TOKAS-Emerging 2021 @ トーキョーアーツアンドスペース本郷


水上愛美《Inside》2020年

 

TOKAS-Emerging 2021
第1期:2021年4月3日(土)- 5月5日(水・祝)※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止における東京都の緊急事態宣言による休業要請を受け、4/25から5/11は臨時休館
第2期:2021年5月15日(土)- 6月13日(日) 6月20日(日)※6/1(火)より再開し、6月20日(日)まで会期延長(4/25(日)~5/31(月)は臨時休館)
トーキョーアーツアンドスペース本郷
https://www.tokyoartsandspace.jp/
開館時間:11:00-19:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、5/3は開館)
※事前予約制

 

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)本郷では、日本在住の35歳以下のアーティストを対象にしたプログラム『TOKAS-Emerging 2021』を開催する。本年度は、TOKASが選出した3組と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のための臨時休館で、昨年の展示が中止となった3組を加えた6組のアーティストが個展を開催する。

4月3日に開幕する第1期は、水上愛美『Dear Sentiment』、宮川知宙『遠くを見ること/そこへ行くこと』、都賀めぐみ『大きな蛇の樹の下で』を開催。水上愛美(1992年東京都生まれ)は、肖像画やファッション写真など、さまざまな媒体から選んだモチーフを組み合わせ、一度描いた画面を塗り潰したり、別のイメージを被せたりすることで、表面とその下に隠れたイメージの想起をうながす絵画を制作している。2018年にはターナーアクリルガッシュビエンナーレ2018で優秀賞を受賞。2019年には東京の4649、昨年はウィーンの非営利アートスペース「Pina」で作品を発表。『TOKAS-Emerging 2020』には、個展『paintings of stranger』を準備していた。本展『Dear Sentiment』では、接触や運動が抑制された新たな日常のなかで「身体」や「感情」の在り方を問い、改めて意識される他人と自己に焦点を当てる。

水上と同じく『TOKAS-Emerging 2020』に個展『スーパーゴーストカミカゼアタック!!』を準備していた宮川知宙(1993年千葉県生まれ)は、以前から抱いていた「(美術鑑賞は)観客が不在でも成立するのか」、「記録することが前提とされた際の現場の価値とは」といった関心や疑問から、COVID-19感染拡大を機に、会場での作品鑑賞を意図的にやめた。本展では、この実践に関連した写真や映像を用いたインスタレーションを発表する。宮川はこれまでに『引込線/放射線』(第19北斗ビル、所沢、2019)、『to install anti-monument』(Art Center Ongoing、2018 ※宮川知宙/寺田衣里として)などで作品を発表している。

都賀めぐみ(1992年広島県生まれ)は『大きな蛇の樹の下で』のタイトルの下、何気なく撮影した自宅の窓からの景色の映像、年々下がる視力をコンタクトレンズで補う際の自身の感覚などを記した文章をはじめ、さまざまな視覚体験を記録し、それらを再構成する試みを通して、身体における「見る」という行為と作用について考察する。都賀はこれまでに『「CS LAB x MELLOW−ジェンダーに関する観察と実践」成果展』(高架下スタジオ Site-Aギャラリー、横浜、2019)や『female artists meetingのための展覧会(どのような秘密や緊張、葛藤が生まれるだろう!)』(Art Center Ongoing、2019 ※うらあやか+津賀恵として)などの展覧会に参加している。

 


宮川知宙《国際展にて》2020年


都賀めぐみ《運動会 feat. 網戸のハエ》2020年

 

5月15日に開幕する第2期は、久木田茜『シンメトリーのひずみ』、GengoRaw (石橋友也+新倉健人)『コトバノキカイ』、辻󠄀梨絵子『ルリジサの茶』を開催。陶芸や金工などの手工芸を軸に制作を行なう久木田茜(1987年愛知県生まれ)は、合理的な形に手作業が生む不合理な歪みを内包させるという、相反する行為と結果から、人工と生命の間にある表現を目指してきた。2017年には小須戸ARTプロジェクト(新潟)、2018年にはアーツさいたま・きたまちフェスタ Vol.4・ASK祭に参加。昨年は東京・杉並の善福寺公園で開かれた『トロールの森2020』に作品を発表している。一貫して「シンメトリー」という存在を問いながら、装飾や植物の断片的なイメージから幾何学的なイメージの制作を続ける久木田は、本展では陶や真鍮を用いた立体作品を展示する。

生命や言語をモチーフに表現活動を行なうアーティストの石橋友也(1990年埼玉県生まれ)と、自然言語処理エンジニアの新倉健人(1989年東京都生まれ)が2018年に結成したGengoRawは、「機械の視点を通じて、言葉の論理とイマジネーションに関する実験/制作を行う」アートプロジェクト。これまでに、「WIRED CREATIVE HACK AWARD 2019」でグランプリを獲得、昨年の「Asia Digital Art Award Fukuoka」インタラクティブアート部門で入選、第24回メディア芸術祭では《Signifié on the Web》が審査委員会推薦作品に選出された。昨年よりCOVID-19の終息の基準とされる「28日間新規感染者ゼロ」を日本が満たすまでを会期としたオンライン展示『BECV』を吉田竜二とともに企画(2021年3月26日現在も開催中)。本展では、『TOKAS-Emerging 2020』に引き続き、近年飛躍的に発展している機械学習技術に着想を得た作品やAIの画像認識技術を使用した新作などを発表する。

辻󠄀梨絵子(1991年東京都生まれ)は『ルリジサの茶』のタイトルの下、手作りのハーブティーを国内外の知人と飲みながら交わした対話から、他者の過去の出来事を紐解いてゆくドキュメンタリー映像作品や、花の色素を用いたドローイングなどでインスタレーションを構成する。辻󠄀は、古来より食すと鋭気を保つことができると言われてきたハーブ、ルリジサを栽培し、さまざまな手法で作品に展開している。これまでに『End of Summer Open Studio』(Yale Union、ポートランド、2019)、『I hope you are happy.』(prenzlauer studio / kunst-kollectiv、ベルリン、2018)、『Fictionality』(SYP Gallery、東京、2017)などで作品を発表している。

 


久木田茜《文を編む》2020年


GengoRaw (石橋友也+新倉健人)《Journey into Word2vec》2020年


辻梨絵子《ルリジサの茶》2021年

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