東日本大震災の記録展示と上映『星空と路(2021)』@ せんだいメディアテーク


 

東日本大震災の記録展示と上映
『星空と路(2021)』
展示|2021年3月10日(水)- 3月14日(日)(1f オープンスクエア)
展示|2021年3月16日(火)- 4月18日(日)(7f スタジオ)
上映|2021年3月13日(土)- 3月14日(日)(7f スタジオシアター)
せんだいメディアテーク
https://www.smt.jp/
開場日時:10:00-18:00(展示|1f オープンスクエア)
9:00-20:00(展示|7f スタジオ)
上映スケジュール詳細は公式ウェブサイトを参照
休場日:3/25(木)
3がつ11にちをわすれないためにセンター:https://recorder311.smt.jp/

 

せんだいメディアテークは、「3がつ11にちをわすれないためにセンター(わすれン!)」の参加者それぞれの活動を通じて震災を振り返る企画『星空と路(2021)』を開催する。

2011年5月3日、3がつ11にちをわすれないためにセンターは、東日本大震災による甚大な影響に対し、ともに向き合い考え、復興への長い道のりを歩きだすために、せんだいメディアテークが開設した。市民、専門家、アーティスト、スタッフなど異なる立場の人々が関わり、復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして、映像、写真、音声、テキストなどさまざまなメディアの活用を通じ、情報共有、復興推進に努めるとともに、収録されたデータを「震災の記録・市民協働アーカイブ」として記録保存し、ウェブサイトでの公開やライブラリーへの配架、記録を囲み語る場づくりなど、多様なかたちでその記録を利活用している。『星空と路』は、そうした活動の一部を記録展示と上映を通じて紹介し、あらためて震災を振り返る機会として、2012年より毎年せんだいメディアテークで開催されている。

『星空と路(2021)』では、各プロジェクトが記録したものはもちろん、記録すること、そして、記録を利活用することをめぐる試行錯誤が展示、上映、トークを通じて、紹介、共有される。同じ地点からまちの風景を記録する「3.11定点撮影プロジェクト」と、仙台市内の沿岸地域をめぐり交流を図る「3.11オモイデツアー」に取り組んできた市民団体「3.11オモイデアーカイブ」は、この10年の間に蓄積してきた記録から活動を振り返りつつ、次の10年に向けて考えるきっかけを提案する。時間が経ち、徐々に語られにくくなった震災について、当時の「食」にまつわる写真をきっかけに、来場者が当時の体験や想いを自由にふせんに書いていく参加型の試み「3月12日はじまりのごはん−いつ、どこで、なにたべた?」や、同じ職場で被災した女性の話や、震災を知らない子に母から伝えられた話など、友人や家族という関係性の中で語られる震災にまつわる物語をふたりひと組で残すプロジェクト「録音小屋」は、「語り」の内容が、その場や形式に影響を受けることを踏まえた上で、一般的な取材からこぼれ落ちるそれぞれの体験を救い上げる。また、「震災記録を見る、読む、囲む」は、福島県飯舘村の人びとへのインタビュー映像「飯舘村に帰る」を、目や耳の不自由な人々も鑑賞できるよう、せんだいメディアテークで活動するボランティアが音声解説と日本語字幕を制作し、バリアフリー上映を実施した活動の記録を展示、上映の両部門で紹介する。震災記録に映る土地ならではの風景やことば(方言)をどのように伝えるか、記録することだけでなく、その記録を利活用するために試行錯誤した軌跡が共有される。

 


3月12日はじまりのごはん−いつ、どこで、なにたべた?


震災記録を見る、読む、囲む—「飯舘村に帰る」バリアフリー上映の記録—


まち、むら、波おとの道ゆき

 

まちづくりや劇団の仕事で東北6県を動きまわる日々の中で震災以前にはじめた何気ない風景の撮影を震災後も習慣として続ける工藤寛之による「まち、むら、波おとの道ゆき」は、ひとつの出来事を基点に変わったまちなみと変わらない想いにつながる記録写真を展示し、2016年から福島県双葉郡浪江町の記録を続ける髙橋親夫による「浪江のきた道・ゆく道」は、その膨大な写真の展示とともに、撮影日と撮影地を紐付けて管理する独自の整理術を紹介。一人称的な視点を持つ写真というメディアによる記録から見えてくるものが展示を通じて共有される。映像作家の小森はるかと画家・作家の瀬尾夏美が取り組む「空白を訪ねる」は、何も無くなったと言われる土地を訪ね、そこにあったさまざまな痕跡や新たに生まれ出てきたことばを集め、そうして紡がれた記録にあらためて目を向けながら、10年という時間を振り返る。また、「中野伝承プロジェクト」は、震災により甚大な被害を受けた仙台市宮城野区・旧中野小学校区の地域の歴史や住民の声を残し伝えるために2018年度から活動を開始、地域文化を受け継ぐ場となっている「山開き」に携わってきた住民が地域への想いを語るインタビュー映像を作成した。同プロジェクトは展示と上映の両部門で紹介される。

上映プログラム単独での紹介となるのは、津波により甚大な被害を受けた宮城県山元町で、佐藤修一が地震の直後からカメラを回し、災害対策本部や避難所の様子を撮影した「忘れまじ この悲しみを」。そこにはいままさに出来事が進行している混乱の中で人々が尽力した姿が映し出されている。また、震災に関する音声・映像作品を制作してきた福島県立相馬高校放送局の作品上映を続ける任意団体「相馬クロニクル」は、「これまでとこれから」のテーマのもとに『今伝えたいこと(仮)』(演劇の記録映像、2013)、『これから。』(短編ドラマ、2014)、『相馬高校から未来へ』(テレビドキュメント、2013)を上映。さらに、中村大地の主宰する劇団「屋根裏ハイツ」が2017年に初演した、大きな地震があったまちで暮らす知人と、彼をたずねる男が繰り広げる会話劇『とおくはちかい』を全編改稿し、2020年に上演した『とおくはちかい(reprise)』の記録も上映。上映後は作・演出を手がけた中村大地と映像記録を担当した小森はるかが、演劇を通して震災を描くこと、それを映像作品に残すことについてトークを行なう。

 


東日本大震災 山元町の記録「忘れまじ この悲しみを」


相馬クロニクルダイアログ 第7回 テーマ「これまでとこれから」


アーカイヴィークル

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