スクリプカリウ落合安奈《Blessing beyond the borders》（部分）2019年
アーティスト・プロジェクト#2.05
スクリプカリウ落合安奈「Blessing beyond the borders − 越境する祝福 −」
2020年10月24日（土）- 2021年2月7日（日）
埼玉県立近代美術館
https://pref.spec.ed.jp/momas/
開館時間：10:00-17:30 入場は閉館30分前まで
休館日：月（ただし11/23、1/11は開館）、年末年始（12/28-1/5）
企画：五味良子（埼玉県立近代美術館学芸員）
埼玉県立近代美術館では、「アーティスト・プロジェクト#2.0」の枠組みの下、スクリプカリウ落合安奈の公立美術館初個展『Blessing beyond the borders − 越境する祝福 −』を開催する。
スクリプカリウ落合安奈（1992年埼玉県生まれ）は、日本とルーマニアのふたつの母国に根を下ろすための方法を模索する中で、「土地と人の結びつき」に関心を抱き、制作に取り組む。国内外各地で土着の祭りや民間信仰などのフィールドワークを重ね、近年は霊長類学の知見も取り入れながら、インスタレーション、写真、映像、絵画など、多岐にわたる手法での表現を展開している。2019年に東京藝術⼤学⼤学院グローバルアートプラクティス専攻を修了し、現在は同大学大学院彫刻専攻博士課程に在籍するスクリプカリウ落合は、昨年、Bambinart Galleryとnap galleryで個展を開催、東京都美術館の都美セレクショングループ展2019 『星座を想像するように－過去、現在、未来』などで作品を発表している。2020年は、ルーマニアのブカレスト国立現代美術館で開かれた新世代のアーティストを対象とした公募展『Young Artists Connections 2020』に参加している。
スクリプカリウ落合安奈《Blessing beyond the borders》（部分）2019年
本展では、過去に鎖国状態を経験した日本とルーマニアという遠く離れた両国の土着の祭りや風習の映像と、スクリプカリウ落合がこれまでに訪れた土地の音からなる大型インスタレーション《Blessing beyond the borders》（2019）を、展示会場であり作家自身の出身地の埼玉の土地の音を新たに加えた新バージョンと、「土地と人の結びつき」というテーマから発展した人々の中に眠る帰属意識に焦点を当てた《骨を、うめる》（2019）を発表する。《骨を、うめる》は、スクリプカリウ落合がベトナム中央部にある港町・ホイアンで滞在制作を行ない、同地近郊にある江戸時代の商人・谷弥次郎兵衛らの墓の取材を基にしている。また、本展では同作をさらに発展し、谷の出身地とされる長崎県で実施した国際結婚の歴史調査に基づく新作の発表も予定。そのほか、2015年から世界各地の海辺を訪れ、制作を続ける海の写真を貼り込んだ壁状の作品《The backside over there》（2015-）も発表する。埼玉県立近代美術館の公式ウェブサイトには、《骨を、うめる》や新作の制作背景をはじめ、リサーチの際の対象へのアプローチ、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）、近年の関心事のひとつである霊長類学について語った、本展企画者の五味良子によるインタビューが掲載されている。
Both：スクリプカリウ落合安奈《骨を、うめる》（部分）2019年
スクリプカリウ落合安奈《Project: The backside over there》2015年-
本企画「アーティスト・プロジェクト#2.0」は、2003年にMOMASコレクションの枠内で立ち上げた収蔵作家を対象とした「アーティスト・プロジェクト」を、2016年度にコレクションから独立した企画として、収蔵作家という制約を取り払ってはじまった。これまでに、齋藤春佳、北野謙、トモトシが参加している。
関連イベントは詳細が決まり次第、公式ウェブサイトに掲載。同時期開催のコレクション展では、「花鳥を描く」と題し、日本画を中心に花鳥をモチーフとした作品群を紹介するほか、マルク・シャガールの《二つの花束》など、MOMASコレクションの名品を紹介。11月14日からは企画展として、写真を使い対象を精巧に描き出す絵画で知られる上田薫の個展を開催する。
MEDE SUWARU − 今日みられる椅子
2020年9月26日（土）- 11月3日（火・祝）
2020 MOMASコレクション第３期
2020年10月24日（土）- 2021年2月7日（日）
上田薫
2020年11月14日（土）- 2021年1月11日（月・祝）