「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」展 @ 世田谷美術館


アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト ニューヨーク万国博覧会フィンランド館にて、1939年 Alvar Aalto Foundation

 

「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」展
2021年3月20日(土・祝)- 6月20日(日)※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止における東京都の緊急事態宣言による要請をふまえ、4/25から5/11は臨時休館
世田谷美術館 1階展示室
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
開館時間:10:00-18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、5/3は開館)、5/6
公式ウェブサイト:https://www.aino-alvar.com/
※日時指定予約制

 

世田谷美術館では、フィンランドを代表する建築家のひとりとして知られるアルヴァ・アアルトとともに設計事務所を牽引し、自身も建築家、デザイナーとしてアアルト建築をかたちづくっていったアイノ・アアルトに焦点を当てた展覧会『アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話』を開催する。

アイノ・マルシオ(1894年ヘルシンキ生まれ)は1913年にヘルシンキの女子学校を卒業し、ヘルシンキ工科大学(2010年に経済大学、美術大学と統合し、現在はアアルト大学)で建築を学ぶ。卒業後にオイヴァ・カッリオらの設計事務所に勤めたのち、1924年にアルヴァ・アアルトの設計事務所に入る(翌年に結婚)。同時代のモダニズムデザインの潮流における、シンプルであること、実用的であること、低コストによる量産化といった理念は、ふたりの思想とも重なり合うもので、アイノとアルヴァはそこに自国フィンランドの環境特性をふまえ、自然から感受した要素をモティーフとしたデザインを通じて、モダニズムに対する自分たちの答えを探求していった。ヒューマニズムと自然主義の共存が特徴的なアアルト建築は、合理主義的なモダニズム建築の流れのなかで独自の立ち位置を築いたが、そこには使いやすさや心地よさを重視した「暮らしを大切にする」という視点を持ち込んだアイノの影響があったことは想像に難くない。アアルト建築におけるふたりの役割についてはしばしば、建築をアルヴァ、インテリアや家具デザインを主にアイノが担当したといわれるが、実際にはそれらを明確に区別することは難しく、ふたりは互いの才能を認めあい、影響しあい、補完しあいながら作品を制作した。アルノは建築のみならず、家具などのプロダクトデザインも手がけ、アルヴァらと設立したArtek社の初代アートディレクター、のちに経営責任者も務めた。1949年、癌のために54歳という若さで他界。2004年にはアルヴァ・アアルト美術館でアイノの生涯と作品に焦点を当てた展覧会がひらかれた(同展カタログは日本語に翻訳され、『Aino Aalto アイノ・アールト』として2016年にTOTO出版から発行されている)。

 


アイノ・アアルト、ヴィラ・フローラ水彩スケッチ、1942年 Aalto Family Collection

 

本展では、これまであまり注目されてこなかったアイノ・アアルトの仕事に着目することで、アアルトの建築とデザインの本質と魅力を見つめ直し、そこに新たな価値と創造性を探っていく。本展に先立ち、2019年12月から東京のギャラリーエークワッド、2020年6月より神戸の竹中大工道具館にて開催した先行企画に新たな内容を加え、さらに長年遺族のもとで保管されていた初公開資料なども公開する。本展は、2021年7月に兵庫県立美術館に巡回予定。

 


アイノ・アアルト、ボルゲブリック・シリーズ、1932年デザイン Alvar Aalto Foundation


アアルトハウス庭側立面スケッチ、1935年 Alvar Aalto Foundation

 

 


 

巡回情報
2021年7月3日(土)- 8月29日(日)※予定
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/

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