会企画ということから、それをデルタと言い換えることは、不可能ではないのかもしれない。 そのデルタ、三角州の形成には幾筋もの河川が関係するという。その河川が運搬してきた土砂が三角州、デルタを形成するとすれば、幾筋もの作家によって持ち込まれた作品という土砂が堆積したその有り様は、どこか展覧会という有り様への類似として見出してしまうのは自分だけだろうか。 ときに作家は、独立した存在であろうとし、その流れを自らが規定しようとするが、実際はそのようにはなかなかいかない。その時々の条件によって曲がりくねり、ときには途切れることだってある。ほかの河川と交わることもあれば、別れることだってある。ただ、そのような流れたちも最終的には海へとつながる帰結を迎えるわけだが、その矢先に、それぞれが運んできた土砂、作品がひと所に堆積し、デルタを形成する。しかし、その堆積した作品、土砂もいずれは海の潮流によって侵食され、形を変える ことを思えば、そのデルタはひとときの風景とも言える。その極めてテンポラリーな風景を眺めるのが、この「デルタ」と称した展覧会なのかもしれない。そして、Cの話題にも飽きてきたきょうこの頃では、そろそろ次の話題、例えばDへと移るタイミングだとしたら。そのCの次、Dを正しく伝えるための音声コードはデルタである。
田村友一郎(アーティスト/名古屋芸術大学准教授)

 


髙橋凜《SKETCHBOOK》2020年 撮影:綾野文麿


金里珉《Breakfast》2020年

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