αMプロジェクト2020-2021『約束の凝集 vol.1 曽根裕|石器時代最後の夜』@ gallery αM


 

αMプロジェクト2020-2021
約束の凝集 vol.1 曽根裕|石器時代最後の夜
2020年8月29日(土)- 11月14日(土)
gallery αM
https://gallery-alpham.com/
開廊時間:13:00-20:00
休廊日:日、月、祝

ゲストキュレーター:長谷川新(インディペンデントキュレーター)

 

gallery αMでは、ゲストキュレーターの長谷川新によるαMプロジェクト2020-2021『約束の凝集』の第一弾となる展覧会として、ベルギー、中国、メキシコ、日本に活動拠点を持つ曽根裕の個展を開催する。『石器時代最後の夜』と題された本展は、曽根にとって東京では2011年の『Perfect Moment』(東京オペラシティ アートギャラリー)以来、9年ぶりの個展となる。

曽根裕(1965年静岡県生まれ)は、1990年代前半から、細部への徹底したこだわりとコンセプチュアルな枠組みを併せ持つ実践により国内外で活動を展開している。その表現方法は、友人や観客を巻き込んだプロジェクト型の作品から、絵画、ドローイング、写真、映像、パフォーマンスと幅広く、なかでも近年は、自然あるいは人工の風景をモチーフに、中国やメキシコのスタジオで職人とともに大理石を削り出した彫刻や籐を編み込んだ彫刻を中心に制作している。1997年にミュンスター彫刻プロジェクト、同年から翌98年にかけて『Cities on the Move』に参加。2002年に豊田市美術館で個展『ダブル・リバー島への旅』、2003年には第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館で小谷元彦とともに二人展を開催した。近年の主な個展に『Obsidian』(四方当代美術館、南京、2017)、『Day and Night』(David Zwirner、2016)、『Perfect Moment』(東京オペラシティ アートギャラリー、2011)、『雪』(メゾンエルメス8Fフォーラム、2011)など。主なグループ展に『東京インディペンデント』(東京藝術大学大学美術館 陳列館、2019)、『Sanguine: Luc Tuymans on Baroque』(プラダ財団、ミラノ、2018)などがある。

 


四半世紀(曽根裕 + 永田康祐)《PC: The Last Night of the Stone Age (Prototype v1)》2020年


曽根裕《Birthday Party 1965-2020》2020年


曽根裕《Double Log (Washinoyama tuff)》2020年

 

はるか昔の自然銅を熱して溶かそうとする人類による「石器時代最後の夜」を想像しつつも、現在もなお石工とともに石を削りつづける曽根裕は、25歳年の離れたアーティスト永田康祐と「四半世紀」というユニットを結成し、大理石を素材に使用した最新の環境にも対応しうる水冷式のパソコンを制作した。インスタレーション《The Last Night of the Stone Age》では、そのパソコンを経由して、石を砕き、削り、粉塵に塗れ、互いに異なる言語をぶつけ合って最高の作品をつくろうとする者たちの四半世紀にわたる労働/制作の記録が投影される。本展では、1997年のミュンスター彫刻プロジェクトで曽根が毎日のように自分の「バースデーパーティー」を開き、その様子を映像にまとめた《Birthday Party》に、その前後に断続的に行なわれてきた「バースデーパーティー」の映像を加えた新作《Birthday Party 1965-2020》も同じく大理石のパソコンを通して投影される。もうひとつの出品作品《Double Log (Washinoyama tuff)》は、曽根が現在スタジオを構えるべく奮闘している香川県の鷲ノ山の凝灰岩を素材とする彫刻作品。鷲ノ山で採掘される石は珍重され、古墳時代にすでに近畿圏にも流通していたことでも知られる。本展は、スタジオ設立と同時進行で準備されており、展覧会全体を通して、曽根が現地で出会った大工の浦芳樹、石工の兎子尾大たちとの協働が刻まれている。

『約束の凝集』は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のための臨時休廊により開催が延期されていたが、当初の開催期間を2021年12月まで延長する形で行なわれる。キュレーションを手がける長谷川新は、「アートなんて無意味だ」とか「どうせいつか死ぬ」といった虚無と相対化の荒野からの「帰還の技術」としてのアートの可能性を見出し、本展を含む5つの展覧会を中心に、その技術の研鑽と共有を提示しようと試みる。また、長谷川は従来のαMプロジェクトの枠組みにとらわれずに、開廊時間の変更やアーティストトークやカタログのあり方といった具体的事項を再検討し、展示という形式以外にも、オンラインラジオ〈長谷川新のHalfway Happy〉や、福尾匠による連載エッセイ〈スモーキング・エリア〉に取り組んでいる。

 


曽根裕《The Last Night of the Stone Age》(スティル)2020年


曽根裕《The Last Night of the Stone Age》(スティル)2020年

 

ART iT Interview Archive
曽根裕「彫る、編む、育む」(2011年2月初出)

 

 


 


αMプロジェクト2020-2021『約束の凝集』
長谷川新「約束の凝集」

vol.1 曽根裕|石器時代最後の夜
2020年8月29日(土)- 11月14日(土)

vol.2 永田康祐
2020年11月27日(金)- 2021年3月5日(金)(冬季休廊:2020年12月20日 – 2021年1月8日)

vol.3 黑田菜月
2021年3月16日(火)- 6月5日(土)

vol.4 荒木悠
2021年6月18日(金)- 9月22日(水)(夏季休廊:8月1日 – 8月23日)

vol.5 高橋大輔
2021年10月2日(土)- 12月18日(土)

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