第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界 @ 資生堂ギャラリー


宮永愛子「第3回 shiseido art egg 宮永愛子展 地中からはなつ島」2009年より 撮影:加藤健

 

第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界
2021年6月5日(土)- 8月29日(日)
資生堂ギャラリー
https://gallery.shiseido.com/
開館時間:11:00-19:00(日曜、祝日は18:00まで)
休館日:月、夏期休館(8/16-8/23)
展覧会担当:豊田佳子(資生堂ギャラリー キュレーター)

 

資生堂ギャラリーは、杉戸洋、中村竜治、Nerhol、ミヤギフトシ、宮永愛子、目[mé]の6組をメンバーとする第八次椿会による最初の展覧会『第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界』を開催する。

「椿会」は、第二次世界大戦期に一時中断していた資生堂ギャラリーの活動を再開するにあたり、1947年に立ち上げたグループ展。以来、アートが人々に希望を与え、勇気をもたらすという信念に基づき、時代とともにメンバーを入れ替えながら、戦争や災害、不況などで世の中が閉塞状況にあるときも再興を願い、70年以上にわたって継続的に開催されてきた。東日本大震災後の2013年から2017年にかけて活動した第七次椿会には、赤瀬川原平(2014年没)、畠山直哉、内藤礼、伊藤存、青木陵子、島地保武(2015年より参加)が参加。同期間を3.11から復興していく過程において、初心を問い直す時期と捉え、毎回「初心」をテーマに新作や未発表作品を発表した。

 


杉戸洋《Untitled》2021年

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続く状況下で結成された第八次椿会は、2021年から2023年までの3年間をかけて、各年を「2021 触発/Impetus」、「2022 探求/Quest」、「2023 昇華/Culmination」と位置づけ、afterコロナの「あたらしい世界」について考えるさまざまな試みを展開していく。第一段階となる「触発/Impetus」をテーマにした本展では、資生堂がこれまでの椿会展で蒐集してきた美術収蔵品から、メンバーが「あたらしい世界」を触発される作品を選び、それに対する応答を自身の作品や方法で提示し、収蔵品に新たな視点を加え未来へとつなげることを試みる。また、資生堂ギャラリーホームページ上に、展覧会では伝えきれない情報やプロセス、記録などを掲載した第八次椿会の特設ページを開設する(6月初旬開設予定)。

杉戸洋(1970年愛知県生まれ)は、抽象と具象の狭間を行き来する独自の色面構成を特徴とした絵画作品で知られる一方、近年は建築家・青木淳とのコラボレーションをはじめ、建築や展示空間に対する関心を反映した実践にも積極的に取り組む。近年の主な展示に『杉戸洋──こっぱとあまつぶ』(豊田市美術館、2016)、『杉戸洋 とんぼ と のりしろ』(東京都美術館、2017)などがある。建築家の中村竜治(1972年長野県生まれ)は、住宅、店舗、公共空間などの設計を全般的に行なうほか、家具、展示空間、インスタレーション、舞台美術なども手がけ、日常の些細なものから建築に至るまでに生じている、コントロールされたものとされないもののふたつの作用に向き合いながら、デザインするとはどういうことかを探究している。2020年には「JINS京都寺町通」(2016)で第32回JIA新人賞を受賞している。田中義久(1980年静岡県生まれ)と飯田竜太(1981年静岡県生まれ)が2007年に結成したNerholは、ある条件下で撮影された数百枚の写真を積層し、彫り込む手法による作品などで知られる。近年の主な展示に個展『Interview, Portrait, House and Room』(ヨンウン現代美術館、光州、2017)、『New Photographic Objects:写真と映像の物質性』(埼玉県立近代美術館、2020)などがあり、『VOCA展2020 現代美術の展望─新しい平面の作家たち』ではグランプリとなるVOCA賞を受賞している。

 


中村竜治《FormSWISS 神戸展空間設計》2021年 撮影:Takato Miyoshi


Nerhol《Girls Reading a Newspaper》2020年

 

ミヤギフトシ(1981年沖縄県生まれ)は、自身の記憶や体験に向き合いながら、国籍や人種、アイデンティティ、アメリカ文化といった主題を扱った作品を発表している。近年は『六本木クロッシング2016:僕の身体(からだ)、あなたの声』(森美術館、2016)や『予兆の輪郭』(国立新美術館、2019)などに参加。2021年には個展『In Order of Appearance』(miyagiya ON THE CORNER、沖縄)を開催。そのほか、小説『ディスタント』(河出書房新社、2019)をはじめとする執筆活動や、アーティストランスペースXYZ collectiveの共同ディレクターを務めるなど、多彩な活動を展開している。宮永愛子(1974年京都府生まれ)は、日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で知られる。2012年に個展『宮永愛子:なかそら-空中空-』を国立国際美術館で開催、2013年には初開催の日産アートアワード2013でグランプリを受賞している。近年は『うたかたのかさね』(京都市文化博物館、2020)、『宮永愛子:漕法』(高松市美術館、2019)のふたつの個展をはじめ、国内外の数々の展覧会で作品を発表している。また、2008年に第3回shiseido art eggを受賞しており、同賞受賞者初の椿会メンバーとなる。目[mé]は、中心メンバーである荒神明香(アーティスト)、南川憲二(ディレクター)、増井宏文(インストーラー)の個々の特徴を生かしたチーム・クリエイションに取り組み、発想、判断、実現における連携の精度や、精神的な創作意識の共有を高める関係を模索しながら活動している。近年の主な展示、プロジェクトに、個展『たよりない現実、この世界の在りか』(資生堂ギャラリー、2014)、目[mé]宇都宮美術館屋外プロジェクト『おじさんの顔が空に浮かぶ日』(2013-2014)、さいたまトリエンナーレ2016、『目[mé]非常にはっきりと わからない』(千葉市美術館、2019)などがある。

 


ミヤギフトシ《The Protagonist》2021年


目[mé]《Elemental Detection》2016年 旧民俗文化センター、さいたまトリエンナーレ 2016 参加作品

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